週末やり損ねた今週のチェック4枚を消化する、ゲツヨル休肝日。
ところで休肝日用にカフェインレスコーヒーっての買ってひいてみたけど、カーッ、おっめェたっけえなあ、オラびっくりしちまったぞ!(←脳内野沢声)
今週は4枚ともにレベル高し。
SLASH FEATURING MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORS/「4」:76p
アクセル・ローズが歌わず、その同レベルに華も格も備えた名シンガーに歌わせると、こうも違うものになるのか、あるいはこうも違う表現になるのか、と今更ながらに唸らせる、スラッシュ(Gt)とALTER BRIDGEのマイルス・ケネディによる新作、タイトル通りの4th。
いかにもGUNS N’ ROSESみたいな曲(まんま“Sweet Child o’ Mine”だったりとか)もあれば、そうじゃない面をも見せるものもあり。
その一面一面で、ああ、歌い手がアクセル・ローズじゃないとこうなるのか、こういうカラーリングを帯びるのか、とその距離感を楽しみながらも、その一方でまたGUNS N’ ROSESでのスラッシュとは違った活用法や料理法をも知らされたり…。
と4枚目にしてそれまたかよみたいなことばかり言っているけれど、未だにこの滑走感とウネウネしたギターラインにはどうしたって「アクセル声」を脳内再生で重ねてしまうのもまた事実な世代なので、こればかりは毎度ながらに仕方がない。
まあ、正直そろそろ新味はなくなっちゃいるのだけれど、別にそこで勝負しているわけでもなかろう故に、これはこれ。
むしろ流石に養われてきた安定感とともに、本作に至ってはスラッシュのギターに、コクや哀感のようなものが乗ってきており、そこに熱っぽい濃い口なマイルス・ケネディの歌がパッションをかぶせていくのが醍醐味となっていよう。
H.E.R.O./「Alternate Realites」:78p
音楽性とかはさほど関係なく、出身、US産ではなく北欧モノだと「ヘヴィ・メタル」枠でありとのお許しが出るという例の謎システムのおかげで、国内保守高齢化メタル農村でも正規扱いされているらしい。
…っていうジョークはさておいての、デンマークのモダンロックバンド、3rd。
垢抜けが弱かったデビューからEDM導入でモダン化を勧めた前作に続き、ここではややダークな色味を強めてきたといった感のある新作だ。
つまり全体的にぐっと暗みを帯びながらも、滑らかで叙情的なメロディと、キャッチーな歌メロを配置。
そしてデジタルに塗られたダイナミックな音像のなかを縫うように走る、いきすぎないヘヴィさのギターリフで、ピリッと味付け。
そのせいでトーンが揃っているのとアプローチの幅が狭めなぶん、似通った曲ばかりじゃねーかと思わなくもないのだけど、それも見方を変えれば統一感があって作風がバラけていない、と良く言うことも出来るだろう。
しかもよく聴けばっそこには粒の揃った良曲がぎゅっと詰まっていたりと、密度の濃い作りは決して悪いものじゃない。
何せこの(↓)レベルの曲がアルバムそこらにゴロついているのは、やっぱり高く評価すべきだ。
ひとまず冒頭の一言は余計なお世話だとしても(笑)、この路線ならあちこちにマッチョな雄叫びをまぶしてきたであろうUSメイドと違って、がっつり歌モノに仕上げてくるのは、やはり北欧産のこのバンドならでは。
尤もこの高音ファルセットを多用したヴォーカルは、スタイリッシュといえばそうかもだが、時折ちょいキモい気もなくもないのはぼくだけか。
DRUG CHURCH/「Hygiene」:76p
ニューヨーク出身の、多分これが2nd。
しばらく「ふーん。」とリピっていたのだが、その毒性のような魅力がじわじわと遅効性で効いてきた。
ハードコアパンク・バンド、と一応紹介されているようだけど、実際には「ポスト・インディロック世代のグランジ解釈」、と言ったほうが標榜するサウンド像には近かろう。
ノイジーに濁ったギターリフを軸にしつつ、淡色のメロディを散りばめ、ザラついた荒い音像にイノセントなポップセンスを広げている。
しかもその轟性に、どこかキッチェでチープなインディみをべちゃべちゃと塗りつけながら。
ジャリジャリした耳あたりのドライブ感にドリーミンな甘みが混じり込んでいくこれ(↓)なんか、その最たるもの。
ハードコアパンクと呼ばれるくらいの刺々しいラフネスや激情たおやかかにギラついた狂おしさが、やもすれば気取りがちなサブカル臭文系をしっかりと押さえつけて勝っているのも好印象だ。
FEEDER/「Torpedo」:78p
ベテラン英国ヘヴィロックバンドの新作。
本作で12thらしいが、これがなかなかに優れていて、かなり気に入った。
取ってつけたような90年代マナーの濁流オルタナリフに、英国らしい端整なポップセンス。
こういうのを目ぇキラッキラに「NIRVANA好きなんですぅ~!」な新人バンドにやられても、それがどうした十年早ぇわ位にしか思えないけれど、貫禄とゆとりの手綱で血に足つけてこいつらがやるのはそりゃ全然にアリだ。
なかでもこういう(↓)、スマパン染みたオルタナグルーヴの中に颯爽とした朗らかさが浮遊感として溶け広がる曲とか、たまらんモンがあるなあ。
以上、今週の4枚でした。
今週はどれもみな、イイ出来。
なので皆お勧めでもいいくらい。
ではまた来週。