「黒崎正刀は金曜日でも休みたい」
ってことで異世界転生したらお休みもらえて時間出来たので、実はこれ昨日6/18に書いてます。アップすんのは明日の土曜日6/19だけど。
そんな今週の取り扱い品まとめ。
詳しい解説は、各レビューページをご覧ください。
今週は、カニ公の勝ち。でも他もいいぞ。
ATREYUも悪くない。
AMORPHISの中の人のソロも悪くない。
ただしWEEZERテメーはダメだ。
CANNIBAL CORPSE/「Violence Unimagined」:89p
【今週のお勧め】
デスメタ重鎮に相応しいオールドデス然たる、カニ子後期の名作。恐らく本作は、後にそう誉れを受けることになるだろう。
と同時にバンドとしても、今後色増すであろうルータンカラーが屍肉にどう化学変化を与えていくのかも楽しみじゃないか。
屍せるリビングレジェンド、未だ健在なり。
いやはや、強力なり。
いつも同じだろって言われると、まあいつも同じカニコ。
だから何が変わったのかって言うと、実はそれほどに変わってはいないんだけど、でもちょっとだけ激甚さの質が違っている。
それがエリック・ルータン効果。
例えば、随所で見せるキュルキュルネオクラギター。
それらを含めた、荘厳さや格式さといった、気品というのかな。
なんだろ、えーと、例えば。
バトル漫画で、主人公より明らかに格上のやっちゃってる系なチート敵が出たときのアレ。
あ、こりゃ絶対勝てねーわ、終わったわ、詰んだわ、てなるやつ。
これ。
HATE ETERNALや、古くはモビエンに強くあったそれが、ここに香ってる。
これまでの脳筋デスメタル、暴走で殺しまくってきた殺人鬼に、それが漂った。
そんな、半段上がった、パワーアップ作。
WEEZER/「Van Weezer」:-1000000p
つまりは、メタルのフリーライド。タダ乗り。借りパク。
しかもタチの悪いことに「メタルって懐かしくていいよな!昔は好きだったぜ!」と謎にクソ失礼な上から目線で。イノセントな善意の暴力かましながら。
んじゃおめーら、やってろよ、今じゃなくて90年代から!
NO MORE メタル泥棒。
今日はちょっと、これについて書いておきましょうかね。
もしかしたらこのレビューを読む限りでは黒崎さん落ち着けよ、となるかもしれませんね。
下手すると脳がガチグソに固まりきった老衰右翼メタラーが頭沸騰させて「けしからん」と怒っているように見えて、「ハイハイおじいちゃん、そんなに怒ると血圧があがって脳梗塞に」ってなるかもしれませんが、でも実はそんなことないすよ。
これ、半分は、喧嘩じゃなくて、プロレス。
そう来るならそりゃこう返すでしょ、ってやつね。
なので、安直に「そうだーそうだー!」ってなる前に、或いは、「ムキー!ボクラノウィーザーニフジコフジコ」となる前に、まずはそこを誤解しないようにしてください。
黒崎さんからのお願いです。
普通にレビューするなら、そりゃあ流石は文句ないパワーポップ王者、WEEZERのこと。
ノスタルジックに扱うポップアレンジが巧妙で、VAN HALEN的なメロを蘇らせて、自分のポップセンスに取り込む料理法はさながら一級のシェフのようですらある。
例えば、OZZY OSBOURNEの名曲”Crazy Train“のあーいあーいあーいリフを、軽やかかつ鮮やかなモダンポップに落とし込んでみせる#6”Blue Dream“。
こういう手腕は、こっちの畑では絶対に見られないからこそ新鮮だ。
なーんて書いても、あんま面白くないでしょ?(笑)
せっかくこっちのメタル村にドカスカときたねー足で踏み込み無遠慮にも食い散らかしてくれたんだから、ここはやっぱり-100000000000000000pで、以下余白もWEEZERに捧げないでガッツリと反論して歓迎しておかねーとな!
…と、半分はプロレスってことは、つまり残りは本気だぜってことで。
ATREYU/「Baptize」:78p
そんな突き抜けない芸を極めたアンブレイカーATREYUだが、あれれどうした、今回はちょっといつもよりも頑張っているではないか。
(略)
突き抜けなくとも、継続は力なり。それをまさか彼等に教わる日が来るとは、何とも感慨が深い。
ATREYUのくせに。
「ATREYUのくせに」ってその「くせに」って、別に「ごときが」「風情が」みたいなガチな蔑みの意味じゃないっすよ。
愛情込みのやつですよ。
ちょっと可愛くてツンデレな、「ふ、ふん。ちょ、調子のらないでよね、ATREYUくんのくせにっ!」ってほうのやつですよ。
そこ、勘違いしないように。
それはそうと、突き抜けない系メタルコアのくせに、なんかいい感じなんだよなあこのアルバム。
レビューにあげた、ちんこの皮むけてる#14″Stay“だけじゃなく、いい曲をしっかり敷き詰めながら、しかも程よくバラエティを広げつつ、今様さも取り込んで、一級品のポップメタル作り込んできている。
加えてこの曲(↓)からも判るように、ギターラインも効果をしっかり考えられているし、ゴスってた頃にはヘボヘボだったデス声にも太みが養ってきた。
頑張って成熟と洗練を重ねながら、あともう少しの域にまで突き抜けようとしている。
ATREYUくんのくせに。
SILVER LAKE BY ESA HOLOPAINEN/ST:76p
じんわりと染み入るようなアルバムである。
メランコリックで、エモーショナルで、ただ単にメロディックというだけでは済まされない叙情性の深みと濃厚さを思わせる。
ゴシックメタル、と言えばそりゃそう言えなくも無いだろうが、しかしもっと振り幅のある何とも北欧情緒美しいギター音楽だ。
これもええですね。
真冬に聴きたくなるような、寂寥とした美しいアルバム。
ギターメロの叙情性がたまらない止まらない。
ぼくは知らなかったNORDMANというデュオバンドのVo、ホーカン・ヘムリンがややしゃがれた声で歌う、望郷の哀愁が漂う#3”Storm”。
それから、ノルウェーのプログレバンドLEPROUSのVo、エイナル・ソルベルグが艶やかになまめかしく歌う、ほんのりニューウェイブな匂いが立っている#4″Ray Of Light“(↓)が、なかでも際立っている。
ちなみにこのエイナル・ソルベルグというシンガー、調べてみるとどうやらあのEMPERORのイーサーンさーんの義理のお兄さーんらしく、一時期はEMPERORにも関わっていたという黒歴史。(ブラックメタルだけに!)
以上、今週の4枚でした。
来週は雑記でもあげたカバレラ親子のGO AHEAD AND DIEに、かぼちゃの前の前菜HAMMER KINGなどを扱う予定です。
それではまた来週に。