朝起きたら、すげえ、腹が減ってた。
何でだろ、飯食わずにしこたま酒ばかりを飲んだからかな。
よくわかんないけど、とにかく今朝はアレだ。馬鹿みたいに、アホみたいに、狂ったみたいに、やたらめったら腹が、減っていたんだ。
いつもはクルミとヨーグルト、プロテインにリンゴ以上、みたいな意識高い系モーニングなんだが、今朝に限っては、そんなものが全く欲しくない。
ていうか、いーからそーゆーのはっ、て感じ。
仕方ないので、赴くままに鉄スキで目玉焼き、そしてそこに溶けチーと滅多に食べない白米を山盛り、ぶち込み、かっ喰らう。
無心で、かっこむ。
何なら、おかわりも、する。追いメシも、する。てか、した。
糖質だ、糖の塊を頬張ってるんだ。そりゃー美味いに決まってる。
ああ、困ったな。困った美味さだな。
朝から美味い。朝から満腹だ。満足だ。困ったな。
さあ困った、どうしようか。
困ったら、まずは、食後のコオヒイだ。
それから、食後のレコオドだ。休日恒例、ヴァイナルカフェだ。
SCORPIONS/「Fly To The Rainbow」(1976)
スコピの新作のあれさー、そりゃー確かに全然悪くはねーけどさー、いやケチ付けるつもりじゃねーんだけどさー、つってケチ付けるんだけどさー、これさ、この令和の今やってドヤられてもどーなんすかね、んじゃ昔の聴けばよくねーっすか?とか、何で誰も言わないの?言っちゃいけないの?言ったらどうなんの?とか思ったけどさー、んじゃおめーは昔の聴いてろよ、とか言われそうなので、んじゃ昔の聴いておきますね。←
というわけで、「ロード・オブ・カオス」とかいうパーティメタル・ムービーで、「こんなポーザー聴いてるとかマジうけるしwww」とロゴバッジをデコピンされてたことで知られるSCORPIONS。(※注釈1)
割と言われないけれど、誰も言わないけれど、初期のSCORPIONSのジャンルは、実は「変態ロック」だ。
「変態ロック」というとカオティックでプログレッシヴで多展開技巧派だとか、そういうやつを思い浮かべそうだけど、そっちの意味じゃない。
どっちかってゆーとこっち側の意味での変態だ。
エロい。ねちっこい。粘っこい。そっちの変態のロックだ。
でいて、泣く。
泣く変態だ。
さながら、スコスコぺろぺろんとすすり泣いてるドイツの変態、それが初期SCORPIONSだ。
この「泣き」はかつて演歌とすら言われたほどなのだが、しかし80年代にアメリカで成功してアリーナロック化が進み、パリピロックの道をあゆまされてくうちに、すっかり忘れられていくのだった。
さて、んじゃそんな過去作からどれ選ぼっかなー、とレコード棚をしばし眺めてみたのだが、しかし。
やっぱり蠍流「演歌と変態のミクスチャー」の真骨頂といったら、初期数作、なかでもこの空飛ぶ変態からの、おなぬー変態、ろりぺど変態という、変態仙人による変態三部作だろ、ってことでこいつをセレクトしてみる。
(え、墓場の変態?うーん…ギリっ!)
「Fly To The Rainbow」。
邦題、「電撃の蠍団」。
飛べない蠍はただの変態だ。
おっと一応、簡単に背景を。
初代ギタリストだった、かのマイケル・シェンカーが脱退して、後の仙人ウルリッヒ・ロートをギターに据えての事実上の2ndアルバムが、この「Fly To The Rainbow」だった。
え、ウリ・ジョン・ロート?
違う。ウルリッヒ・ロートだ。絶対だ。ビリー・シーハンだ。
ちなみに「事実上の2nd」というのはどういうことかというと、案外これが1st扱いなことが多いからだ。
というのもこのアルバム以降、80年代のアメリカ進出に至るまでこのSCORPIONSは「日本人好みの、叙情的な泣きメロ・ハードロックバンド」として認識されていくとともに、この前に出された1st「Lomesome Crew」に関しては「あれ?そんなのあったんだっけ?」という不遇の扱いをされていくのだが、でもそもそもからしてクソつまんねーアルバムだったので、「んじゃもうそれいらなくね?」→「んじゃもうこっち1stってことでよくね?」と既成事実な空気支配が進んでいくのだった。
…ってのが一応のメタル正史な。はい以上、解説終わり。
でさー。
今朝知って驚いたんだけど、ライナー、渋谷陽一センセが書いてんのな、これ。
CD持ってたけど、知らなかった。読んでなかった。
あの渋谷ロキノン陽一だよ?
伊藤政則じゃないよ、渋谷果歩でもないよ?
しかもやれイギリスの伝統を正統に継承したハードロックは最高だみたいなことをマサマサと書いてんだよ。
Fly To The Rainbow、さあみんなこの曲で一緒に飛ぼうじゃないか、みたいなこと書いてんだよ。窪塚洋介でもないよ?
よっぽど頭ラリってたんだろーなこんとき。
おっと、でその内容なんだけど、ま、何やかんやつってもラストのタイトルトラック、“Fly To The Rainbow”。
もう、これに尽きる。
牧歌的なスタートからドラマティックに高揚し、「哀愁」と一言で片付けられないような悲しみにまみれた、これぞ蠍メロというあはれ系情感にさめざめと染め上げていく。
いやはや、さすがは鬱神ツェンカーが書いたものをヘンドリッキーな仙人の粘っこさで表現するとこうなるというのを体現しただけはある。
そんな初期のド名曲が、これだ。
ぶっちゃけ、この一曲だけのために存在するアルバムと言っても過言じゃない。
だってあとは別に大した曲も入ってねーもん。
音も古臭ぇし、別に今更聴いてもなーって感じで、年寄りだけがありがたがる巣鴨メタルアルバム。
ておーい、ぶっちゃけが過ぎてんぞ!
“Fly People Fly”とかも泣きメロウないい曲じゃねーかよ、えーこれギターだけじゃん?とかそういうホントのこと言うな!
おっと、そろそろ語ることも尽きたか。
ではまた、来週。
注釈1:例のポーザーバンドロゴバッジ、最初はMOTLEY CRUEだったんだけどニッキー・シックスに激おこで断られたので、SCORPIONSが笑って替わってあげたという逸話をFB仲間から聞いて、いい話だなって思いましたね。
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ヴァイナルカフェとは |
近年やっとアナログレコードにハマった超絶情弱時代乗り遅れ管理人、黒崎正刀が、休日の朝に趣味でコオヒイをひいて、その日の気分で持ってるレコオドを流し、まったり鑑賞している間にゆるーくSNSなどで書いているものを、こちらのブログに転用したもの。 |