2022年も本日にて終幕、ということで今年のベスト10枚をベタに選んでみる企画。
例によっておっさん趣味でしかないおっさん向けセレクトなのは仕様なので。
順不同、と言いつつ思い出した順なので悪しからず。
POLYPHIA/「Remember That You Will Die」
まず一枚目。
数年前にBABYMETAL仕事で何なんこいつら!?と注目を浴びた米テキサス出身のインストゥルメンタル・プログレッシブ・メタルバンド、ていうか最早メタルかこれ?の域にまで活動広げてみせた4枚目フルレンス。
HIP HOPからドラムンベース、モダンポップまでござれの多彩な多才さながらも、スティーヴ・ヴァイ相手にヒケもとらないイカレきったプレイで、チノ・モレノ(DEFTONES)はじめクセも盛れの漏れのなゲストのキャラや個性を見事活かしつつ、しっかりちゃっかり自らの旨味にまで転換するその柔軟さたるや。
中でもソフィア・ブラック迎えてまどろみラー啜るベッドルームあいうえおジャパニーズカワイイ・ハイパーポップの、その圧倒的中毒感覚と異彩さよ。
SPIRITWORLD/「Deathwestern」
次。
米ラスベガス気鋭のウェスタン・ホラー・スラッシャーが、昨年に続く2ndでますます頭の悪さを倍増していた件。
前作から更にB級さを高めての「マカロニウェスタン猟奇スプラッターメタル」という普通の脳機能ならマガジンマーク!?多量発生もやむない何が何やらさで、ジャケのまんまなハードコアスラッシュ欲情地獄変をこの令和にド展開。
全く知らん西部劇ホラー映画SEを交えつつ、HATEBREEDさながらの脳筋さで咆哮絶叫しながらゴッドヘイツなSLAYERリフを刺々しく走らせる痛快さに、ロウIQメタルかくありなんとほっこりさせられた次第。つまりは控え目に言って、最高。
ZEAL & ARDOR/「Zeal & Ardor」
ただのメタルには興味はありませんな、2022年の意識ピッチ系フォーク・メタル枠。
米NY在住スイス人音楽家マニュエル・ギャノーによる、「スピリチュアル・ブラック」という如何にも高次元のイルカの守護霊に出会えそうな音楽ジャンルらしい謎の変態ポスブラ2nd。
ブラックメタルとアフロの邂逅、暗黒暴風雨襲来、時々ブードゥーところによってドリーミン、しかもメランコリックでアーシーでエレクトリックでカオティックでミルコクロコップ。
ポストブラック・アヴァンギャルドのここが2022年最前線というアンテナマウントおじさん御用達アイテムながら、しかしそれに終わらない刺激が満ちているのもまた事実かと。
LAMB OF GOD/「Omens」
ゼロ年代メタル極道の横綱が2022年に見せた気概。
「いかちくて熱くてやかましくてカッコイイメタル」、という全人類がこのバンドに求めているものを体現しつつ、円熟味も欠かさない。
初期回帰を思わせながらも、でいて今の彼ららしくもあり。
また原点を見据え直しながらも、最前線で斬り結ぶ殺傷力にも遜色を伺わせないという、名のままの力作。
やっぱりラムゴは力こそパワーだよな!
PERFUME/「Plasma」
LOCUSTとナパームデスとAGORAPHOBIC NOSEBLEEDをあわせたデジタルポップグラインドコア、アップデート2022年版。(嘘
ゴリポン“ポリゴンウェイヴ”のバーチャファイターぶりといい、中田ヤスタカによる「ぼくのかんがえたさいしんのじぇいぽっぷ」たらん昭和レトロフューチャー感覚で80年代シティポップを彷彿させるという、何たるおっさん向けアダルト・テクノチューンの数々。
にしてときにノスタルジックに、ときにアーバンにと、軽やかながらもゴージャスで250万円請求しそうなカラフルな躍動感に彩られており、これぞワールドワイドな超一線級のエンタメ音楽の結晶とばかりにその空間をベッドルームからラウンジにランウェイまで多彩かつ自在に広げて踊る、チートポップスの力技かくあらん無双な圧勝、圧巻、圧倒芸の極みここに完成の至り。
DESTRÖYER 666/「Never Surrender」
オーストラリア出身、「ブラッケンドスラッシュ」というブラックなのかスラッシュなのかドラッケンなのかなこの界隈でも割と古豪という彼等の新作が、何だただのぼくたちの夢の80年代ジャーマンメタルか。
ブラストビートにブラックメタルリフを混ぜこみながらも、ACCEPTとRUNNING WILDとGRAVE DIGGERを爆走合体させたみたいな怒涛の押忍!!クソ男スピード/パワーメタルを炸裂。
しかもJUDAS PRIESTなギターリフでときにKREATORにも通じる重厚さと哀愁ドラマツルギーをも噴出させるなど、「メロディ×スピード×重さ=破壊力」ばりのバキ理論で突き進む。
こういうメタルが聴きたかった、と2022年のおっさんメタルロマンを満たしてくれたことに、圧倒的感謝。
KREATOR/「Hate Über Alles」
ここからしばらくヨーロッパのおっさん枠が続く、少し長くなるぞ、と今の銀河の状況みたいな3枚ほどを。
まずはジャーマンスラッシュ三羽烏の一角、びとれいやさん。
いやクリーターじゃねーよクリエイターだよ、
なんたってクリエイティヴだからな、アジェンダがウィンウィーンなアグリーのキッドジョーだからな。
それはさておき、この2022年はジャーマンスラッシュの当たり年。
まぶちゃさんもいいアルバムを出していたし、ボンベンハゲさんも殺しあってしまっていたしもういっそどれでもいっかなって思うんですけど、やっぱりこれかなって。
一言で、揺るがない。
揺るぎようが、ない。
クリスチャン・ギースラー(Ba)の脱退を経て、しかしその凶暴な獣臭ながら重厚性にのるメランコリックな悲哀も健在。
幾分メロディックな作風ながらも、やはりその鋒は鋭く、切れ味豊か。
これぞKREATOR、もうジャーマンスラッシュしか勝たん。
ARCH ENEMY/「Deceivers」
おっさん続きで。
前作で、すわ最高傑作更新か?と沸かせたのにまたこれですわメロデスわ。
とそんなARCH ENEMY、会心の逸作に継ぐ、渾身の力作。
イエテボリデスの雄らしい激烈さとメロディックさに、モダン味と独自のオーセンティクスをブレることなく融合。
しかもアリッサ・ホワイト=グルーがここで新たに見せたクリーンヴォイスもハリがあって、吠えてよし歌ってよしおっぱいよしの三方よし。(意味違)
90年代のベテランが、新たに逸材女性ヴォーカルを迎えることで脂の乗った充実期を再び迎えているのがよく分かる、バンドの勢いみなぎる良作。
いやあ、まだまだやるもんだねアモット兄さん。
STRATOVARIUS/「Survive」
ストラトさん遂に本気を出してしまう。
いやはや、この令和にいいおっさんどもが北欧童貞思春期メロディックパワーメチャルを恥じらいもかなぐり捨てて、これが!これがSTRATOVARIUSだとばかりにと盛大シンガロング祭り。
正直リリースからしばらく落ち着いて聴くとそこまで突出はしてないかな、と冷静に思い直してはきたものの、とはいえこのご時世に疾走神曲を散りばめられるこのありがたさよ。
なかでも突出のキラーチューン、M10“Before The Fall”、そしてM8“Glory Days”(↓)はぼくらのグローリーなデイズを思い出しては心の中学生もおーおー暴れ出す激胸アツ展開。
2022年に全世界のメタル高齢者達に生きる希望の光を与えてくれた、輝かしき一枚。
PALE WAVE/「Unwanted」
最後の一枚に、これでも放り混んでみる。
今年の夏に、こいつらに評点厳し目なウチで86pもあげていたことを読み返して知り、我ながら驚く。
で、そんなに良かったんだっけかこれ…と怪訝に自分を疑いつつさっき聞き直してみたけど、やっぱり悪くないから困ったもんだ。
英マンチェの若手UKインディーロックがいっぱしにガールズメロパンク化、つっても所詮はたかがファミレス添加物メニューなんだが、口当たりの良さもあって即効性だけはやたら高くって本来なら年間ベストとかに選ぶようなもんでも全くないくせにこうやって入りこみかねないDANGER DANGER。
これ(↓)なんて「おっぱいとパリピでATARISやってみた」とか、誰だそんなウマいこと言ってんのはってスマン俺だ。
以上、2022年のアルバム10選、でした。
なんか色々と抜けこぼれてる気がしないでもないし、イヤ評点高かったアレやコレはどうなん?となりそうだけれど、いいんだよもうそういうのは年も終わんだから!(無駄にキレ気味
というわけで、来年2023年も皆々様、どうぞ温かな大人の目で一つよろしくお願いします。