今週はなんつってもMETALLICAやろーっ!!
え?あ…うん、
あと、あれね。
98忖度、ね…。
METALLICA/”72 Seasons”:84p

METALLICA/”72 Seasons”
ついにリリースされた、2023年上半期メタル界きっての一大注目作。
METALLICA、11作目となる話題のフルレンス・アルバムだ。
しかも計12曲で80分近くという安定のクソボリュームたる、このLOAD第72章。
で8曲くらいを経た頃にやっぱり脳裏を占める、いつもの恒例行事なこれ。↓
(METALLICA “72 SEASONS” Logo Gnerator)
で結論から言うと。
これは、せめて60分弱くらいにまとめていれば、90点台は取れる傑作だ。
だが困ったことに、METALLICAはそんなことやらない。
だから当然、こうなった。
そんなブラックアルバム以降ずっとやってるそれの、これ何回目。
ただし、その「これ何回目」にしては、近年じゃ「St.Anger」のちょい上くらいには悪くない出来でもある。(※1)
って近年どころかそっからもう20年経ってんだけど。(えーっ!?)
なんつっても今回の新作、嬉しいことにリフがいい。
とにかく、カッコイイリフが、やたら多い。
しかも、それに合わせた疾走感もある。
しかもその疾走感に、往年の匂いが濃厚に漂ってる。
特にブラック・アルバム以前、デビューからああっ女神さまっにかけての頃の、だ。
例えば、いっけな~い37564、37564~☆と噂のキルエムオールなタイトルトラック、M1“72 Season”。
あるいは「…And Justice For All」から外されたアウトテイクと言われたら、成る程こりゃ外されるわけだと納得できるようなM8“Chasing Light”…は割といらん方だとしても(いやいいだろ、割と)、さらにはリードトラックM6“Lux Æterna”の、なんたるメタルガレージセールスっぷりよ。
だから多分、アルバムトレーナー段階や先行シングルでのつまみ食いだけなら、90点以上くらいあげてもよくなる。
(見てないし聴いてないけど)
だけどよく向かえば、往年の焼き直しに終わらない、「LOAD」以降試行錯誤しては研鑽と成熟を重ねてきた現代の彼らならではの感性も、勿論ながらそこには込められていることを知る。ま、良くも悪くもなんだが。
つまりぱっと聴き「あ、これ初期回帰のカッコイイとこと、90年代以降の色々あるけど辛うじて美味しいところの、両方の盛り合わせだ!」、となりかける。
で、その80分近く後にはちゃんと「あ、これやっぱりいつもどおり、初期回帰のカッコイイとこを90年代以降の冗長さで減点するやつだった」、とMADAOWARANNOCAなMETALLICAの何たるかをまた改めて理解できる。
以上、細かいことは色々あるんだけど、ざっくり言えばそんなアルバムのRELOAD第72章、なんでもないようなとこが蛇足だったと思う。
…とかね、口じゃ言いつつも。
マスパペ時代にほんのりNWOBHM味を含ませたM3“Shadows Follow”や、あるいはそこに最近見せない叙情メロを展開させるM11“Room Of Mirrors”等におっさんどもがキモくニンマリしてみたり、はたまたMETALLICAの根底的本質がロックンロールバンドであることを象徴したようなM3“Sleepwalk My Life Away”に胸アツ脱糞したり。
さらには一見クソダルい10分超えチューンにウヘエ、MADAOWARANNOCAーっと思いきや、これなんて「Sad Wings of Destiny」な70年代期JUDAS PRIESTブリティッシュ・ハードロックの深い味わいを覗かせてはぼくが歩兵するM12“Inamorate”などなど、それこそアタマからケツのラストのラストまで彼ららしい萌えポイントも、しこたま。
なので、かつてやれOASISはクールだだの、グラストンベリーに出たい、だのとのたまっていた頃のコジャレヅラなアー写を黒額縁に入れては死んだ子の歳を数えながらも「欲しがりませんスラッシュは」と忍びがたきを忍んできた暗黒の90年代戦中派の身には、こんな80分弱くらい造作もないっていうか、寧ろごほうびだ。
はあ?「METALLICAは進化だ」、だぁ?
やかましいわ、んな戯言は「St.Anger」でスネアの代わりに叩いてたゴミ箱にでもブチこんできやがれっ!
※1:いや、実はぼかあ好き派なんですよ「St.Anger」。
ただしアルバムのクソ長さとスネアの音以外は。
浜田麻里/”Soar”:81p

浜田麻里/”Soar”
「忖度 Is My Business…and Business Is Good!」をスローガンとする、燃え上がりそうな某忖度専門マガヅンにて、先日、春の一大忖度祭りを開催した挙げ句、忖度ついでにもってけ98忖度と天文学的忖度を大盤振る舞いされたこのアルバム。
これには流石の村民たちも「忖度 Sells…But Who’s Buying?」と自らを省みるという、現代高齢者ビジネスの問題を考えずにいられないReturn To Myselfであったが、ソンなごタクはさておき。
昭和女性ハードロック・シンガーの女王、マリはマダ六十だからさんによる、デビュー40周年たる本27thアルバム。
とはいえぼくはぶっちゃけヒット曲を知っている程度で、前作はおろか全盛期ですらまともに彼女の作品を聴いたこともない。
なのでニワカどころかほぼ初めてといった身から、しないしない忖度で向かわせてもらう。
さて、いきなりの疾走パワメタで幕を開ける本作。
予想していた数段はガッツリとヘヴィメタリックなその音楽性を、流石の貫禄も露わに、最早伸びやかというよりはクッソパワフルなゴリッゴリの力技ハイトーンで歌い上げる女帝圧の止まらなさよ。
しかもその熱唱に演歌ばりの情念を迸らせつつ、彼女の出所なんかはよう知らんが、随所に塗られる昭和歌謡や90年代J-POPの世代エッセンス。
例えばそれがシンフォメロスピで躍動するM3“Prism”、あるいは演歌叙情メタルチューン“Zero Gravity”などは、まさにそんな彼女の面目躍如か。
しかもあくまで主役は歌モノではあるも、そのバックもまた兄貴分の高崎晃(Gt)からシンフォニーペケのマイケル・ロメオ(Gt)、デレク・シェレニアン(Key)、ビリー・シーン(Ba)などなどの一流どこを予算かけてガバガバ贅沢使いで支えているだけに、上手いわ何だわでそりゃそーでしょ。
ただし曲バリは取り揃えているものの、色合いのせいか、いや単純に楽曲の魅力がそこまで高くないのを力こそパワーなりと歌い圧してるだけなので、案外と引っ掛かり弱めにスルスルと抜けがち。
そのせいか特に後半にダレを思わなくもないのだが、とはいえさっきMETALLICAの新作聴いてきたおかげで、この程度の冗長さに音を上げていたら到底ロード72章もたねーぞという忍耐モードにマインドセットされてたせいで、なんとか完遂。
結論。
悪いアルバムじゃ全然ないけど、でもせいぜいこんくらいが適正評点じゃないっすか。
ROTTEN SOUND/”Apocalypse”:84p

ROTTEN SOUND/”Apocalypse”
おシンフォにっくにく大国フィンランドにて、90年代から孤高の爆走を繰り返してきた北欧グラインドコアの雄、ド腐れロッ㌧SOUND団。
テン年代くらいまで㌧㌧拍子の活躍だったが、しばらくそれが㌧挫してたかこのところ㌧とサウンドを耳にしなかったものの、ここにきて7年ぶりに届いた嬉しいニューアルバム、これで8th。
計18曲で計20分台、1曲あたり2分を切るという、どっかの聖闘士おこぷんさんに爪の垢でも食らわせてやりたい潔さ。
しかも相変わらず混㌧焼き払う、圧巻の絨㌧爆撃ドラムと、しかしそのキレの良さ。
そしてやもすれば一辺倒になりがちな作りを、オールドスクールハードコアやらドゥーム、クラス㌧やらで時折味変させつつも、まつってもそれでも一辺㌧なんだけど、でもその問㌧無用の勢いと疾風怒㌧のスピードでなぎ倒し流し去る。
1曲目“Pacify”からこのローンのためのクソ労働を何とかしろと北欧高福祉国家かの地から鬼ブラストとともに叫んだかと思えば、M8“Digital Bliss”ではこの狂ったスマホ脳がと現代社会を風刺しては、ろっ㌧ろっ㌧。
そしてM9“True and False”で爆裂ビートで殺気と毒気をブチまきつつ、次のM10“Denialist”では地を這いずる激重スラッジ展開よ。
そんな暴風絶叫の果てにフルスロッ㌧で全力かッ㌧で突き抜け終わる、爽快痛快グラインドコアはやっぱり健在だ。
ま、つっても毎回ほ㌧どおよそこんな感じなんだけど、でもいんだよ、これはこういうもんで。
DEERHOOF/”Miracle-Level”:70p

DEERHOOF/”Miracle-Level”
これ書いてる本日4月22日は「よいふうふ」の日らしいので、いい機会だからDEERHOOFの新作あげとく。
いや、これがよいフーフかは別なんだが。
在米日本人シンガー、サトミ・マツザキをフロントに据える米サンフランシスコのベテラン・インディーロック・バンド、これで18th。
これまで宅録セルフレコーディングというDIY主義を貫いてきた彼らだが、ここにきて外部プロデューサーを雇い入れての初スタジオレコーディング。
更には日本人シンガーならではの、初フルトラック日本語歌唱という試みにも挑んでいる。
(ジャケのバンド名表記がカタカナなのもそのためか)
「インディー・ロック」とは括られるものの、ちょっと彼らの場合「いわゆるそれ」とはちと違う。
いやそう違くもないのだが、何せノイズ、アヴァンギャルドの出自に、チャイルディッシュで甘ったるく歌う日本人女性ヴォーカルをポップに合わせる、という結構にコッテコテでギッドギドな90年代サブカル体臭ながら、これまでノイズミュージック、オルタナティヴ、エクスペリメンタル、ローファイ系からベッドルームポップ、エモ、エレクトロニカ、サイケロック、そして70年代ブリティッシュ・ロックまでを混ぜ合わせてのなんだろ、そんなSONIC YOUTHこじらせの最果てに見る「へんてこぶっ壊れ現代プログレポップ」ともいうかの独自の音楽世界を作ってきた彼ら。
例えばそれを完成させた彼らの最高傑作だとぼくが勝手に思っている2004年の名盤「Milk Man」のジャケがこれで、いやこれは単に現代芸術アーティスト加賀美健氏の作品でしかないんだけど、でもサウンドイメージ的にも大体こういうのに結構近い感じだ。
しかも今回は日本語で歌っているだけあって、そんな感性がダイレクトにぼくらには伝わってくる。
例えば、言葉の語感や使い方、そしてワザとテンポやリズムをずらした運び方によって意図的に作り出している、「ヘンな日本語ウタ」。
それをフィーチュアしながら、ここでもキテレツでイビツで異物な「へんてこぶっ壊れ現代プログレポップ」として仕立てられており、その妙味は流石の域。
昔に比べるとマイルドになったぶん、チャレンジャブルなわりにインパクトもそこまで高くもなく、以前より楽曲単位での魅力も減少している気がするが、でもぼくのようなメタヲタの門外漢がとやかくケチ言うようなものでもないか。
とりあえず「アイスクリームになってしまえ」とか甘く歌っている感性をカワイイ、イカシてる、面白いと思える方々向けのハイレベル・サブカルアイテム。
個人的には、そこそこ良くて、でもちょっとツラい。
(勧めるならば、上の「Milk Man」前後作かと)
以上、今週の4枚でした。
ま、なんつってもMETALLICAっすね。
ではまた来週。

METALLICA, 浜田麻里, ROTTEN SOUND, DEERHOOF,
・ネタが古い、おっさん臭い、と言われても古いおっさんが書いているので、仕様です。
・ふざけたこと書きやがってと言われても、ふざけて書いているのでお許しください。
・ネット上のものがすべて本当だと捉えがちなおじいちゃんや、ネット上のものにはケチつけても許されると思いがちな思春期のおこさまのご意見は全てスルーします。
・要するに、寛大な大人のご対応をよろしくお願いします。な?