今週のチェック/ENFORCER, PERFECT VIEW, DEVILDRIVER, INDIGO DE SOUZA, -The Weekly Reviews

ENFORCER, PERFECT VIEW, DEVILDRIVER, INDIGO DE SOUZA, 今週のチェック
ENFORCER, PERFECT VIEW, DEVILDRIVER, INDIGO DE SOUZA,
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ENFORCER/”Nostalgia”:75p

ENFORCER/"Nostalgia"

ENFORCER/”Nostalgia”

先週のENFORCEDに続いて、今週は「R」のこっち、スウェーデンの80年代ヘヴィメタル・リバイバリストENFORCERの新作を。

いわゆる「NWOTHM(New wave of traditional heavy metal)」の一角として始まった初期は、チャキチャキな小回り重視のIRON MAIDEN直系疾走オーセンティック・ヘヴィメタルを標榜していた彼ら。
言うなればミニ四駆型スピードメタルというか、パワーメタルと言うには軽すぎてパワーが全くない、属性全振りで加速重視の軽量特化型マリカーヨッシータイプなチョロQメタル(何それ)。

ところがアルバムを重ねるごとに、「これも加えないと、あれもやったほうが」の風呂敷サーカス展開で、次第にメロディックかつバラエティ豊かな音楽性へと拡散。

つまりは80年代的HR/HM復刻版としての幅を広げながら、初期のファストさのみなずポップでキャッチーな魅力をも磨いていったのだが、しかしいよいよ前5作目「Zenith」(2019年)で、ついに迷走&こじらせ鬱展開の危険な領域へと突入。

「スピードメタルでなければ何でもいい」とWIREみたいなことを言いだしては(言ってない)、SCORPIONSFIREHOUSEMANOWARDIOとその他LAメタルのレプリカかき集め、果てはシンフォ、プログレ、ピアノバラード…と並べてみせてはリスナーを軒並みこんな無表情にさせていくフューネラルドゥーム。

そんな陰惨なHR/HM無間地獄から続く本作では、「さすがにあれはやり過ぎた」と本道回帰による反省の姿勢と、「で、で、でもそれだけじゃないんだからね!」と、言い訳&選択肢増やしの帰結という着地地点を模索した作りになっている。

ということで、方向性を仕切り直しての本作。
あざとさしかないタイトルからしていかにもなコレ、こんなん厳し目に評付けしたろと向かったのだが、とはいえこのバンドは、何だかんだ言いながらリアタイも唸らせるような80年代メタル輸入盤テイストがやっぱりうまい。

ほとんどの曲が1990年位に御茶ノ水のユニオンや新宿マダムレコードで漁った記憶のある、ギターピロピロながらもメロディックな、あの時代によく燃えていたRが二つある誌名の昭和無忖度ロウIQ専門誌70点台(現代レート換算88点)B級クソメタルに通じるサウンドをセルフリメイクしておる。

例えば初っ端、M1“Unshackle Me”からして1988年のROUGHマサ歩兵イトー69点(誰も知らん)みたいなWARLOCKフォロワーのフォロワーのフォロワーなオープナー。
いやそりゃ造り手側にそんな意識もないんだろうが、あのリアタイからすると、こっちにはBONFIREの1st、そっちには初期限定AXXIS、いやGRAVESTONEもしくは豚貴族じゃないほうのSTEELERがなど、記憶の最果てに朽ち転がったプレ・ジャーマン・ヘボィメタルの残骸が見えてくるかのよう。

しかも序盤から足回りの良いスピードメタルM3“Coming Alive”で、ブリティッシュスティールへの安心してくださいアピールも忘れてないし、終盤のM11“White Light in the USA”でそのルーツに初期DEF LEPPARDがあったこともネタばらししててへぺろしては、前作でけしからんと構えた高齢者どもをほっこりさせるサービスよう。

なので、またアレだったらけしからん(←こいつ)と思ってたけれど、これだったらしょうがないにゃあで一応このくらいにとどめとく。

PERFECT VIEW/”Bushido”:78p

PERFECT VIEW/"Bushido"

PERFECT VIEW/”Bushido”

なんでも「イタリアン・メロディック・ハードの至宝」らしい(知らん)、PERFECT VIEWのこれが4thとのこと。

実際これまでを全く知らないのだが、本作は「Bushido(武士道)」とのタイトルまんま通りにサムライをテーマにした、爆発して死ぬのに意味なさそうなコンセプトアルバム。

歌っている歌詞内容の細部までは知らないが、およその筋立てとしては「主人公の武士としての成長と英雄譚」みたいなようなんだが、こんなふうに言ってると「武士じゃねェ、侍だ!」と怒られるかは不明。

ちなみに途中途中でちょいちょい出てくる侍のセリフが、思いの外にちゃんと意味の伝わる日本語で、かつ発音も適切(微妙に棒読み調なのがちょっと可笑しい)なので、おそらくは本当の日本人を起用しているのだろう、知らんけど。(知らんことばっかだな!)

さて、日本の侍モチーフなメタル・コンセプトアルバムといったら、なんといってもこの界隈ではトリモドセサイヤ魂の学ラン外人ども↓による2ndアルバムなのだが、

RISE OF THE NORTHSTAR

↑憧れの日本に学生服で訪日してきてしまった欧米人の不良集団の怪しさにおびえる少女

あっちの甲子園ハードコアに対して、こっちの音楽性というと、イタリアの開拓屋みたいな社名による使いまわしビジネスの派遣先に履いて捨てる程転がっていそうな、普通のありきたりメロハー。

ぼくからするとアルバム中どうでもいい曲が1/3くらいという流石イタリアの至宝なのだが、人里離れた山三つ向こうにひっそり閉ざされた八つ墓メロハー村では多分カウントのしきたりが違うのだろう、じゃないと87という忖度換算が釣り合わない。

ただし80年代的瑞々しさが溢れるM4“Integrity”などは普通に感性をくすぐられる佳曲だし、情緒的な日本庭園に兜姿のスティーブ・ペリーの生首が空を舞うバラードM6“Family”に、いきなりの「ひるむな!」にひるむM5“Honor”などと、それ以外は決して悪くない出来。

そんな良質の透明感あるAORサウンドやキラキラした躍動ポップサウンドをはさみつつ、

「武士たちよ、いくさの準備だ!」

「うおーーーっ!!」

というアゲアゲバトル時代劇展開を爽やかメロハーで紡いでいくという、この新感覚が
「不気味だ!」(M10“Courage”

コレというキラーチューンは見当たらないものの、全体的にソツが無い作りがイタリアの至宝。
しかも何だかんだで一枚通してのコンセプシャルな作りは程よくまとまっているしで、実は一通り試してみた今週のメロディック忖度ハードの中では最も本作が優れていてかつ楽しかったので、高評価するかどうかはオレが決める事にするよ。

DEVILDRIVER/”Dealing With Demons Vol. II”:76p

DEVILDRIVER/"Dealing With Demons Vol. II"

DEVILDRIVER/”Dealing With Demons Vol. II”

ゼロ年代初頭から「デビルドライバー」と、そのネーミングセンスからして梅澤春人マンガの魔城「ガッデム」ばりの高い知性を感じさせてきた、このバンド。

そんな名らしく獰猛な突進力での肉食メタルを貫徹してきたUSグルーヴメタラー、でも最近ちょっぴり伸び悩みな悪魔将軍脳キン肉ドライバー
本作は9thフルレンスにして、2020年リリースの前作「Dealing With Demons Vol.Ⅰ」から続く「Vol.2」という扱いだ。

当然、続編ということで、ちゃんとアルバムジャケも手抜きすることなく前作から「Ⅱ」と書き足された上、エディの群れにちゃんとマントの悪魔使いが左手のポーズを変えていて、志村後ろ後ろ。

「ヘヴィだグルーヴィだとか言う以前にタルいし、そもそもそれっている?」な前作であったが、続く続編の本作ではダークでエモーショナルな方向性を強化。

結果、深みと奥行きが増しての聴き応えが増強しており、個人的には前作よりも好印象だ。

なお、詳細は個別レビューにて。

INDIGO DE SOUZA/”All of This Will End”:76p

INDIGO DE SOUZA/"All of This Will End":

INDIGO DE SOUZA/”All of This Will End”:

ノースカロライナ州出身の女流ソングライター、インディゴ・デ・サウザ
口元がひんまがって引かず媚びず顧みない世紀末デコイボ・タンクトップとは全く関係ない。

耳以外の全身に「いんでぃーろっく」と入れ墨を入れては、夜な夜な炭火の上を素足で歩きながら「すのっぶ、すのっぶ!」と経を唱え続けなければこの末法の世のすのっぶな魂は救われないという教えに従う狂信者どもが集う、いつもの意識ピッチ系フォークメタルで、デビュー以来8p超えの高評価。(すのっぶすのっぶ)

しかもここでも以前2nd「And Shape You Take」(2021年)に82pと高忖度していたように(忖度してねえよ!)、割とクセになってヘヴィロテしていたので、続く本3rdにも手を伸ばしてみた。

アンビエントな浮遊感に幼児の絶叫サンプリングを混ぜ込むことで、長閑なふんわりノスタルジックながらも、ヒステリカルかつほんのりと病性が香るM1“Time Back”から始まる本作。
前作から続く宅録インディーな、淡々白昼まどろみドリームただし悪夢だがなポップではあるが、前作よりもグランジィな淀みを前面化させるとともに(M4“Wasting Your Time”など)、シンセポップのピコピコみやらフォークロア・テイストなどが増加。

しかもそこにおけるポップさが、これまでよりもぐっと磨かれてきている。
メロウに響くM3“Losing”、朗らかなM5“Parking Lot”あたりはとくにそれが顕著な、よく出来たメロディック・チューンだ。

そして何より、ただ牧歌的で優しく柔和なだけじゃない、そこに混ぜ込まれていた毒素がここでも静かに回りつつ、やはり臨界点を超えて噴出する。
本作で言えば、静けさがいきなりTODAY IS THE DAYするM9“Always”が、その見せ場だ。

ただし前作でもそうだったが如何せんそれ以降が蛇足になりがちで、本作もラスト2曲はもう、ふーんって感じ。

衝動が落ちきった今だったら前作はありゃ評点サービスしすぎた、良くて76pくらいかなってことで、それと同じくらいにこれもしておく。

以上、今週の4枚でした。

今週は…うーん、まあまあ、すね。
でも80点超えはなしかな。

ではまた来週。

一応しとく注意
・レーティングはあくまで書いてる人の個人的な気分と機嫌のみに基づいたものです。
・ネタが古い、おっさん臭い、と言われても古いおっさんが書いているので、仕様です。
・ふざけたこと書きやがってと言われても、ふざけて書いているのでお許しください。
・ネット上のものがすべて本当だと捉えがちなおじいちゃんや、ネット上のものにはケチつけても許されると思いがちな思春期のおこさまのご意見は全てスルーします。
・要するに、寛大な大人のご対応をよろしくお願いします。な?
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