今週のチェック/VENOMOUS CONCEPT, HAKEN, ZULU, HUNDRED REASONS-The Weekly Reviews

VENOMOUS CONCEPT, ZULU, HAKEN, HUNDRED REASONS 今週のチェック
VENOMOUS CONCEPT, ZULU, HAKEN, HUNDRED REASONS
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尻ームどなたー?(メトロポリス村挨拶 Part 2

こんにちは、ヒト型自走式花粉吸入器です。
おい俺の鼻毛、お前ら花粉、完っ全にスルーしてるよね?
止める気、全っ然、ねーだろ?

おかげで鼻水、エンドレスレインなんですけど。
黄色に染まったこの俺を慰めるヤツはもういないんですけど。
お前が何かに追われるように走り出してすぐそばにいる俺が見えないのが大草原なんですけど。(もういい)

そんな殺人級の花粉症に加えて、確定申告だの何だのでドタバタしてたので、一週分遅れてしまいました。
っておいそこ、おめーは一周どころか何万周も時代から遅れてんだろとか悲しいこと言うな!

んじゃ出遅れ今週の4枚、ぼつぼつおっぱじめるよーっ。

VENOMOUS CONCEPT/”The Good Ship Lollipop”:70p

VENOMOUS CONCEPT/"The Good Ship Lollipop"

VENOMOUS CONCEPT/”The Good Ship Lollipop”

ありのまま、このアルバムで起こったことを話すぜ。

「俺は伝説の激烈デスグラインド大御所ユニットの新作を聴いていると思ったら、

グランジで煮崩したMY BLOODY VALENTINEみたいなのを聴いていた」

な、何を言っているのかわからないと思うが、
俺も何を聴かされたのかわからなくて、頭がナパームデスされそうだった。

超スピードだとかグラインドコアだとか、そんなチャチなものじゃ断じてねえ、

もっと恐ろしいロリポップなオルタナティヴがPV(↓)で味わえるぜ….。

(詳細は個別レビューにて)

HAKEN/”Fauna”:75p

HAKEN/”Fauna”

HAKEN/”Fauna”

前アルバムまで虫(「Vector」)、菌(「Virus」)ときて、続く本作で至った進化がまさかのバブルスくん。
(だけじゃ勿論ないんだが)

そんなUKプログレッシヴを毎度プログレッシヴにプログレッシヴさせる現代プログレッシヴの覇ー権、これで7プログレッシヴ目。
しかもここで、初期以降しばらくバンドを離れていたピーター・ジョーンズ(Key)が、再び戻ってプログレッシヴしている。

そのせいもあるのか、はたまたコロナによるロックダウンで長期引きこもってのソングライティングが影響させたのか、まずはもって、いつになくポップで多彩な作風といった印象のプログレッシヴだ。(しつこい)

つまり、これまでよりも色調としてはカラフルで、しかしトーンとしては全体的には明るめ。
そしてそれを描写する手法はより多面的で、結果、ダークでソリッドなメタル要素は相対的に減退、といった様相か。

例えば冒頭M1“Taurus”にてTOOLの延長線上に後期MESHUGGAHを上書きしたようなメタリックな重厚さを見せたかと思えば、かたやM2“Nightingale”ではシティポップと往年のRUSHを経た末に至る、さながらゼロ~テン年代期の尻ームどなたー?

と思えば、M3“The Alphabet of Me”でのエモいモダンポップな軽やかさで跳躍する、ホーンも加えて陣取るオサレジャジーさ。
あるいはこれに呼応して、本作イチにポップ照度を極め高めていくかのM7“Lovebite”の、いかにも小林克也な80年代AORを意識してきてのバブルスくん展開よ。

そしてクライマックスM8“Elephants Never Forget”では、YESQUEENへいお待ちとばかりに本格プログレとしての底力をプログレッシヴに示したまま続くM9へ…ってまだ続くのかよもうこれで終わりで十分だろ。

そんなラーメン感覚の味変バリエといい、間口の広さとコジャレたキャッチーさがヘボメタ脳ぶら下げたバカスラッツャーーッなぼくらごときニワカ門外漢どもにも判り易いサービス仕様、でいてバカテク聴きどころ満載しかも上質メロ…と寧ろこれのどこにケチつけられんの?という話なのも勿論判るんだが、しかし。

その反面でホント正直なこと言っちゃうと、ちとばっかメタル度低くてマイルドめというか、ある意味器用すぎて引っかからない、とか贅沢な難癖かもしれないけど、スマン。要するに、その出来の割に、そこまで強烈なパンチやインパクトにも刺さらず終いでした…。

なので今回、割と過去イチといった最高傑作論がどこも多いようなんだけど、個人的にはまだ全然これよりやってくれるようなポテンシャルも見越して、ここじゃこの凡点にとどめておく。

ZULU/”A New Tomorrow”:73p

ZULU/"A New Tomorrow"

ZULU/”A New Tomorrow”

お馴染み「ただのメタルには興味ありません」で知られる意識ピッチ系フォークメタルにて高得点を与えられた他、歪みがちなとこでも「2021年のTURNSTILE、2022年のSOUL GLOに続く、2023年の必聴ハードコア」と鼻息荒くフンガフンガ推しされてた、このアルバム。

DAREでもヴォーカルを努めているアナイア・レイなる、カナダの1人スラッシュバンドみたいな彼率いるロサンゼルスの黒人5人組パワーバイオレンス・バンド、本作はEP多分2枚に続けて出された1stデビュー・フルレンスとなる。

ハードコアパンクに炸裂ブラストビートと激沈ビートダウンを絡ませながら、しかしそこにジャズ、R&B、レゲエ、ファンク、HIP HOPといった黒人音楽のサンプリングを積極的かつ多彩に取り込んでいるのが、このZULUの何よりの売りだ。
しかもそうして切るように伝えられる彼らからのメッセージは、黒人文化からの不公平さへの痛烈な批判や、黒人コミュニティへの呼応の訴えなどの、生々しい情動由来のものばかり。

何せM1“Africa”で、タイトルままに自らのルーツを美しく壮大なピアノで綴ったかと思えば、「ZULUの最強ビッチがここにお出ましじゃーっ!」とどこぞの1分間素人DQNバトル・オーディションみたいにイキり出てきては、続くM2“For Sista Humphrey”ではその叙情美を、重圧的なリフと凶悪に噛みかかるような叫びで引き継ぐ。
しかもそれらが続く先は、黒ツヤなソウル・サンプリングときた。

その後も30分弱、男女黒人ツインヴォーカルで憤りを立て続けにぶつけながらも、ときにチルアウト・ファンク(M7“Shine Eternally”)やメンバーによるラップ曲(M10“We’re More Than This”)などを披露しての、ダウンテンポ・パート導入。
さらにはカーティス・メイフィールドニーナ・シモンなどを合間に引用しては、歴史深き黒人文化への敬意と誇りを高らかに掲げながら、〆のラストでピースフルに鳴り響くボブ・マーリー

つまりはパワーバイオレンス、メタリックハードコアの刺々しいブルータリズムと、ブラックミュージックのメロウネスという静動アゲサゲの抑揚を編み込みながら、それら双方の熱情と文脈とで米国社会の疎外への開放と連帯を叫んでみせているのがこのアルバムの醍醐味だ。

と、こう言うとポエム専門誌の舌なめずりが聞こえてきそうな上に、その閉鎖性や説教臭げな敷居に二の足を踏まれる方もおられるかもしれないけど、でも彼らの場合はそんな懸念は全く無用なのであしからず。

もっと自由かつ体感的に、そのサンプリングされた黒人音楽の渋さと鋼色のハードコアパンクがあっちゃこっちゃへと乱れ撃つテクスチャーを楽しめば、全然それでいんじゃないかなって。

HUNDRED REASONS/”Glorious Sunset”:78p

HUNDRED REASONS/"Glorious Sunset"

HUNDRED REASONS/”Glorious Sunset”

ゼロ年代初頭英国ラウドロック、あるいはその文脈に重なるように90年代からのエモの系譜で響き合ってきた、かつてのUKロックバンドが活動休止(ていうか事実上の解散)を経て突如(にほぼ近いかたちで)この現在に久々に出した16年ぶりの新作。

そんな本作は、まさにタイトルまんまのアルバム。
「輝かしきあの日の、陽の光よ」とばかりにノスタルジックな作風は、それがやっぱり輝かしくって、説得力がある。

音楽性は1st期に近いハツラツさを取り戻しながら、明朗かつ躍動的。
うっすら醸しているUKロックならではのスマートなダークさも、昔ながらだ。

ただし作りは、地味。
だけどそもそもこいつら、昔から、地味。
寧ろ地味こそ持ち味、ってとこすらある。(味だけに)

何よりも、16年という時間が彼らに成熟をもたらせた。
真っ直ぐなロックに、メロディに、ポップに向かわせた。

だからかつてのあの時代みたいに、いちいち歪まない。
むやみやたらに、叫ばなくていい。
わざとらしげに、澱まなくていい。

普遍的なポップを、歌う。
そのたったひとつの歌う理由を露わにした、かつてそのサウンドに「百の理由」を求めていたバンドの答えが、ここにある。

…というわけで、なんだかんだで地味なくせに気づいたら、結構ヘヴィロテしている本作。
こんだけいい曲書き連ねるんだから、もうほそぼそと活動続けようよ、どうせ地味なんだから。

詳細については、個別レビューを参照されたし。

以上、今週の4枚でした。
一週遅れたけど、そのぶん聴きこめたからよしにするご都合主義展開、万歳。

あ、そんなわけでちょっと厳しめに書かれていた気がしないでもない派遣さん、リピっている間にじわりじわり来てあと数点はアップしてもいいかなモードに入ってきましたね。

そんなわけで、少しばかり評点増し気味に捉えといて下さい。
でもこういう類は浸透すんのも手間かかって遅くなっから、仕方ないよねー。←ご都合主義展開

ではまた。

VENOMOUS CONCEPT, ZULU, HAKEN, HUNDRED REASONS

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一応しとく注意
・レーティングはあくまで書いてる人の個人的な気分と機嫌のみに基づいたものです。
・ネタが古い、おっさん臭い、と言われても古いおっさんが書いているので、仕様です。
・ふざけたこと書きやがってと言われても、ふざけて書いているのでお許しください。
・ネット上のものがすべて本当だと捉えがちなおじいちゃんや、ネット上のものにはケチつけても許されると思いがちな思春期のおこさまのご意見は全てスルーします。
・要するに、寛大な大人のご対応をよろしくお願いします。な?
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