ようこそ、忖度村へ。
村長の黒崎正刀です。
何が好きかより何が広告かで音楽を語れよ!(逆ギレ)
それじゃ週末高齢、今週の4枚は「昭和の日(4/29)」らしい、昭和脳セレクトで。(平常運行)
なお、ANTHEMに関しては、そのカッコヨサに熱帯びて珍しくおちゃらけ損ねた個別レビューもどうぞ。
RISE OF THE NORTHSTAR/ 「Showdown」:82p
デビュー以来、フランスかの地からクールジャパン、特に平成黄金期ジャンプのバトル漫画&ヤンキー漫画に対する間違った愛と熱情を間違って炸裂させ、間違った男塾ハードコアへと直進行軍させてきた、我らが魁!RISE OF THE あばれる君 NORTHSTARさんたちのつかもうぜサイヤ魂が今回の新作でも止まらない件。
なお、ここで「え、誰それ?」という方がいたら、まずは彼らのPV↓を先にチェックして頂きたい。
彼らのその熱きサイヤスタイルを知ることが出来るだろう。
「かーめーはーめー」
なこの初期からずっと、果てしない熱度でジャパンのマンガサイコー、オレタチのハードコアでトリモドセサイヤ魂やってきたパリの間違ってる漫画/アニメヲタ不良ども。
しかもこの頃の初期はなんと「ろくブル」よろしく学ランを着ては、やれ”Bejita’s Revenge”だの“Demonstrating My Saiya Style”だのを歌ってきたものだが、
学ラン、短っ!!
何このドラえもんたち。
で。流石にアルバム3作目たる今回からはそのマイ・サイヤスタイルも新たな衣装にと、特注ジャンプスーツをご着用。(ジャンプだけに)
このように、見た感じからして日本の漫画文化とヤンキー文化のなにかを大きく間違えたSLIPKNOTという感しかないが、ではそんな彼らが、一体どこを目指そうとしているのか。
それはもう、この彼らの衣装にもしっかりと刻まれているから迷いがない。
↓
「行くぞ甲子園」!!
おおおおおおおおーーーーっ!!
カキーーーーーンっ。
ってBUDOKANでもTOKYO DOMEでもなく球場目指しちゃったよこの人達。
大人なのに。
と、そんなGO TO KOSHIENに南ちゃんも一目散で逃げ出す、余りにROOKIESすぎる最強MUNEATSUクロスオーヴァー・ハードコア、本作で3rd甲子園。
そもそもその名の由来が「北斗の拳」というこのノースのスターだが、そんな昭和末期中学生ばりに胸に7つの傷を持つ袖なしライダースが愛で空から落ちてくるタフボイタフボイ、
今回も初っ端から極悪リフに続いて、
「ぬおあたたたたたたたーっ!あたあーっ!」
と、あのレンチェ様すら無想転生させる世紀末救世主っぷり。
その他にも、ぴーぽーのおしっと展開に重ねて、
「TONIKAKU!
ORE WA OMAE GA KIRAI!!」
など謎の日本語を混ぜ込みながら、フランス母国語に英語を交えて何言ってっかわかんない不良バトル漫画コアをド炸裂させるなど。
正直、やっていることは割とベタというか、90年代ニューヨーク・ハードコアと、BIOHAZARDあたりなリンプ/リンキン以前のミクスチャー、そこにKORNやらゼロ年代ニューメタルやらのエッセンスを取り込んだもの。
しかもその不良イズム含め、WU-TANG CLANやICE CUBEなどの90年代ギャングスタラップにも強く共鳴しており、ま要は目指したいのは「Judgement Night」サントラワールドの現代メタルサイヤスタイルみたいなもんか。
ただし今回はメタルサウンドとしてのダイナミズムやスケールアップを求めてか、やたらとSLIPKNOT色素が前面化。
結果、ソリッドなエッジの鋭角さだったり、パーカッシヴなけたましい突進感などによるメタリックさが高まっており、そのぶんだけ相対的にHIP HOP要素は減少傾向にあり。
そういやジャケもメカニックになったし…
て、ええーっ?これ、ヴォーカルヴィティアさんのぼくがかんがえたさいきょうのろぼっとだっていうのかい!?
(↑真空の宇宙空間に舞い上がる桜吹雪は、メタル)
もっとも個人的には、デビュー作を大きく洗練させながら、90年代ギャングスタラップの旨味を満たしていた前2nd「The Legacy of SHI」のほうが好みっちゃ好みなんだが、でもそれはそれ。
(あと後半のメロウな展開になると急にテンションが落ちるのも残念)
いかにもB級なネタもの(本人達は本気なのがまた)の味わいといい、まだまだ十分楽しめそうな逸材だ。
ちなみに当評点は、昭和生まれジャンプ育ち(頭の)悪そなメタルは大体大好きという民明書房レーティングによるものなので、まともな現代感性に換算するとマイナス6pくらいがたぶん妥当なとこなんだろうな。知らんけど。
「黒い面」。
まんまだなおい。
(なのに、何なんこの格好良さ!)
ANTHEM/「Crimson & Jet Black」:85p
同じ愛すべきメタルとはいえ、完全にリーグ違い。
何せ上のは「行くぞ地獄甲子園」だったが、こっちはメジャーリーグに挑むやつだ。
てことで、Nuclear Blastから海外進出を果たした日本最高峰ベテラン・パワーメタルANTHEMの次なる一手は、やはりフルトラック英詞歌唱でのフルレンス・ニューアルバム。
バンドとしてのスタジオオリジナルとしては、17thとのこと。
とはいえそこは安定のあんてむブランド。
往年からの正統派ヘヴィメタルが揺らぐはずもなく、「これこれ!」といういかにもなANTHEMらしさを固持しつつ、枯渇することなく今なお剛直で凛々しさに満ちた「普通に速くてカッコイイパワーメタル」を堪能できる。
特に秀逸なのが、前半にかためられた疾走チューンの連打連撃だ。
なにせオープナー1M“Snake Eyes”から、よどみなく畳み掛けるM2“Wheels Of Fire”、そしてM3“Howling Days”へと続く冒頭一連の流れには、思わず「やっぱりカッコイイなANTHEMは」とガッツポーズ脱糞確定。(要老人おむつ)
しかし途中のスローなヘヴィチューンやネオクラ・インストの月並みレベルな出来には、所詮はアルバムの彩り要員、と辛うじて理解しつつ、
さらに続く中盤の速い数曲は、うん、そこそこマシか…と軽めには頷けて。
ところがその後の後半数曲で、いや悪くはないけど…と次第に真顔に戻っていき。
そしてクライマックスのM11“Mystic Echoes”でちとばかしダレかけながらも、ん、ちょっとエモくない?と気づき始めているうちに、
ラスト曲M11“Danger Flighht”のきらびやかに、やだ何このエモカッコヨサー!と巻き返しては結局「やっぱりカッコイイなANTHEMは」にまた至れるというのが、おおまかな本作の流れか。
相変わらず森川さんの声は熱気を帯びた深みと男臭さがあるし、そして今回の清水さんのギターはツボを押さえつつも、随所で耳を引くプレイを披露。
そして勿論これらはリーダーの統率力と、衰えぬ職人的な楽曲ライティングあってこそのもの。
で、色々ひっくるめて、とどのつまりが結局「やっぱりカッコイイなANTHEMは」だってなるこれ。
そりゃ歴代きっての傑作というものじゃないけど、でもいつもどおりに堅実な今の彼ららしいアルバムだと思う。
なお、詳細に関しては個別レビューをどうぞ。
OVERKILL/「Scorched」:70p
かれこれアルバム20枚目、だそうだ。
80年代諸初頭から東海岸の気鋭スラッシャーとして名を高めてきた、ぼくらのOVERKILLによる新作は、スラッシュメタル回帰と、旧来のスピードメタル/パワーメタルという原点をも見据えたメロディックな正統派ヘヴィメタルへの志向という、古くからのメタルおじさん達には本来、ありがたきものなはず。
成る程。スピーディに畳み掛ける、冒頭から「Under the Influence」や「The Years of Decay」を思わせるスラッシィなザクザクしたリフと展開。
そこに昔から持っていたヘヴィメタルの要素を合わせて、欧州メロディックに、あるいはドラマティックに仕立てている。
しかも後期BLACKSABBATHみたいなイントロ、IRON MAIDENのような展開、どこかOZZY OSBOURNEを意識したような歌…。
そして、相変わらず甲高くシャウトする、ボビー “ブリッツ” エルズワースの独特のヴォーカル。
相変わらず主張も躍動感もバッキバキな、D.D.ヴァーニの鬼ベース。
よりメロディックさを増す、デイヴ・リンスクのギター。
構成されているものは、どれも間違いなく、OVERKILLだ。
向かっているのも、あの時代のメタルだ。
かつてぼくらを夢中にしたスラッシュメタル、パワーメタルをなんとか再建しようとしている。それは間違いない。
しかも未だにガツガツした疾走感と攻撃性を維持している。それは確かに、凄い。
最近の彼らにしちゃ、そしてこの時代モノにしちゃ結構、頑張っている。
わかる。わかるんだけど、なのに、なのに一体なんだろう。
あまり刺さらない、この「ああ、うん…。」という、微妙なコレジャナさ。
何故だろう、やろうとしていることはよくわかるのだけど、インパクトに届かない。
そりゃおかしなヘヴィネス方向に向かってほしいわけでもないんだが、だからって往年風スラッシィなら曲がつまんなくてイイってもんでもないだろうし、メロディックだったら何だってイイってもんでもないような気もする。
「ギラッギラにトンガっていた80年代黄金期以降、あれこれ試行錯誤してた90年代くらいまでは辛うじて珠玉の逸材としていたのが、ゼロ年代以降、経年劣化が目に余るようになってきて、今や現役でまだ何とかやってくれていることだけが最早ありがたさにすらなっている」
近年のアルバムを聴く都度、OVERKILLも最早そういう存在になってきたなあと、ふとため息が出る。
とはいえこれも数年ぶりに届いた古くからの仲間の便りみたいなもんで、元気でやってくれればそれでいいやもう。
100GECS/ 「10,000Gecs」:73p
「オモシロくやってます」と、↑このジャケからそのキツいおサブカルスメルが匂い立つこれ。
初っ端,1M“Dumbest Girl Alive”(↓)のイントロで、この令和にNIGHT RANGERの“Big Life”でもおっ始まんのかと昭和が勘違いしや、当然そんなことがないニンテンドーコア展開。
さらに歪んだメタリックなギターリフでオートチューンヴォーカルとフューチャーベースとラテンみR&Bを呼び込む、この2023年最先端ポップス事変よ。
米シカゴ、はいーぱぽっぷの寵児と、例の意識はいーぱ系フォークメタラーどもも大絶賛で目下はいーぱはいーぱな、この話題のハイパーポップ・デュオ。
そのユニット名を冠した前デビューアルバム「100gecs」に対し、今回はウォーズマン理論に従って×100倍で「10,000gecs」パワーだぁーっ!とトリモドセサイヤ魂ばりのインフレタイトル展開なこの2ndアルバムが、まさにこの2023年ポップトレンドの寄せ集めよう。
なのでこれを「20年代ポップマウントバトルもの」とだけで片付けるのはそんな難しくないのだけど、しかし。
こういう使い捨てコンビニ・ポップの楽しみ方は、その風見鶏のまわりようの味わいであって、例えばぼくらメタル村から傍目に眺めても面白いのは、エクストリームメタルの激烈性に対するキッチェでギークな「ネタ」扱いだ。
なかでも、あえての田舎風味でスカコアをいじって和んだり(M4“Frog On The Floor”)、ヒキツりポストロックを現代トラップ感覚とメタルギターでおちゃらけたM5“Doritos & Fritos”を経ることで雪崩れ込む、M6“Billy Knows Jamie”でのLIMP BIZKITデスコア地獄暗黒絵巻。
最近はこういうメタルやパンクのあしらいが2023年の今風、とはいえ米シーンの上位ポップバンドがやる時代か、とぽえむ専門誌もモノ知り顔で「これメタルの新境地」とすのっぶすのっぶしてそうだけど、んなこと言ったらジャパンでこないだ始まったクソアヌメのオープニングだって結構なメタルの新境地やぞ。
とそんな現代EDMにポップパンクとニューメタル、果てはデス/ブラメタまでも流し込んでは、この2023年シーンにメタ&チャラな俯瞰作戦と、20分ちょい程度なTikTok短期戦に振り切ってるこれ。
言うてもあぶく臭強め品なので、今のうちにサブスク漁ってかじっておくのもアリじゃねっすかね、そこそこレベルにゃ楽しめますよ。知らんけど。(鼻毛抜きつつ)
以上、今週の4枚でした。
OVERKILLは、なんだろ、全く刺さらんのだよねえ…。
やってることはいんだけど、コレジャナイっていうか。
もう少し聴いてみます。
それではまた来週。
・ネタが古い、おっさん臭い、と言われても古いおっさんが書いているので、仕様です。
・ふざけたこと書きやがってと言われても、ふざけて書いているのでお許しください。
・ネット上のものがすべて本当だと捉えがちなおじいちゃんや、ネット上のものにはケチつけても許されると思いがちな思春期のおこさまのご意見は全てスルーします。
・要するに、寛大な大人のご対応をよろしくお願いします。な?