ディムボルギルって何なん!?(ボギャー不足の挨拶)
そんな今週の4枚、
おっちゃん飲みすぎてあんま具合よくないだけど、頑張ってサクサクいくとしますね。
UNEARTH/”The Wretched; The Ruinous” :80p
デビュー当時は「MAメタル」とかいう死語の一勢を駈っていた、要するにゼロ年代USメタルコア先発隊ながらも、その後真っ当な積み重ねを全うして着々と歩んできての、これでフルレンス8作目。
なおここでオリジナル・ギタリストであるそして輝くウルトラちんこが脱退しているが(AS I LAY DYINGに加入)、しかしその損失を見せていない秀逸さだ。
モダンさに加えてデスコア交えて刺刺しさを高めたブルータルな作風が強めだった、前作「Extinction(s)」。
あれはあれで悪くはなかったが、それを踏まえての本作では多彩ながらも「これぞUNEARTH」という展開をこれでもかとぶっ込んでの、よりストレートかつよりメロディックな作り。
例えば冒頭からホラクルなサビ展開がほら来るタイトルトラックM1“The Wretched; The Ruinous”に、爆走と重厚さの中から吹き上がる叙情性がエモいM3“Eradicator”。
更にはM5“Invictus”の慟哭に帆走するピロピロギターリフなどなど、前編随所から炸裂するその「これぞ」にニンマリとガッツポーズと脱糞がとまらない。(要下痢止め)
かたや若干中盤がダレかかるものの、後半にもソロワークが見事なメタルコア・アンセムM9“Into the Abyss”、キルズウィッチかと思ったら何だただのSKID ROWかなノリノリロックンロールM10“Broken Arrow”を配置するなど、聴きどころも多し。
しかも相変わらずソリッドでスラッシィな高殺傷力のリフワークは、海外評で「くまのプーさんのホラーのやつより容赦がない」といじられていて笑うなど。
「UNERTHが、まさしくUNERTHたらんことをやっている」
そんな印象の本作。
ぶっちゃけ、さほど物新しいことをやってはいないが、でもいんだよこれでこいつらは。
これまで重ねてきたキャリアに足る成熟と研鑽、しかしながらまだ老いるには遠いベテラン現役の力強さと剛健さ、つまりは現状の彼らならではの強みと旨味が味わえる秀作だ。
ちなみに先行カットされたそのタイトルトラックのPV(↓)では今年(2023年)初頭に行われた来日ツアーのライブ映像が使われており、その東京公演での熱いステージと渋谷の街角で吠え散らかしてるおかしな外人さんを見ることが出来る。
WINGER/”Seven” :76p
いつの間にか前6th「Better Days Comin’」(2014)から9年という長い月日が経っていたことに往年のファンどもが驚いて、「ええっ、ていうか「Pull」の後ってあったんだ!!」と知らなくても何ら生きてく上で一切問題がなかった事実を前にしてしまう、彼女はまだセブンティーンなうぃんがー通報切符さん、実はこれでまだ7作目、その名もSeven。
その歩みを振り返れば、代表作にしてド名盤のデビューアルバム「Winger」、それには結構劣るB’zみたいな曲やってた2nd「In The Heart Of The Young」をリリースした後、METALLICAの楽屋でダーツの的の役をつとめるなど(やめろ)順調な活動の最中に起こったニルヴァーナ直下型大震災ショックで、音楽性崩壊。
以後、ラブコメヘアメタルからモダンカッコワライな硬派オルタナ学園バトル路線へとテコ入れがなされて、ほそぼそと活動継続。
あれから30年以上、最早その音楽性に毎度毎度かつての初期のようなキラキラしさを待ち望んでいるなんておめでたい純朴さが、今やよく燃え尽きそうな某お花畑専門誌の「今月の忖度」以外に現存するわけがなし。
寧ろ未だに80年代USハードロック由来のグランジPTSDメタルをいかに高水準に作り続けるかな90年代地縛霊バンドの一つとして、順当に今回もいい感じに地縛ってのぶら下がりメタル(Hangin On)ぶりが微笑ましい。
※個人の感想です
そんな80年代LAメタルが受けたグランジオルタナへの呪詛をこの令和に未だに続ける、呪霊の塊みたいな本作。
相変わらず、1994年でお使いの感性の更新は終了しましたな平成最新ロック。ご忖度な躍動感やら若々しさなんてほとんど存在しない、「90年代に縫い付けられたゴーストメタル」だけが残しうる美味みだけがここに残っていて、でいてそれが、いい。
※個人の感想です
反面、その副作用というか、いらんしょうもない曲が1/4くらい占めてるのだが(ムラ多すぎ)、逆に言えば残り3/4がいい感じに「あのWINGERの余生」を呪わしくも鮮やかに描いていて、ちゃんと旨味に耐えられる。
※個人の感想です
しかも賞味期限切れにも程があるものを、ちゃんと彼ら流のポップ刻印入れて成熟ハードロックに仕上げて見せるのも、流石の手腕だ。
例えばM2“Heaven’s Falling”みたいな今やこのバンド以外が作れない、ミステリックな名ハードロックとかやられると、もう「余計なこと一切せんでいいから、たまにこういうのを生むためだけに存在していて食いつないでほしい」と思わざるにいられない。
勿論、とはいえそこは所詮、養老施設内向け娯楽アイテム。
とてもじゃないが声高に村外へ褒められたものではないのだが、それでも「「Pull」は勿論、「IV」も「Karma」も普通に良盤ですけど何か?」というつわものどもなドヤリアタイのドヤリスナーであれば、この令和に最早駒数も少ないレア呪物の楽しみくらいはいくぼか程度に残ってるかと。
※あくまで個人の感想です
ENFORCED/”War Remains” :82p
Century Mediaからのリリースとなった前2nd「Kill Grid」が好評を博していた、この米ヴァージニアのクロスオーヴァー・クインテットによる3rdフルレンスがやっぱりもって激アツな件。
一応説明しとくと、クロスオーヴァー、といっても昭和のアレとは違うというか違わないその令和延長線上というか、つまりはSLAYERド直系のザクザク突貫オールドスクール・スラッシュメタルに、ミドルテンポのビートダウンにハードコアのグルーヴを加えたようなやつの、いやだから要するにSLAYERフォロワーなスラッシュメタルだろを身上としている。
何せ前作の41分にさらに圧縮をかけて33分にまで縮め、一切の無駄という無駄を省いて削いでのシンプル至極を求めてみせた本作。
どこぞの偉大なるスラッシュ先駆者様リカに突きつけてやりたい立派なReign in Bloodメソッドだが、それはさておきかくも潔さと勢いの良さで、冒頭から突っ走っては程よくビートダウンをかましていく本作。
M1“Aggressive Menace”からけたましく怒涛のフルスロットル、と思いきやOBITUARYかAUTOPSYなミドルリフから暴走パートへと突入しては、いっけなーい血の雨血の雨とあたしケリキンするM2“The Quickening”。
更にはそれなんてデスエンジェルの1stなM8“Ultra-Violence”ではメロディックなギターも展開しつつ、タイトルトラックでもSLAYER愛を熱烈アピ。
思えばアルバム名からしてウォーアンサンぶってる本作、オリジナル要素は爪の先ほどもないデッドスキンマスク令和復刻版ではあるのだが、それがどうしたと言わんばかりな押忍!!クソ男スラッシュメタルっぷりは、メタルと煙は高い岩の上が好きなバンドのおしゃれアー写からも伝わってくる。
徹頭徹尾、単刀直入、問答無用のスラッシュメタル。
THE ST PIERRE SNAKE INVASION/”Galore” :78p
今週のサブカルたれ!枠。
回し始めには「THE DILLINGER ESCAPE PLANにポストパンク/ニューウェイヴとインダストリアルを加えたっぽいものだけど、毒素は見当たらないな」と思い油断していたら、数曲もした頃にじわじわ痺れてきて、あれ何この麻痺感…と思うころには神経毒が回り込んでいるという、ちょっと油断ならぬこれ。
英ブリストル発。
テン年代から活動を続け、これが3枚目にして気鋭Church Road Recordsからのフルレンスのようなのだが、ぼくはこれが初となる。
ちなみにバンドネームの読み方は、サンピエール・スネイク・インヴェイジョン。
後期THE DILLINGER ESCAPE PLANやSIKTHみたいなカオティックハードコア~マスロックに、!!!やLCD SOUNDSYSTEMあたりに通じるディスコパンクを混入。
さらに、ときに応じてALICE IN CHAINSあたりの病み(闇)がかった90年代グランジならではの淀みと汚れと泥濘みと、PITCHSHITERのマイクロウェイヴが煮崩れたようなデジみをも加えて、ついでにマシマシでdjentと、ほわぽにだっしゅと、エモ、インディーロックのノスタルジックな鍵盤音までをも盛り合わせて、ギリギリの帳尻を合わせたような…って話通じるのかこんな無茶盛りでこのヴィニーヴィンセント・インヴェイジョン。
このようにサウンドはアヴァンギャルド、エクスペリメンタルにも接近しながら、しかしパンクな衝動性を失わない。
不吉で不穏にきしみ歪みんがら、どこか素っ頓狂でとらえどころがない。
なのに、妙にポップで、躍動感がある。
なんだこりゃ、おっと毒が…。(クラッ
…と、確かになりはするのだが、しかし。
それら要素の各面での飛び抜けが欠けるのか、その致死量に至らなさと毒抜けの早さのせいで、アルバム終盤にはこの「ホラ見ていびつでしょ」世界を「そうだね変わっているね(棒読)」とこんな真顔で答えてしまう冷め冷め展開なこのスラッシュズ・スネイクピット。
うーん、面白いっちゃ面白い存在感ではあるのだけど、あっちゃこっちゃと、しかも割りとベタめなものをやり過ぎて軸ブレ起こしとる気もせんでもなし。
以上、今週の4枚。
どれも結構良かったです。
ENFORCERの新譜よりも遥かにかっちょいいENFRCEDの新譜は、こっちのDの名を持つ者のが断然圧勝。(そりゃそうだ)
あとちなみにぼかあ「Pull」は勿論、「IV」も「Karma」も普通に良盤だと思ってますけど何か?←ドヤリアタイ
(ていうか9年前の前作の記憶が全くないんだが、今更掘り起こす気すらないし、てことは知らんが多分どうせその程度)
んじゃまた来週。
・ネタが古い、おっさん臭い、と言われても古いおっさんが書いているので、仕様です。
・ふざけたこと書きやがってと言われても、ふざけて書いているのでお許しください。
・ネット上のものがすべて本当だと捉えがちなおじいちゃんや、ネット上のものにはケチつけても許されると思いがちな思春期のおこさまのご意見は全てスルーします。
・要するに、寛大な大人のご対応をよろしくお願いします。な?