今回はやたら大手サイトでの評判がお高いYATSURAを、BUTTAGIRI。
もうさ、春だしみんなでHARAWARIしようずー。
いっけなーい、HARAWARI、HARAWARI!
Oh、ジャパニーズSEPPUKU,You Know?
ってちょっと待て俺ァ毎回、HARAWARIしてんぞなめんなよ!?
と、そういうのはいいからなシックスパッキーHARAWARIレビュー、いっくわよー。
(ダブダブ中年腹をむき出しにしながら)
なお、LIGURTYについては、個別レビューもどうぞー。
(ろくなこと書いてないけど)
LITURGY/”93696″: 93696p
ハエラ・ハント・ヘンドリックス(Vo.Gt)らによる、ニューヨークのアバンギャルド・ポストブラックによる、恐らく4th。
その音楽性の目標として、自ら「トランセンデンス(超越)ブラックメタル」と、まるでクリムゾン先生のグローリー仮面みたいなマニュフェストを掲げている、このLITURGY。
それ以来毎回、セレマ神秘主義やら近代魔術主義やらポストマルクス主義やら何やら主義やらをしゅ、しゅぎなのおおおおおーーっする宗教哲学インテリらしく、今回のタイトル「93696」も曰く、カバラ数秘術で天国をしゅぎしゅぎしたらこういう数になったとのことで、言葉の意味はよくわからんがとにかくすごいエクスペリメンタル。
となれば当然ながら、耳以外の全身にくまなく「えくすぺりめんたる」と入墨を入れて夜な夜な「すのっぶ、すのっぶ、すのっぶ…」と念仏を唱えることでしか世は救われないという思想を広める、「ただのメタルには興味ありません以上」で有名な意識ピッチ系フォークメタルどもも、これはなんと立派なすのっぶだ、といたく大喜び。
何せレコードで4枚分、それぞれ4章に分けた構成を施して、そこに全編にわたってのアトモブラックをメインに、やれ教会音楽だ、オーケストラだ、エレクトロニカだ、挙げ句はアンビエント、トラップミュージック、プログレ、ジャズ、ピッチフォークなどが混ざり込んでは、ただただひたすらにって、ええーっ、これが80分以上も果てしなくずっと続くっていうのかいーーっ!?
…とこう書いているとふざけが過ぎるけど、でもこのボリュームの良し悪しはさておき、その神秘的な世界観とインテリジェントなムード、そして随所に込められる悲哀を帯びたメロなどが、意外にもエクストリームメタルとしての苛烈な先鋭さに重なって、確かに唯一無比の存在感と成立していることに驚く。
例えば、アルバムを埋め尽くす不協和音と絶叫、トレモロギターリフとブラストビートのなか、突如として光射し込む、ゴスペルのような荘厳な歌唱。(M4″Angel of Sovereignty”)
あるいは逆に、その聖歌隊の透き通ったコーラスをブチ割るような轟音。(M5“Haelegen 2”、M10“Ananon”など)
個人的には、その混沌たる様と孤高さは往年のTODAY IS THE DAYに通じるというか、「Sadness Will Prevail」からブルタリティを抜いた分だけ宗教色でどっぷり濃厚に染め上げた、といった感も。
しかも「チャゲチャ」なら連載が軽く10回は終わってるであろう程の前置きのクソ長さで常人が到底辿り着けない、その1時間超えの先の後半部にまで耐えて耐えて耐え忍んでこそ、メタリックなオルタナドゥーミー展開あり(M11“93696”)、はたまた壮大な真理の果てへとシンフォニックに導かれての暴虐炸裂展開あり(M14“AntigooneⅡ”)といったカタルシスが見えてくるので、どこぞの言ったもん勝ち気取りなOU812壊疽頭のように前半30分だけで飽き魔が捨てりてベビメタるにはあまりに勿体ない話。
というわけで上の評点や個別レビューはただの劣悪な冗談として、意外にも高めに78pと何ちゃら数秘術で算出しとく。
GEL/”Only Constant”:70p
「やべーぞハイプだ!!」
世はまさに、大ハードコア時代。
やれSOUL GLOだ、いやTURNSTILEは戦闘力6000000もあるぞ、いやZULUの戦闘力はスカウターが壊れるぞ、と胸がPATi・PATiするほどインフレな「今一番最高なハードコア」バトル2023にて、これこそ戦闘力億超えのスーパー・ブライテストホープと噂のルーキーによる、本デビューアルバムがこれだ。
ジャンル的には、ハイプコア。(そんなものはない)
米ニュージャージー出身、計10曲にして僅か16分30秒程度の収録時間に今抱えている思いを生々しくぎゅうぎゅうに収めたような、各所注目の本フルレンス。
何せ男女混合、うち奇抜なファッションを装った女性シンガー、サミ・カイザーが叫んでいるのは、敵を指しては「そのおShitなおFuck頭をおぶん殴ってお歯を全部ヘシ折ってやる」といった昭和の暴筋タフガイ脳では全くなし。
音楽コミュニティと多様性を認め合おうという、そんな今どき「包摂ハードコア」(お、我ながら上手いな!)が、目下トランプ起訴で大国あげての絶賛分断騒動中な世界帝国アメリカ様はじめ各地で大ウケ。
これには、あれオレまたピッチフォークしちゃいました?も乗るしかないビッグウェーヴだこれで高得点振る舞いに至った今ココ展開。
とはいえその音楽性は諸々スパイス効いちゃいるけど、要するにストレートでシンプルなショートレンジの、何てことないハードコア・パンク集。
そのほとんどが1分台に詰め込まれた性急な楽曲群は、成る程ガツガツとエネルギッシュでいかにもハードコアらしい疾走感と熱感に溢れてはいるものの、しかし言ってしまえばさほどそこに目新しさは見られない。
いやそりゃ確かにイイっちゃイんだけどさ、でもそれがシーンあげてワッショイワッショイされるほどに格別な戦闘力おばけかよと言われたら、ぶっちゃけ
「あー…うん、まあ、普通にイイよね…。」
ってくらいの温度差しか感じられない、というのが本音か。
なお、アルバム半ばにはファン達から集めたスポークンワードをツギハギにしながら、「フリークのためのハードコア」を演出。
そんな痛Z世代向け「ぼくたちわたしたちの共感ハードコア」を、どう楽しめるか。
ここらへんが評価の分水嶺なのだろうが、ぼくのようなそこまで彼女らの本質も情報も伝わりきっていない日本のおっさんたちがどうこう言うまでには、もう少しゆっくりと向かい合う時間とゆとりが欲しいところ。
AUGUST BURNS RED/”Death Below”:76p
数年スパンで割とこれまでコツコツとアルバムを積み上げて、今回でもう早フルレンス9枚目を数えるというUSメタルコアの今やご立派なベテラン域、4月なのにAUGUST BURNS RED(お約束)の新作。
これまでのFearless Recordsから新たにSharp Tone Recordsへとレーベルを移しての心機一転となる本作、大雑把に捉えると今回は激烈さを抑えめに、そのぶんだけ色彩はいつもよりダークでシリアスかつ哀感も多め、それもあってか良くも悪くもドラマティックさに重きを置いたプログレッシヴな作風といった印象か。
結果、より叙情性のドラマが広がったはいいのだが、そもそもこのオーガストがレッドするBURRN!低下550円(今千円もすんのな!!高っ!!)にそういう押忍!プログレ道なんか誰が求めてたんだっけ?もっとこう爽快感あるガツっとしたやつじゃなかったっけ?ていうか毎回知らんが、勝手に新味をマイノルマに課してはドヤ顔してくるこいつらだけど、そもそもそういうのいるの?もっと重要視することあるんじゃないの?ねえ、ねえどうなの、ねえ?と脳裏をほんの少しだけかすったりしなくもなし。
何せのっけの冒頭M1“Prenibution”~M2“The Cleansing”から合わせて8分強の長尺曲に、うぐっ…と怯みかけるのだが、しかしそれを悲哀に溢れたメロディの旨味と慟哭の咆哮、そして光明導きモグワらんポストロック展開でこなしてみせるその力量よ。
更にはこれなんてキルズウィッチなエンゲージと思ったらちゃんと本人(ジェシー・リーチ)が参加していたA2“Ancestry”をはじめとして、多数ゲスト参加に乗じては「客先のに手ぇ付けたってそりゃぁええだろ!?」とばかりにあちこち手を伸ばしてはちゃっかり借りパクを繰り返す安定の手癖の悪さと節操のなさたるや。
かたや相変わらずJBブルーベイカーによるギュルギュルのネオクラギター&上質の泣きメロをふんだん使い、しかも中盤で高まらせるブラックメタリックな吐き散らかし哀愁には一番いいときのCRADLE OF FILTHやってみたりと、聴きどころも多い充実ぶり。
正直、聴き始めはさほどにピンと来なかったせいか、寧ろ幾分の冗長さが気になっていた位なのだが、しかしリピートしているうちにじわじわ味わいが染みて、何だかんだでやっぱり今回も彼ららしい良作、そこにわざわざケチつけるのどうなんよ(めっちゃつけてるけど)と満足度が満ちてくるという、いわゆるスルメ・アルバムなこれ。
いやでもやっぱ、この「ぼよよーん、ぼぼぼぼぼーん」なドラムビート何なん。(いいけど)
BURY TOMORROW/”The Seventh Sun”:72p
「セブンスサン」とくれば「オブザセブンスサン」が続くと大脳に魔力で刻印された第七の昭和どもをさておく、UKメタルコアの優等生BURY TOMMOROWの新作。
デビュー以来コンスタントにアルバムを重ねて、セールスもそこそこかそれ以上くらいには堅調に活躍。
英国内チャート上位から米シーンにも進出…してる割に、音楽評価的にはここんとこ伸び悩みというか頭打ち感が見えてきたかなとすら思え始めたところで、フロントマンのジェイソン・キャメロン(Vo)が脱退。
新たに陣営を揃えて仕切り直し、再出発モードを高めての7作目フルレンスが本作だ。
前作までをそこそこに売り抜けているバンドだけに、大まかな基軸は変わらない、本作もまた往年来のメタルコアをアップデートした延長線上。
しかしクリーン・ヴォーカルを含めた陣営変化も大きいのだろう、少しばかり細かいことを言うならこれまでの野太さを備えたワイルドなものから、透明感と伸びのある歌モノとシフトチェンジが図られている。
それに伴ってモダンロック、てゆーかどっかで聴いた感しかない現代ポストハードコア方面とのハイブリッドに大きくシフトが進められているのだが、しかし元々からしてメタルコア進学校のよく出来ましたバンドだけに、いい機会だからワイらちょっと持ち備えのスマートさと器用さを磨き増してくんわといった感じすらあって、「これってある意味結果オーライじゃね?」とも思える意外な秀作に無事着地。
キャッチーではあるが、あざとさと滑らかさのせいか引っかからずにスルスル抜けがちな冒頭数曲に幾分の足りなさを覚えかけるも、しかしヴォーカルの伸びが生かされたM6“Wrath”なんてこのラインナップだからこそ映える柔和エレクトロニカmeets重厚さな佳曲だ。
出来の良さの反面、インパクトとしては少しばかり弱いなど不満も残らないわけじゃないけれど、でもコスパの高いお手軽コンビニUKモダンメタルとしちゃそこそこ申し分ない出来かと。
以上、今週の4枚でした。
冗談ばっか書いてしまったけど、LITURGYはゆっくり向かいたい深みがあるな。
つっても、もうすでにMETALLICAの新作が迫ってるので、そんなゆとりがなかなかないのが残念だけど。
それではまた。
・ネタが古い、おっさん臭い、と言われても古いおっさんが書いているので、仕様です。
・ふざけたこと書きやがってと言われても、ふざけて書いているのでお許しください。
・ネット上のものがすべて本当だと捉えがちなおじいちゃんや、ネット上のものにはケチつけても許されると思いがちな思春期のおこさまのご意見は全てスルーします。
・要するに、寛大な大人のご対応をよろしくお願いします。な?