MEGADETHの始まりと終わり~MEGADETH/「Killing is my business…and business is good!」(1985)

MEGADETH/「Killing is my business…and business is good!」(1985) ヴァイナルカフェ
MEGADETH/「Killing is my business…and business is good!」(1985)
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せわしない中にいきなり突入した、11月初頭の三連休。
とりあえずコオヒイひいてレコオド流して休日恒例ヴァイナルカフェ。

なおお茶請けは、
娘ちゃんが焼いたハロウィンクッキーを。うまうま。

MEGADETH / 「Killing Is My Business…And Business Is Good!」(1985)

時間は流れるもので、
人は歳を取るもので、
若者はおっさんを経て老人になるもので、
どうやらMEGADETHが来年の2026年早々に、活動40ウン年にしていよいよラストとなるスタジオアルバムを出す、とのことらしい

初恋は実らない、
80年代半ばには、ぼくの中で一番好きなバンドに最も近かったMEGADETHは、しかし。
90年代にマーティ・フリードマンが入って音楽性に柔和なメロディックさが増えたことで全米ウン位をめでたく取れたらしいが、そんなことより肝心な持ち味のピキリきった緊張感やKILLりつけるような鋭角なスピード感がごっそり減ったことで、どうでもいいバンドになってしまい(※1)
それから三十年以上も、どうでもいいアルバムばかりをずっと出し続けた挙げ句(※1)、新作の期待の欠片すら抱けないどうでもいいバンドに成り下がり(※1)
そのどうでもいい果てに(※1)、全くどうでもいいラストアルバムを出すというのようだ。(※1)

そんなどうでもよくなって随分と久し過ぎるぼくだが、しかしMEGADETHとの出会いとなったこのアルバムだけは、今となっても眩しい輝きにしか映らない不朽の名作だと思っている。

いや実を言うと、そこに絡むエモい思春期ならではの昭和エピソードもあるんだけど、いいじゃないか。何ならそういう甘酸っぱいのすら込みで、あの当時に輸入盤のこいつをなけなしのこずかいで買った自分をめい一杯褒めてやりたい。

 

 

どうも令和の現在じゃリミックス&リマスターが施されてマトモな音質になったこっち↑のほうが一般的らしいが、冗談じゃない。
MEGADETHの1stといったら、ぼくが当時買ったこのオリジナルのレコード版以外に絶対ありえないし、少なくともぼくは断固認めない。

1985年リリース、MEGADETHのデビューアルバムである本作。
タイトルは、殺し屋最高。(バカ)

ただし、既にご存じのように当時の一般的な評判は最悪で、(※2)
でもぼくらスラッシャーからの評判は最高だった。

どうしてこうなった、チープでシャリシャリなプロダクション。
特にリズム隊のペラペラな厚みのない演奏に、
雰囲気モノ、というかコケオドシの演出。
だけどバカみたいに速くて、
バカみたいにキリキリとイキりきった緊張感が張り詰めてて、
バカみたいに複雑に入り組んで、
バカみたいに細かい刃で鋭く切り刻むようなエッジまみれの構成。
そしてそこに宿る人のかたちをしたニヒル、デイヴ・ムステインのクールな狂的非凡さが、ただひたすらに孤高でまばゆい。
そんな奇跡を1枚の結晶に封じたのが、このアルバムだった。

制作費をヘロインに使い込んだ、という昭和ほっこりロック逸話が伝えられるこれは、それだからこその峻烈なる才能の原石で、名曲の宝庫だった。

後のMEGADETH流インテリクチュアルスラッシュのプロトタイプ、“Last Rites/Loved to Deth”“The Skull Beneath The Skin”のインパクト。

そしてナンシー・シナトラのカヴァーをバカみたいに速くすることで原型をなくさせるという発想からして正しくメタルなガイキチぶる~ずドスラッシュ、”These Boots”
そしてムス様屈指の名曲“Rattlehead”に、METALLICAへの怨念と憎悪に満ち満ち溢れた懇親の”Mechanix”…。

(ちな知らない方に、MEGADETHの中心人物であるデイブ・ムステインってのは実は元METALLICAのオリメンギターで、んじゃ何でどうなった?についてはggれアリンなんだけど、こんな感じで根の深いすったもんだがあったんやで)

ジャジーで頭のおかしいリズム隊に、クリス・ポーランドの頭のおかしいギターライン。
それらによって領域展開される、頭のおかしいスピード感。

いやはや名盤至極、
この令和に今聴いてなおバグの褪せない、頭のおかしい名盤だ。
え、評点41点だあ?馬鹿野郎、100p以外にありえるか。(※2)

 

さて、話はこの令和に戻るんだが。
その、どうやら来春リリースと予定がなされているMEGADETHのラストアルバムにかの大佐さまは、METALLICAの初期名曲にして、実は彼が元来ライティングに関わったという“Ride the Lightning”のカヴァーを入れるというニュースが入ってきている。

思えば、METALLICAへの確執と憎しみと意地と復讐心で始まったこの殺し屋スラッシュは、
四十余年の果てに、やがてそのわだかまりがほぐれ、溶けて、各々が許し認めあい、浄化され。
その結果、METALLICAという同郷の思いの共有を果たして、どうやら現職をつとめ終えるらしい。

成る程、やっぱり時間は流れるもので、
人は歳を取るもので、
若者はおっさんを経て老人になるものなのだな。

つまり今ぼくの目の前のここにあるのはそんな、MEGADETHという物語の、随分と長くかかったその「始まり」と「終わり」だ。

ならばこういうドラマをリアタイの流れで見れるのこそ、歳を取る楽しみというもの。
現在の彼らには最早複雑な思いでしかない身ではあるけれど、あの頃はムス様に恋した1stからの付き合い、もう少しばかりそれを待つとしよう。

ま、つっても新作自体の出来にはこれまで同様、全く期待してねんだけどな!

 

 

※1:あくまで個人の見解です。
え、「Countdown to Extinction」
いや、いんじゃないですかね、とても優れた駄作だと思いますよ。(あくまで個

※2:当時のRが2つある例の無忖度専門誌で「複雑過ぎてコロッコロ場面変わり過ぎ。あと音ヒド過ぎ」とdisられたうえに「残念無念!」と吐き捨てられて栄えある41点を頂戴したという、今となっては「よくぞ付けてくれた」な、スラッシュちょっと(かなり)イイ話だ。

 

MEGADETH/「Killing is my business…and business is good!」(1985)

MEGADETH/「Killing is my business…and business is good!」(1985)

DATE
  • アーティスト名:MEGADETH
  • 出身:US
  • 作品名:「Killing is my business…and business is good!」
  • リリース:1985年
  • ジャンル:THRASH METAL、HEAVY METAL、HR/HM

 

ヴァイナルカフェとは
近年やっとアナログレコードにハマった超絶情弱時代乗り遅れ管理人、黒崎正刀が、休日の朝に趣味でコオヒイをひいて、その日の気分で持ってるレコオドを流し、まったり鑑賞している間にゆるーくSNSなどで書いているものを、こちらのブログに転用したもの。
よって、そのほとんどが70~80年代の古いものばかり。
尤も音楽批評というかしこまったものよりは、大概がただの独り言程度のたわいない呟きなので、ゆるーく本気にせず(笑)読んでいただければ幸いです。
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