滑り込みギリ1月内に挙げられん、2026年最初の新譜レビュー。
言うてもう何枚か良作も出てるんですけど、でも最初の記事はまずは昨年の取りこぼしから始めますかね。
CORONER / 「Dissonance Theory」 :88p

CORONER / 「Dissonance Theory」
まず、何はさておきこいつから。
年明けになって数か所で年間ベストアルバム入りされているのを見てようやく、昨年2025年にリリースされていたのを知って驚き&乗り遅れで時まさに大後悔時代。
って、ええーーーっ!
このアフターコロナに、あのCORONERのアフター出んのかよ!
一応解説しとくと、CORONERといえば病名でも空調でもビールでもなく、80年代欧州技巧派スラッシュの先鋭として名を馳せた伝説的な、スイスが誇るCELTIC FROSTのローディーだ。(言い方)
特に初期アルバム3枚はいずれも、複雑な構成と緩急あるギターを中心に、アグレッシヴでテクニカルでメロディックなんだけど何故か微妙に面白くないインテレクチュアル・スラッシュメタルの金字塔としてつとに知られている。
そんなCORONERが、なんと32年ぶりに復活作のニューアルバムを出したということのようなんだが、てことは、え、やっぱりあのグランジ直下型大震災の中で出した1993年の黒歴史「Grin」(※注釈1)以来、って認識でちゃんと合ってんだよな?(意外にも、その延長っぽいとこあるし)
と不安半分残り半分はどうせ面白くはないんだろで向かったのだが、しかしどうよ。
これがちゃんと「あのCORONER」らしくアグレッシヴでテクニカルでメロディックな上にちゃんと面白いのかよ!と真っ当なインテレクチュアル・スラッシュメタルの発展型をいまだ律儀にやってて、しかもそれがちゃんと今に格好良いので、感嘆&舐めプマジさーせんした。
何せイントロからのM2“Consequence”初っ端、ワンリフで伝わるCOROせんせー、
からの昔ぼろっくそに叩かれてたワントーンセルティックヴォーカルも、この令和に勿論健在だ。(意)
しかも相変わらず攻撃的で鋭利なファストさで、プログレッシヴとすらいえる込み入った展開のなかを、時にジャジー、時にクラシカルなギターってアレを緻密に紡ぎあげることで構築される、どこか無機質で冷徹な理知性をもふくんだヨーロピアンダークな質感の氷属性スラッシュポケモン。
加えてその吹き上がるメロディックさには、ああ、そういえば確かにCORONERだわと頷かせる個性や、”あの”暗闇の中ではっとさせる瞬間的な美しさすら復権。
どころか、やもすれば上回っ…とそれはさすがになかろうが、しかしそれを初期のモノトーンではなくちゃんと今に面白いものとして輝かせて見せる色味使いの上手さがアップデイトされているの、プラスポイントだ。
(例えば、バチバチな疾走曲もそりゃ勿論いいに決まってんだけど、そのなかにM6“The Law”やM7″Transparent Eye”みたいな90年代オルタナインダスの辛酸超えてきたからこそのミドルざっくりウネりネタ挟んできたり、時にキリングジョーキーな無機質削岩やったりすんの、めっちゃシブい。)
しかもブランドらしいこのロゴ帯にジャケ画もそれっぽくと往年へのサービスも応えつつ、かたやただのノスタルジーの焼き直しや初期回帰だけでなく、現代にもしっかり息吹くスラッシュメタルの魅力の強さたるや。
ていうか突貫突破からの美メロギタソロ吹き上げさせるM5“Symmetry”とかゴリアツなんですけど、いや後半戦もかなりイケてんぞ、ってちょあれ実は下手すると最高傑作説も出てやしないかおい?
いやはや、この手の言い出しっぺMEGADETHが終了のお知らせアルバム出して老人ホーム入り宣言してる(しかもやっぱショボいし泣)この世知辛いご時世に、そんなインテクラッシュ(勝手に省略)の令和現在進行系ロマンをこの今に見せられて、泣けてくるじゃないか。
くっそー、ちゃんと年内に聴いてればウチもベストセレクトに間違いなく入れていたのに!
※注釈1:全然好物です。
MESSA / 「The Spin」 :82p

MESSA / 「The Spin」
これも他所んちのベスト記事見て、新作出てたんかいと年明けに知った後追い好評追記系。
調べれてみれば、昨年の割と早い時期に出てて(4月頃らしい)、そういや前作↓から3年位は経っていたわと思い出した、イタリアン女性ヴォーカル・ドローンドゥーム、本4th。
あちこちでかなり褒められていたようだが、成る程、確かに納得の出来だ。
その前作では、実験性の高いプログレドゥームというか、ポストメタル、ポストロック、ポストブラック、ポストパンクってポストばっかり並んだ郵便に困らなさに加えて、ジャズ、ブルーズ、更には南欧音楽、中近東音楽などのオリエンタル要素までが妖しさムンムンにでろでろ遠慮なく入り込んだ、さながら暗黒密教地中海マジカル民族オカルト・ドゥームの模様を繰り広げていた彼らだったが、本作に至ってはそのエスニックさが後退。
そのぶんだけニューウエィヴ/ポストパンクみというか、80年代ゴシック/ポジパンの妖艶な黒ずみ色素が前面化してる。
そのせいか、海外大手評で「BLACK SABBATHに入ったスージー・スー(SIOUXSIE AND THE BANSHEES)」と書かれてて、いやでも「ドゥームの象徴」としての意味合いならばさておき、実際には以前よりサバス要素相当に減ってないっけ?とも思わないでもなかったりだけど、それはそれと言いたい趣旨はもっとも頷ける話でもあり。
(曲によっちゃだけど、トニー・マーティン期、いやCANDLEMASSっぽいと言われればそんな気もしないでもない…かな。あ、でもIron Manにブラストパート入れたような曲もなんかあるっちゃあんだよなー)
中でも序盤での80年代インパクトの印象付け要員、
特にオープナーM1“Void Meridian”からのリードシングル曲M2“At Races”の鮮やかな艶かしさと、それに続いて暗黒様式が組み上げられていくM3“Fire on the roof”の煤けたメタリックさが秀逸なのだが、さらにはジャジーにサックスとギターが絡み合うM5“The Dress”の存在感も出色か。
またそれらでみせる繊細で幻想的なミステリアスさをはらんだサラ・ビアンキンの歌唱も、より情感の豊かさと奥行きが増強しており、それによって世界観に神秘さと色気が増してるのも好印象。
ていうかそれが今回のスジバンイメージを容量以上にイキマシさせてるのだけど、それもあってか何だろ、今回はこれまでの70年代呪詛ネイチャー感をより80年代モードヴィンテージに振ったような印象に仕上がっている。
しかも前作ではまだ見られていた冗長さについても、ちゃんと引き締めとまとまりが改善されてよくなっているなどと、全体的に大手Metal Bladeへのレーベル移籍を経て、バンドの成長と洗練と品格の研磨がうまく進んだ手応えを感じる逸品ぶり。
ラストも、慟哭の奈落へと程よく適度に叩き終わらせては「んじゃ割り勘これ暗いで」ってお感情〆る展開、程々ドゥラームァティックでいんじゃないでしょうか。
WOLF ALICE / 「The Clearing」:60p

WOLF ALICE / 「The Clearing」
去年の8月だかにリリースされていたのを、年末にペラペラめくってたロキソニンの年間ベストアルバム50枚みたいな記事で知った、女性ヴォーカルのUK人気若手オサレヅラ枠新鋭オルタナ、これで4th。
前作↓で知った身なのでこの新作にも向かってみたんだが、あちゃー。
そっちにガッツリ行っちゃったんかぁー…。
インディーロック、ソフトロックらしいドリーミンな柔らかさと、オルタナメタルっていう程でもない安直なハードさが7:3くらいの塩梅で組み合わさっていた前作は、とはいえそれなりに付けられたアクセントの効きにメタル脳が反応出来たのだが、しかし本作に至ってはその3/10を占めていたハード性、動性、激性、騒々しさやランチキさやらが、ごっそりデリート。
結果、残った緩やかで穏やかでナイーヴな牧歌的お花畑ソフトネスと夢見がちノスタルジーと、そういうやつで埋め尽くされた作りがまずは特徴的だ。
成る程、ガッツリ本腰そっち方面に向かうのはそれはそれで多分そっち側的にはアリっつーか正解なんだろう。
てか寧ろ英国ロックバンドとしての彼らにとっちゃ、これまでの取って付けたようなおざなりのお飾りみたいな米産安直大手コンビニメタル要素からの脱却というのも、確かに話としちゃ判らんでもない。
結果、60~70年代っぽいレトロヴィンテージな雰囲気が漂う、フォークロアでアコースティックな作風。
柔らかで人の手の温かみの伝わる、クラフトっぽいスポンテニアスな音感。
その繊細でエヴァグリーンな生々しいメロディックさは、それはそれで恐らく魅力的なはずなんだろうが、いやでも待てと。
残念だけどこれ、パンク生まれメタル育ち趣味とセンスの悪そなやつは大体同郷というぼく個人の私的感性だけで言うと、あーごめん。悪いけど、クッソ退屈以外の何者でもなくなったわ。
歌い手の表現力を訴えたM2“Bloom Baby Bloom”や、ソウルフルに今回の目玉をオシャレに飾るM3“Just Two Girls”など、中にはそこそこ聴き応えのある楽曲もないわけではないが、それ以降はのんびり安穏でスローすぎてあくびが出るぜ。
せめて淡々とロックグルーヴを描くM10“White Horses”くらいのオルタナしい気風の躍動感くらいは維持してもらいたいところだけど、まいいやもう。
それについていけない老害メタルジジイは、速やかにここで脱落しときますね。
DREAM THEATER / 「Quarantième : Live À Paris」 :84p

DREAM THEATER / 「Quarantième : Live À Paris」
ラスト一枚は、ライブアルバムのこれを。
だから趣味とセンスがカビたヘビメタ村のおっさんは、いいから黙ってこれでも聴いてろとだな。
いやね、去年から今年の長めの年末年始休みはひたすら引きこもって家の大掃除ばかりやっていたのだけど、その時に延々リピートしまくってたのがこのドリムシのライブアルバムでした。
現マイク・ポートノイ出戻り編成によるバンド40周年ワールドツアーでの、2024年11月23日開催されたフランス、パリ公演レコーディング、とのことだが、唯一無比にして唯我独尊なこのバンドの醍醐味が全29曲たっぷり味わい尽くせる秀逸ライブ・アルバム。(DVDもあり)
まずは何と言ってもイメワ&メトポリ2の私的最高傑作2枚からの出典を要所でインパクト付けつつも、その周辺アルバムから新作までを程よくピックされた鉄壁のセトリっぷりよ。
特に幕開け、メトポリ1からシームレスに“Overture 1928”~“Strange Déjà Vu”へと流れるこの極上メロの瑞々しき流麗さと展開の叙情美は、今更ながらも臨場感ある生々しい音像で聴くとやっぱりアゲ度が違う。
この出っ端の強力な掴みで一気に引き釣りこまれるわけだが、でいてそこからの「AWAKE」のヘヴィチューン“The Mirror”に“As I Am”などのメタリックな剛性圧も彼らならではの持ち味か。
かたやこれらの中に置かれるとその華やかさが引き立つ“Panic Attack”に、ここでやるかな名曲“Under a Glass Moon”、
更にはアルバムだと正直ふーんって感じな20分超えの長尺曲“Octavarium”もこんだけなステージのクライマックス曲となると、鮮やかさも違えてバえりまくる始末ときた。
(ルーデスの鍵盤ジョーダンみたいにかっちぇー)
しかもそんな怒涛のバカテク楽器勢に囲まれて押されがちでぴえんなラブリエたん(Vo)だけど、ラストもラストのアンコールパートでようやくの主役曲“The Sprit Carries On”で歌いあげブッかまして巻き返す展開めっちゃ胸アツだし、からのプルミーとかマジご褒美だし。
…ていちいちあげつらってたらキリがない程に、3時間弱というボリューム感もさることながら、同時にそれに見合うだけの超絶テクニカルさを駆使しての見せ場と聞きどころが、まあエゲつない位に多いわ多いわ。
今更ながら、このバンドが40年というキャリアを、如何に普遍的に優れた楽曲によってプログレッシヴメタルとしての壮大で強固な世界観とそれにふさわしい表現力を振るってきたか、同時に如何に米市場第一線のメタルバンドらしいイイ意味での時流感の柔軟さとライブアクトとしての現場での圧倒的強さで生きながらえてきたか、
その最も美味しいところを、ごっそりパッケージングして並べ眺め頂くがごとき壮観さで、うん。これはいいライブアルバムだ。
以上、今週の4枚でした。
COROなー。
これちゃんと昨年聴いていたら、恐らく年間ベスト枠食い込んでたなー。
あでもドリのライブも、MESSAもめっさ良かったです。
(やべ、お気に入りのメタルレビューブログで前に見たネタパクっちまった)
てことで昨年の残りもののお片付けも済んだことだし(まだ少し残ってんのはぽちぽち出してきます)、んじゃそろそろ、2026年いっとくとしますか。
ではまた。

CORONER, MESSA, WOLF ALICE, DREAM THEATER,
・ネタが古い、おっさん臭い、と言われても古いおっさんが書いているので、仕様です。
・ふざけたこと書きやがってと言われても、ふざけて書いているのでお許しください。
・ネット上のものがすべて本当だと捉えがちなおじいちゃんや、ネット上のものにはケチつけても許されると思いがちな思春期のおこさまのご意見は全てスルーします。
・要するに、寛大な大人のご対応をよろしくお願いします。な?


