MESSA/「Close」:77p

MESSA
デパーム茄子!(2023年流新年の挨拶)
というわけで改めまして、あけましたけどおめでたでした。(過去形)
今年は「今週の4枚」以外にも新譜あれこれやっていくつもりでいるのですが、しかしつもりはあくまでつもりなので、いいから早く一枚目行けますね。
正月休みに、鼻毛抜いたら混じってた白髪をこりゃ新年早々からめでたいと勘違いしつつ、ネット上の2022年年間メタルベスト10枚みたいなまさにウチもやっていたようなベタ企画を彷徨っていたんだが、そのとき割と目にしたのが、この何とも言えないアートなのかサブカルなのかピッチなのかフォークなのかなジャケのこれ。
何、ヘドバン?ブラックメタル?白い鼻毛飛ばしてんの?(飛ばしてねーよ)
と興味を持って向かってみることに。
閃光のハサウェイには全く出てこないこのMESSAは、イタリア出身。
女性シンガーサラ・ビアンキンをフロントに据えたドゥーム・カルテットで、本「Close」は昨2022年前半にリリースされた、どうやら彼らにとってのフルレンス3作目、とのこと。
とはいえプログレッシヴなレトロ・ドゥーム/ゴシック、と単に言うだけではとてもじゃないが表現しきれないのが、彼らの音楽性だ。
ポストメタル、ポストロック、ポストブラック、ポストパンクってポストばっかり並んだ郵便に困らなさに加えて、70年代ブリティッシュ・ロック、ジャズ、ブルーズ、更には南欧音楽、中近東音楽などオリエンタル要素までが妖しさムンムンにでろでろ遠慮なく入り込む。
この暗黒密教地中海マジカル民族模様こそが、彼らをそこいらのあるあるドゥームメタルに終わらせない持ち味だ。
(ちなみにこのヘドバンジャケも向こうの民族ダンスらしい)
イントロからいきなり中東光景広げてしまう10分弱もの長尺PV曲M6“Pilgrim”、木管楽器(ドゥドゥクなるアルメニアの伝統的な木管楽器らしい)での不穏なここ何処イントロからISIS巻き込みながらシタール風へと展開するM3“Orphalese”などはまさに然り。
他にもしっとりメランコリックな出だしからジャジーな幻想に広げるM1“Suspended”や、ヒステリックなトレモロリフがオカルトとサイケの泥濘にまみれた70年代ロックの喧騒をブラックメタリックに走りぬけるかのM2“Dark Horse”、天国の階段を令和に発掘したらポスブラの邪血を悪意で混ぜられてたM3“Rudedo”あたりも印象的だ。
しかもそんなBLACK SABBATHとLED ZEPPELINに降り積もったレトロヴィンテージな埃を巻あげつつ、しかし他方でMASTODON一丁のマグマじみたプリミティヴさをTHE GATHERINGの漆黒ドラマツルギーに落とし込むようなスラッジィなスリリングさもあったりして。
かたやサラの歌声はときに柔和で幽玄なケイト・ブッシュのごとく、しかしときに呪わしきブルージーにと魅惑に変幻。
この神秘感満ちたシンガーの存在感こそが、彼らの異彩を際立たしているのに他ならない。
これでもう少しコンパクトならあと5pは十分足せたのだが、しかし如何せん長ったらしくて飽きてくんのか、終盤に至っては「まだこれアルバム続いてんの?」という気にすらなってくるのが唯一の難か。
その終盤じゃグラインドコアばりにブラストビートたたみかけてわずか1分ちょいで終えるというデパーム那須なM9“Lefeotrack”もあんだけど、いやそういう問題じゃねーだろ。
とはいえ年末のCANDEMASS新作のクソ退屈さからすればまだ全然取り敢えず、もう少しばかり深みもネタ色も増しそうだし、今からでも注目しておくことにするとしよう。

MESSA/「Close」
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- アーティスト名:MESSA
- 出身:イタリア
- 作品名:「Close」
- リリース:2022年
- ジャンル:DOOM、SLUDGE CORE、