今週のチェック/NIGHT DEMON, MIKE TRAMP, ENTER SHIKARI, SUICIDE SILENCE, -The Weekly Reviews

NIGHT DEMON, MIKE TRAMP, ENTER SHIKARI, SUICIDE SILENCE, 今週のチェック
NIGHT DEMON, MIKE TRAMP, ENTER SHIKARI, SUICIDE SILENCE,
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ついダラダラとダラけがちなGWだけど、そんな今週も4枚あげていってやんよ。

なお、お前のいとこはマイク・トランプさんのソロアルバムについては、個別レビューにてどうぞ。

NIGHT DEMON/”Outsider”:79p

NIGHT DEMON/"Outsider"

NIGHT DEMON/”Outsider”

まずは「ナイトデーモン」と、そのネーミングセンスからして梅澤マンガ「コレがファックボールだあーー!!」ばりの高い知性を感じさせるこのバンドから。

つい先日の4月末に来日ツアーも果たしたばかり、米カルフォルニア出身のトラッディッショナルメタル・トリオ、3thにして遂にCentury Mediaからのリリースと相成った。

この令和にアメリカから放たん、大英帝国復興の狼煙。(多分)
なにせイントロに続くタイトルトラックM2“Outsider”から走る、男泣きの哀愁と大英帝国のイデオロギーよ。(多分)
そしてM3“Obsidian”で鋼鉄のリフが鮮血のようにビューと飛び出しては、「これがヘヴィー・メタルなんだ!」と声をあげて泣き出すぼくの歩兵ども。

特にギターリフやツインギターメロなどにはIRON MAIDENの影響が強く見られているのだが、それだけじゃない。

JUDAS PRIESTのソリッドさ、そしてANGEL WITCHDIAMOND HEADのようなおどろおどろしさ、TYGERS OF PAN TANGのような性急なメロディックさ、SAXONのようなワイルドな疾走感、そしてTANKのような男臭さ…。

80年代にはそうしたNWOBHMの濃厚な影響を見せる正統派ヘヴィメタル・バンドがアメリカ市場にも多く見られたものだが、この夜の悪魔がここに目指しているのもそうした指針を共有している。

しかも煮え切らない湿ったいかにもなメロ使いに、70年代っぽいダークでチープなオカルト感。
そして当然のむさ苦しさに、そこまで上手くない感が醸すB級スメルなど、NWOBHM臭がイチイチ漂っているというこれ、どこのポールディアノバトルゾーン。(いいぞもっとやれ)

反面、ストレートなぶんだけ派手さのないオーソドックスなヘヴィメタル・スタイルといったらそれまでなので、「ふーん…。」とスルーしてしまいかねないのだけど、でもそういうとこですらあの頃のピュア・アメリカン・ヘボイメタルっぽくていい。

例えば、似てるってわけじゃ全くないんだけど、HELSTARとか、OMENとか、POWERMADとか、あと暗黒の戦いCITIESとか、狂気の方程式OBSESSIONとか、仕事の片手間CHASTAINとか、酒井の58点SHOK PARISとかあたりの、ときの波に消えたold my friendなTHIS IS US二流クソメタルどもよ。
VICIOUS RUMORSとかMETAL CHURCHとかクリムゾン先生グローリー仮面あたりの一流どころと、い、い、一緒にしないでよねっ!?)

かくも昭和の中学生男子心をくすぐる、熱い一枚。
これがヘヴィー・メタルなんだーっ!(→涙がなんか水晶とかになってアルカトラスの許に届くやつ)

MIKE TRAMP/”Songs Of White Lion”:81p

MIKE TRAMP/"Songs Of White Lion"

MIKE TRAMP/”Songs Of White Lion”

FREAK OF NATUREの活動で知られるシンガー、マイクトランプ大統領さんによるWHITE LIONとかいうバンドのカバーばかりを収録した、「つーかそんなのSpotifyで昔のアルバム聴けばよくないっスか?」という平成生まれスマホ育ち悪そな頭は大体ゆとりなことを絶対に言ってはいけない、夢見る少年昭和のための敬老グッズ。※1

アルバム名からして「ホワイトライオンの曲」と、「うん、そうだね」以外のリアクションが全く思いつかない余りにもそのまんまな本作。

何せWHITE LIONといえば昔から、アメリカ産のポップさに欧州寄りの美しいウェットさをたたえた珠玉の楽曲とそれを支える秀逸なギター、そしてそれら一切を台無しにできる無感情・無表情なのっぺりシンガー、と高い評価で知られたLAメタル・バンドだ。

そんな「ギター以外の才能がどこにも見当たらない」WHITE LIONのほこっていた昭和アイドル・ヴォーカリストが、往年の名曲を30年ちかくも経った今に歌い直すという、後ろ向きにも程があるこの企画。
しかも頼みの名ギタリスト、ヴィト・ブラッタもなしでマジでやんのか?とリアタイ勢がザワつく本作だが、でもこれが思いの外に割と良かったりするから困った養老ホイホイだ。

一応、年寄り世代からの解説やオススメポイント、あとRが2つあるかつて燃え上がってた無忖度専門誌の取り扱いなどなどについては個別レビューにがっつり書いた通り。
なのだけど、改めてこのバンドが下手ヴォーカルネタで散々いじられてきた一方で、なんだかんだとやっぱり良質の歌モノハードロックを作っては、このお前のいとこはトランプマンのハスキーな歌声を看板にその魅力を広めてきたのかと、この令和に思い返せる出来だったりも。

個人的には、2nd「Pride」収録のヒット曲群は置いておくとして、完全ノーマークだった「Mane Attraction」収録曲M4“Love Don’t Come Easy”の脱糞ロマンチックアメハーに、ちょっとやられた。

なお、詳細は個別レビューにてどうぞ。

※1:これ書いてるときは全くチェックしてなかったんだけど、Spotifyには1stしかないのなWHITE LION

ENTER SHIKARI/”A Kiss for the Whole World”:79p

ENTER SHIKARI/”A Kiss for the Whole World"

ENTER SHIKARI/”A Kiss for the Whole World”

先日KNOTFESTでも来日を果たした、人気UKチャラコアエレクトロハードコア、エンタ氏(仮)。
ゼロ年代の初期からトランスとメタルコア、現代メタルの融合をテーマにしながらアルバムを進め、セールスも好調。
前作「Nothing Is True & Everything Is Possible」も英国内チャート上位をほこっていた売れっ子による、これで7作目フルレンスとか。

新型コロナのパンデミックによっての三年近い活動停滞を挟んでの反動からなのか。
ぱーっぱぱららー、と転生した勇者でも登場してきそうなファンファーレでスタートするM1タイトルトラックから、ドがつくポップさでエレクトリカルパレードするM2“(pls) set me on fire”への流れといい、全体的にシリアスめだった前作から転じて、随分とおつむのおめでたい祝祭感溢れるポジティヴな作風。

メンバーの話によれば、本作は自然の感覚を取り戻すべく人里離れたオール太陽光発電のスタジオによって作られたとのことで、なるほど脳内のお花たちもそりゃさぞ日当たり良く育っ開放的なハピネスはそれにもよるのか。

そんなバンド史イチの明朗さは、しかしそのお花カーニバルの後も、重厚に哀感が近隣パークを走らせるPVカット向けポスコア・アンセムM4“It Hurts”や、レイヴの熱狂を浴びながらしかめっ面ぶらさげるM8“Bloodshot”のダークさなどを経ながらと表情と抑揚を豊かに、軽やかアップビートでテンポよくシームレスに進んでいく。

オルタナ、モダンロック、エレクトロニカ、ドラムンベース、ビッグビート、R&B、マイケミカル、ロマンス…。
あちこちを縫い抜けながらも、そこは流石は現英屈指の秀逸ポップアクト、お手前の器用さとふんだんな予算でカラーリングよく佳曲を揃えてみせては、コンパクトにサクっと30分強一枚おあがりよ。

正直、あーだこうだ語るような作風でもない陽キャ向けパリピメタルなので、頭カラッポで夢詰め込めるHEAD-CHA-LAにしてガッツリ大音量で流せばそれでいんじゃないかな。

SUICIDE SILENCE/”Remember…You Must Die”:76p

SUICIDE SILENCE/"Remember...You Must Die"

SUICIDE SILENCE/”Remember…You Must Die”

ゼロ年代から活動を続ける、カリフルニアのUSデスコア古豪。

何を血迷ったのかロス・ロビンソンを使ってKORNにオレはなると周回遅れのニューメタル路線に踏み込んだものの、当然ながらの評判の最悪さから「ごめんやっぱ違ったわ」と再度デスコアに振り向き直した前作、んじゃハンターにオレはなるから3年。
再び古巣のCentury Mediaに出戻りしての7thでは、その前作の延長線上のような「やっぱこれだったわ」を展開しとる。

「思い出せ…死ぬことを!」というタイトルに、いやお前らこそ思い出せよデスコアを!と数作前なら全世界からのツッコみを受けそうだが、こりゃ自身にも向けたものと理解しよう。
事実そのとおり、切れ味鋭いこざっぱりな疾走スラッシュにハードコアゆかりのスロービート、暴虐グロウルを組み合わせての、サクサク爽快さと荒くれ激重グルーヴによる如何にもなバイオレントさを揃えたピュア・デスコア・チューンが並んでいる。

そんな相変わらず物騒な作りが彼ららしくある一方、エクストリーム・メタルとしての即効性と親しみやすさを損ねないのも流石だ。

ギターリフの格好良さや激烈ドラムの達者さもさることながら、割と聞き取りやすいエディ・ヘルミダ(Vo)の獣じみた凶暴ガテラルで「けぽぽろっ!けぽぽろっ!」とリズミカルに吠えあげるM3“Capable of Violence”や、クソ最悪な人生を憎悪まみれに「ふぁ、ふぁ、らぁ、あーうっ!」と叫ぶM4“Fucked for Life”など、そのいかめし面に反してつい笑っちゃったけど、こういうキャッチーさもなんか上手い。

以上、今週の4枚でした。

今週はどれもそこそこに上出来。
ではまた来週。

NIGHT DEMON, MIKE TRAMP, ENTER SHIKARI, SUICIDE SILENCE,

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