今週のチェック/VEIL OF MAYA, DEF LEPPARD, FROZEN SOUL, THERAPY?, -The Weekly Reviews

VEIL OF MAYA, DEF LEPPARD, FROZEN SOUL, THERAPY? 今週のチェック
VEIL OF MAYA, DEF LEPPARD, FROZEN SOUL, THERAPY?
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VEIL OF MAYA/”[m]other”:82p

VEIL OF MAYA/"[m]other"

VEIL OF MAYA/”[m]other”

現在Djentシーンを…なんていうと「Djentはジャンルじゃないんですけど」とクソレスバされてしまいかねないこんなポイズンアイディアな令和の世の中に、かのシュメール王国の礎を築いてきた重要な一角がこのバンドだ。

日系ハーフのギタリスト、マーク・オオクボを擁する、米シカゴの重鎮スメリアンコアそれまた怒られるジャンルなやつバンドによる、これが7thフルレンス。

当初のブルータルで殺伐としたテクニカル・デスコアでのスタートから、次第にそこに収まりきれない音楽性へと拡散、発展をアルバム毎に遂げてきた彼ら。
しかも歌えるヴォーカル、ルーカス・マジャールを加えることでさらに音楽性の幅を広げた彼等が、前作「False Idol」を経て挑んだのが本作だ。

頭に電ノコ生やした思春期悪魔の人気連載を思わせるタイトルで怒涛に攻めるオープナーM1“Tokyo Chainsaw”は、ただし実は前菜以下の、ただのお通し。
むしろM2“Artificial Dose”からが本番とばかりに、初期STATIC Xみたいな地獄スラッシュをばがっと切り開くとぱっかーん飛び出す、まなこキラッキラ青春学園ラブコメ・シンセウェーヴに、メタラーさんども口ぽかーん

この序盤2曲目にわざわざこんなFearless RecordsのPunk Goesコンピみたいのもってくるか?というとこからして、本作での彼等の狙いが明らかだ。

しかもこの後も、エモとポスコアとピコリーモとぴことちことを経た果ての極めつけ、M5“Red Fur”からその名もM6“Disco Kill Party”にかけての、ハツラツ☆ハイパーポップまっしぐら展開。
このデスコアどころか最早チョコレイトーデスコ、ア゛ア゛ア゛な、チャグリフ合わせてPERFUMEデース!にメタラーさんどものザワつきが止まらないなど。

よって続くM7“Mother Pt.4”に至る頃には、「これネトフリでストレンジャー・シングスでも見てんのか」だの「ていうかそもそもあと3つどこ」だのと、どせいさんがバットぶん回して狂乱しかねない始末。

このように本作は、前作でのメロディックに広げた展開を大胆なまでにぐいっとEDMサイドにブチ抜いては、頭はいーぱ、ぽっぷぽぷ。

確かに元ネタはあちらこちらのホリズンからブリングミーしたものに違いなかろうが、とはいえ以前から軽いフットワークとその範疇広めな作風で、この音楽性を拡大してきた連中のこと。

歌えるヴォーカルを抱えて、さあて何からどうやればいいのか、としばらく前から試行錯誤してきた、やっとそこそこの答えがここに出てきたかとぼくなんかは面白がってしまうのだが、さてこれが迷走か英断と出るか。

勿論この場合で後者だった試しを見たことがほとんどないのがこの業界なんだけど、でも意欲的な力作なのは間違いない。

DEF LEPPARD/”Drastic Symphonie”:70p

DEF LEPPARD/"Drastic Symphonie"

DEF LEPPARD/”Drastic Symphonie”

そんな偉大なる元スラッシュメタル先駆者様リカじゃあるまいし〜〜っ(ドッ)

あ、いや何でもない。
ええと、あのDEF LEPPARDが往年の名曲をオーケストラとコラボ再現するという、どこぞばりに安直にも程がある金持ち向け企画なこれ。

しかもこの手の御用達、ていうか失礼、実はぶっちゃけこれしか知らない名門ロイヤル・フィルハーモニー・オーケストラとの共演らしい。

さて「往年の名曲」と聞いて、ほう、んじゃ“Rock Rock” “Photograph” でもおっ始めんのかと思ったら、両方とも見当たらない。

なんと1曲目から、1996年というあの世界グランジ大恐慌真っただ中にその悪夢を飾り、当時のメタル村の村民どもを吐血させたことで知られるハローアメリカ“Turn to Dust” ときた。
(注:ぼくはこのアルバムが大好きだ)

そう。
あのエレクトロビートとダルッダルの90年代グルーヴ、よく知らねえけど斜に構えたわざとらしい不機嫌ヅラさえしときゃいんだろな歌い方、「でもメロディの良さ”だけ”はデフレパだ(と思う)」と精一杯の言い訳のみが唯一の精神安定剤として用いられたことで知られる、かの「Slang」
(注:ぼくはこのアルバムが大好きだ)

ぼくの脳裏にうっすらと、当時のよく燃えていた失われた平成無忖度専門誌で、「意外だの地味だの以前に、この曲!という決め手が全くない」と現編集長様自ら82無忖度していたような記憶があるようなないような、そんなこの決め手じゃ全くないこの曲!を初っ端からセレクトしてる。
(注:ぼくはこのアルバムが大好きだ)

そんな、未だにあのいまいましいオリエンタルメロを耳にするだけでグランジPTSDのひきつけを起こす高齢者も少なくないこれを、オーケストラでひたすら大仰に壮大にアレンジしてみせるという、令和の新しい嫌がらせ。
(注:ぼくはこのアルバムが大好きだ)

しかも続くM2“Paper Sun” もそれ以上な意外さと地味さと決め手じゃ全くないこの曲!で、あ、これね、うん…てどのアルバムだっけ。え「Euphoria」
と発症しかけない、メタル・アルツハイマー検出機能付きだ。

このように全体的に選曲は代表曲やヒット曲のみといったものでもないのが、寧ろ逆に単なるベストものではない彼らのアナザーサイドな面白みをひき出している本作。

その結果、M3“Animal” やM9“Gods of War” などの往年の名曲はじめ、映画音楽さながらにドラマティックに盛り上げられており、うんそうだねって感じだ。

なかでもバラード仕立てに生まれ変わって女性ヴォーカリストとしっとり歌い上げられた“Pour Sime Sugar On Me”の美しさは、うんそうだねって感じだし、初期の名曲M12“Switch 625”へと躍動的に連なるオペラティックな高揚感も、うんそうだねって感じだ。

しかもこれら編曲に携わったのは、かの御大エリック・ゴーフェン
当然、全く知らん人なので、うんそうだねって感じだ。

なお、幾つかの曲では編集によってジョー・エリオット(Vo)が、なんと、かつての若かりし頃の自分とデュエットするという実に小粋な演出がなされており、うんそうだねって感じになっている。

FROZEN SOUL/”Glacial Domination”:76p

FROZEN SOUL/"Glacial Domination"

FROZEN SOUL/”Glacial Domination”

米テキサスの新進気鋭デスメタルバンドによる、Century Mediaからの2ndアルバム。
みんなピザ食べ過ぎだよっ!?と余計な忠告をかけたくなるアー写を見ててっきり5人組かと思ったが、どうやら女性鍵盤奏者は本作のみ参加らしい。あでもピ

オールドスクールならぬ「コールドスクール・デスメタル」を自称する彼ら。
まあ自称ならコールドスクールでも美しき魔闘家でも何名乗ってもいいのだけど、なんでもこのところ注目を集めているホープらしく、かのTRIVIUMマシュー・キイチ・ヒーフィーがプロデュースを手掛ける他、数曲にてゲストヴォーカルとして客演している。
(しかもDYNG FETUSのヴォーカルも一曲出演)

M1“Invisible Tormenter”、おぞましきタイトルにある「見えない拷問官」がジワジワ近づくかの、身震いする不吉なSEとシンセが開く、冒頭の地獄の扉。
瞬く間にけたましい爆裂ブラストビートと残虐リフがその暗黒からなだれ込み、そしてヴォーカルが地の底からけだものの如く吠えあげての、「ワンっ!」。

とそんなコールドスクール・ワンちゃんメタルもありかとワンチャン笑っちゃったが、でも全編通じてほとんどそんな感じの、別に寒々しいというほどでもない普通の古流デスメタルだ。

ただしスピード重視に突貫するというより、ドスドスとスラッシィに重く攻め進んで蹂躙していくタイプで、寧ろそのボトムの効いた重厚さが心地よい。

しかもM5“Annihilation”をはじめ、これお約束で性的にサカッてしまわれた女子が絶叫惨殺されるやつな80年代不気味シンセを随所にブチ込んでは、その都度都度に血しぶきB級スプラッターデス展開という、要するに往年のルチオ・フルチ的血も涙も身も蓋もヤマもイミもオチもない陰惨サンゲリア様式美なデスメタルがいちいち堪能できる作り。

このように本作は、B級デスメタルならではの趣味の分かってさとそれ故のありきたりさにあふれており、当然ながら新味は欠片すらもないのだが、しかしその反面いかにもなオールドデスサウンドを、即効性の高いキャッチーさと痛快なグルーヴに合わせるセンスに長けている。

つっても所詮はこのように↓、本来5分足らずの原曲をその必要すら全くない10分強にダラダラ広げてまで、わざわざ低予算物体Xホラーのクソ出来損ないPVを作りたがるような連中なので、まずはビール片手にホロ酔でこれを眺めて「くだらねえwwww」と楽しめる感性と耐性がご自身に備わってるどうかをご確認された上で向かうのが適切かと。
ちなみにぼくは、そっち派だ。

THERAPY?/”Hard Cold Fire”:80p

THERAPY?/"Hard Cold Fire"

THERAPY?/”Hard Cold Fire”

90年代シアトルグランジ/オルタナムーブメント期に、それに対する英国シーンの回答としてその名を高めていた、アイルランドの現役ベテランパンク・バンド、これで16th。

詳細については個別レビューを参照にしていただきたいが、相変わらずの男臭いいなたき硬派さと内に籠る熱気と、そしてどこかひねりネジレた感性で、ザラついたグランジパンクをこの令和の今に伝えている。

ダークなメタリックリフとポジティヴなメロディックさが混ぜ合わさるM7“Mongrel”や、グランジィな曇り空を切り抜けていくかの明朗さが爽快なM8“Poundland of Hope and Glory“のようなポップチューンは勿論のこと、M3“Joy”のようなジャリジャリとヤスリのような質感で躍動するタフなオルタナ・ハードロックチューンも彼等らしい。

正味の話、上のは90年代の思い出スパイスぶっかけ評点(+5p)ではあるが、それでもキャリア34年にして未だ現役感あふれる、ぼくらのような往年のファンは勿論のこと、彼等を知らない今のリスナーにも入門に足る一枚か。

まずはこちらの個別レビューをどうぞ。

以上、今週の4枚でした。
以下、独り言。

ていうかVEIL OF MAYA、意外とよくないすか問題。(別に問題じゃない)
やもするとっていうか、やもしなくてこれまでで一番好きなんですけど。

あとデフレパもなんだかんだで、リピりまくり。
やっぱこれやられると、おっさん弱いよなー。
しかも初っ端が“Turn to Dust”って!こっからかよ、最高だよ。
(のっけから食い入り組)

しかもこの流れで、あわせて「Slang」も聴いてみたけど、やっぱりクソ名盤だわで、そんなにそれまでとガラっと変わる?そうでもなくない?って20年以上すると思えるからあら不思議。

勿論リアタイなので、ああいう評価も「思えば戦時中でしたから」と理解も出来ますけどね。
(でも昔からあのアルバムはちゃんと大好きだった、Voice ofなReasonが最高傑作な隠れキリシタン)

あ、あとせらぴハテナは個別レビューで思いのたけ投げ込んでますので、どうぞ。

それではまた来週。

VEIL OF MAYA, DEF LEPPARD, FROZEN SOUL, THERAPY?,

VEIL OF MAYA, DEF LEPPARD, FROZEN SOUL, THERAPY?,

一応しとく注意
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・ネタが古い、おっさん臭い、と言われても古いおっさんが書いているので、仕様です。
・ふざけたこと書きやがってと言われても、ふざけて書いているのでお許しください。
・ネット上のものがすべて本当だと捉えがちなおじいちゃんや、ネット上のものにはケチつけても許されると思いがちな思春期のおこさまのご意見は全てスルーします。
・要するに、寛大な大人のご対応をよろしくお願いします。な?
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