SILVER LAKE BY ESA HOLOPAINEN/ST(76p/100)
じんわりと染み入るようなアルバムである。
メランコリックで、エモーショナルで、ただ単にメロディックというだけでは済まされない叙情性の深みと濃厚さを思わせる。
ゴシックメタル、と言えばそりゃそう言えなくも無いだろうが、しかしもっと振り幅のある何とも北欧情緒美しいギター音楽だ。
AMORPHISのギタリスト、Esa Holopainenによる、1Stソロ。
とはいえその方向性はギターオリエンテッドというわけでもなく、どちらかと言えば彼の音楽世界を表した歌モノを主体としたバンドサウンドとなっている。
となると所属先からの連想が働きかけるところなのだが、しかし。ここにはKATATONIAのJonas Renkse、NODNANのHakan Hemlin、SOILWORKのBjörn Strid他、計7人もの様々なゲストをシンガーとして迎えており、しかもそれら各人の持ち味に合わせて彼なりのカラーリングが施されているため、比較的多彩な作りとなっているのが特徴か。
例えば、時に妖しくニューウェイヴィーに、はたまたポップだったり、ポエトリーリーディングだったり、或いはいかにもらしいメロデスメタリックなものまで…。
つまりはその色差の分だけ本家との違いを見せているのだが、それでもいずれにしても作品を通して一本貫通されているのはやはりEsaらしい色濃く物悲しい土着的情念。だから誰の歌からも、寥寥とした寂寞なる寒風と凍てる大地の様が伝わってくるかのよう。
そして、そこに奏でられる、彼の泣きのギターの美しさよ。
AMORPHISの美性を構成している色素を、別のフォーマットに流し込んで再構築したもの。それが本作に対して一番適した解説かもしれないが、にしても、である。
AMORPHISというバンドをこれまで長らくずっと支え続けてきた彼のメロディメイカーとしての才力と、北欧リリシズムの描写能力の高さには、改めて恐れ参った次第だ。
★追記(2021年06月19日)
「今週のチェック」から引用。
ぼくは知らなかったNORDMANというデュオバンドのVo、ホーカン・ヘムリンがややしゃがれた声で歌う、望郷の哀愁が漂う#3”Storm”。
それから、ノルウェーのプログレバンドLEPROUSのVo、エイナル・ソルベルグが艶やかになまめかしく歌う、ほんのりニューウェイブな匂いが立っている#4″Ray Of Light“(↓)が、なかでも際立っている。ちなみにこのエイナル・ソルベルグというシンガー、調べてみるとどうやらあのEMPERORのイーサーンさーんの義理の兄らしく、一時期はEMPERORにも在籍していたという黒歴史。(ブラックメタルだけに!)
- アーティスト名:SILVER LAKE BY ESA HOLOPAINEN
- 出身:SWEDEN
- 作品名:「SILVER LAKE BY ESA HOLOPAINEN」
- リリース:2021年
- GOTHIC METAL、MELODIC DEATH METAL、FOLK METAL他