【今週のチェック】DREAM THEATER、U.D.O.、MANESKIN、FULL OF HELL

今週のチェック
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時間をくれぇ…。
俺に時間を、音楽評を書く時間と、あと本と漫画と映画と服と酒をたっぷり味わえるだけの時間を、俺にくれェ…。
(意:仕事やめたい)

 

DREAM THEATER/「A View From The Top Of The World」:70p

技巧派プログレメタル世界一の座からの眺めはどうだい?
そんな、このところの「月刊どりむし」と勝手に名付けている月間公式ブートレグ企画「Lost Not Forgotten Archives」づいていた最中に、ぽんと出された新作。

最初はボリュームと情報が多くて随分消化が悪いなあと聴いていたのだが、しばらくするとそのわりに情報がさして濃くもなく単に消化するほどの内容でもないことに気づき、嗚呼今回もダメかまたと思いかけるのだが、もう少しばかり聴いていると、それでもそこそこいい曲が並んでいることに気づくという、今ここ状態。

で、結論から言うと、最近のアルバムの中では、相当マシ。
何がって、「プログレメタル」だという「手段の目的化」が抑えられて(前作で書いたことな)、ちゃんといいメロディを書いて、いい曲を書くこと、いい歌を歌うこと、いいポピュラーロック・バンドであることに意識が向かっている。
そのためコンポーズ能力の枯渇を、大風呂敷を広げることででごまかしてきた近年の虫作品の中では、個人的に一番良くできているように思う。

何せ、序盤数曲でメタリックなインパクトをガッツンと与えるのが、いい。
かたやプログレッシヴさが強まる中盤はややながらタルさが覗けるけれど(相変わらずギターがつまらん)、ジョーダン・ルーデス(Key)の頑張りでなんとかギリ保っている印象。
各曲で柔和なメロを、お得意のラブリエに歌わせているのも、大正解だ。

…と概ね好印象なのだが、最後の20分越えの長尺タイトルトラック、いるかこれ?
何のフックも引っかからずだらだらとひたすら大仰ですよという主張だけが繰り返されるクソ曲で、存在価値が微塵も見当たらない。
蛇足も甚だしいので、これのせいで10点マイナス。
せめてコンパクトに5分程度にまとめておけば80点だったけど、ここでぽろっと連中一番の悪癖が出ちまうのが、まーらしいっちゃらしいか。全然ダメなんだけど。

それとさー。
今更過ぎてあんまこんなことイチイチ言いたくないけれど、そのラスト曲の是非の解釈はさておくとしたって、これに90点レベルの評点を並べてる神経にはさすがに疑いを越えて失笑&ドン引きすら覚えるわ。
だってこれ、普通に考えたってそこまではよくねーぞ。って知ってて書いてんだろーけど。

U.D.O./「Game Over」:72p

まず、曲が多すぎる。
半分とはいわんが、10曲くらいでいい。
もう16曲も書ける才能も体力も、もう残されてないんだから、おじいちゃん無理すんな。

でその結果、薄まって散漫になっちゃってる。
どっちが本家なのかもう判らないけれど、本家のACCEPTのアルバムのほうが、ずっと濃厚だ。

ただし、こっちのほうがこれはこれで「らしさ」が上だというのも、また事実。
男臭い哀愁メロで枠付けられた、硬派で武骨なストロングスタイル。
「あのウドのメタルバンドの音ならこうだよね」と頷けるままの、良くも悪くも昔ながらのサウンドで、あの時代の中~後期ACCEPTっぽさが香り立つのもおっさん的にはたまらない。

そのぶん刺激は薄まってるし目新しさも全くないけれど、安心できる老舗看板ならではの味わいで、もう彼らはこういうのでいい。

MANESKIN/「Teatro d’ira-Vol.1」:70p

半年くらい前だったかな、ピチフォかどっかで存在を知って、ふーん、と思って聴いてみたけれどそうピンとも来ず放置し忘れていたら、今になって日本リリースがなされるとともに、やたらハイプ推しされているこのバンド。

やれユーロビジョン・ソング・コンテスト優勝云々、やれイギー・ポップ云々ってのはロキノン厨どもにまかせるとして。
ぱっと聴き、ラテンテイストの乾いたメランコリアを漂わす独特のメロディックさのせいか、ゼロ年代ガラージムーブメントみたいな隙間の多いビートサウンドでSYSTEM OF THE DOWNを今風に仕立て直した、みたいな印象。

そのクセの強さ、イギリスでもアメリカでもない、だからといってユーロでもなさそうな独特のアクは確かに個性的だと言えるだろうし、新人にして大物の風格も漂っている。

でも、アルバムはんじゃいいのかそれとも悪いのかと問われば、別にどっちでも、普通じゃね?って感じ。
そういや冒頭にも書いたように、前にもファーストチェック時に「ふーん、悪くはないね」程度で終わっていたんだけど、やっぱり改めて時間を置いて向かってみてもその印象は良いほうにも悪いほうにも変わらない。

FULL OF HELL/Garden Of Burning Apparitions:84p

毎回ジャケアートがオサレかっちょいい、Relapse発のグラインダーズ・ホープによる、恐らくは5thフルレンス。

激烈フリーキーなグラインドコアに、ノイズを混ぜ込んで煮詰めたような音楽性。
細やかでキレがあるメタリックなリフワークに、土砂崩れビート。
そして時折色づけられる、スラッジィなおどろどろしさ。
掻きむしりひしゃげたような音像ではあるも、どこか冷徹な知性を垣間見せるのもこのバンドならでは。

…なんだけど。
この手のエクストリーム・メタルにおける「変態性」「知性」というのは、少しでも寸法や色調を間違うと、とたんにお行儀の良い意識高い系サブ(寒)カルヅラになってしまうものだけど、彼らはその加減が巧妙で、ブっとい凶暴さをブラさずにうまいこと取り込んでいるのが、いい。

ふとしたときにはっと思わすリフを放ってみせたりと、鋭いセンスもさすが。

この手の激烈メタルでは激しさのわりに楽曲作りがしっかりしていてどこかキャッチーというか、誤解を承知で言うなら割と聞きやすい方なので、どうぞお試しあれ。

以上、今週の4枚というか、実は先週に書こうと思っていたものでした。
あー、レビュー書ぎでえよう…。
時間をくでェ…。

ではまた来週。

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