WEEZER/「Van Weezer」(-1000000p)
「メタル愛の炸裂したアルバムを作る」
彼らのそんな声を聞いたときから悪い予感しかしなかったが、見事的中。
胸糞なくらいの醜悪さだ。
世代的にも80年代ロック直撃な彼等のこと、そりゃあ確かに昔からヘヴィメタルに対する彼等の熱愛の声は聞こえていた。
でも、で、それでこれが、だから何なん?
誤解して欲しくはないが、ぼくはWEEZERというバンドを決して嫌いな訳でも否定したい訳でもない。(まあこれで嫌いになるかもしれないが)
第一、この間のストリングスを用いたアルバムは良かった、とここでも高く評価している。(↓)
ただし、これはダメだ。最低だ。
タイトルからして、Eddie Van Halen追悼の意が込められているのだろう、この新作。
とはいえその内容は、いつもの彼等のポップサウンドに、ライトなピロピロギターを取って付けただけの代物。
要は、ヘヴィメタルでも、全然ない。
だからここにはヘヴィネスのヘの字もないし、それにLAメタリックなサウンドを標榜するでもない。
よって、あくまで音楽性はWEEZER圏内のもの。
いや別にそれはそれで、いい。
それはそれで全然構わないし、好きにすればいいのだけど、でもそれでいながら、しっかりちゃっかりメタル好きを利用する。商用する。
つまりは、メタルのフリーライド。
タダ乗り。
借りパク。
しかもタチの悪いことに(これが一番腹が立つのだが)「メタルって懐かしくていいよな!昔は好きだったぜ!」と謎にクソ失礼な上から目線で。
イノセントな善意の暴力かましながら。
んじゃおめーら、やってろよ、今じゃなくて90年代から!
NO MORE メタル泥棒。
これを書いているうちに思い出したが、ゼロ年代中頃にPROBOTという企画バンドが嘗て存在し、話題になったことがあった。
何せこの主催が他ならぬ、80年代メタルの息の根を止めた張本人たるグランジアイコンNIRVANA(~FOO FIGHTERS)の、Dave Grohlかの人だったのだ。
しかし、そこでのコアなゲストセレクトとそこに用意した音楽性が見事だった。まさに愛と敬意が無ければ出来ないであろうそれだったのだ。
だからぼくらは思ったものだ、デイブ、ガチだやべーな、とリスペクトの目を持ってして。
しかしそれに対してどうだこれは、何がヴァンWEEZERだ。何もかもが浅くて薄っぺらだ。
そんなわけだから、これを「最高だ!」「よくぞやってくれた!」なんて喝采するこっちサイドの者はよっぽど頭の温かくおめでたいバカ以外世界に一人もいない訳で、残り99%がスルーのはず。
つまりこいつは彼等サイドのギターロックから、「メタルもたまにはアリじゃね?」と、こっちのメタル畑へドカドカ無遠慮に何も考えなく踏み込み踏みにじりながら、丁寧に作ってきた作物を勝手に食い散らかしに来た結果に過ぎない。
てめえら、メタルなめんなよ!?
そして。
メタラー達よ、これを見てよーく、勉強しておこう。
「ツール化したメタル」の時代の、これが最大のデメリットの悪例だ。
★追記(2021年06月19日)
「今週のチェック」から引用。
もしかしたらこのレビューを読む限りでは黒崎さん落ち着けよ、となるかもしれませんね。
下手すると脳がガチグソに固まりきった老衰右翼メタラーが頭沸騰させて「けしからん」と怒っているように見えて、「ハイハイおじいちゃん、そんなに怒ると血圧があがって脳梗塞に」ってなるかもしれませんが、でも実はそんなことないすよ。これ、半分は、喧嘩じゃなくて、プロレス。
そう来るならそりゃこう返すでしょ、ってやつね。
なので、安直に「そうだーそうだー!」ってなる前に、或いは、「ムキー!ボクラノウィーザーニフジコフジコ」となる前に、まずはそこを誤解しないようにしてください。
黒崎さんからのお願いです。普通にレビューするなら、そりゃあ流石は文句ないパワーポップ王者、WEEZERのこと。
ノスタルジックに扱うポップアレンジが巧妙で、VAN HALEN的なメロを蘇らせて、自分のポップセンスに取り込む料理法はさながら一級のシェフのようですらある。
例えば、OZZY OSBOURNEの名曲”Crazy Train“のあーいあーいあーいリフを、軽やかかつ鮮やかなモダンポップに落とし込んでみせる#6”Blue Dream“。
こういう手腕は、こっちの畑では絶対に見られないからこそ新鮮だ。なーんて書いても、あんま面白くないでしょ?(笑)
せっかくこっちのメタル村にドカスカときたねー足で踏み込み無遠慮にも食い散らかしてくれたんだから、ここはやっぱり-100000000000000000pで、以下余白もWEEZERに捧げないでガッツリと反論して歓迎しておかねーとな!
…と、半分はプロレスってことは、つまり残りは本気だぜってことで。
- アーティスト名:WEEZER
- 出身:US
- 作品名:「VAN WEEZER」
- リリース:2021年
- ALTERNATIVE、POWER POP、GRUNGE、EMO、GUITER ROCK、POP PUNK他