おろろーん、雪で転んだから腰が痛いよーん。
とそんな下界には未だ白さの残る冬の週末だけど、今日もここから、コオヒイひいてレコオド流して休日恒例ヴァイナルカフェ。
MEGADETH/「So Far,So Good…So What!」(1985)
「niko and…」を見るとついビジネスイズグッドと続けたくなるメタル村の皆様、いかが週末の朝をお過ごしでしょうか。
おはようございます、「niko and…」を見るとついジャスティスフォーオールと続けたくなるメタル村の黒崎です。
というわけで、年始早々からエモ神様が降臨された、前回のヴァイナルカフェ。
いやあ、F田さんに恋しない思春期スラッシャー男子なんて存在しないんじゃないのかな。
しかも実話だっていうね。
ぼくのなかじゃ、F田さんは小柄な体にギターを背負った、永遠の昭和のロック少女だからね。
いや待てよ、昭和63年ってことは今は…とか言うなおいそこやめろマジで。
と、FacebooKでも好評だった前回の「MEGADETHちょっとエモい話」なんです、が。
この話がスラッシュ版ボーイミーツガールな甘酸っぱい青春初恋ストーリーである一方で、皆さんも恐らくは既にお気づきであるように、このF田さんの存在こそが実は初期MEGADETHそのものだ、ってのがですね、このコラムの最大のポイントなんですよ。
そう、
『いつも一人でそっぽを向いては「あたしに話かけてくれるな」オーラを漂わせて、少しクールで、少し怖くて、少しだけ不良の臭いのする、でも凛とした鋭さをまとったF田さん』は、まさに初期MEGADETHそのものだった。
少なくとも80年代の、初期3枚までのMEGADETHそのものだった。
逆に言うなら、この「Killing…」アルバムに最も象徴されている「失っていってしまう初期の魅力」へのはかなさを、青春初恋ストーリーの切なさへと重ねていたのが、あの話だったんですね。
だからその後のマーティ時代MEGADETH、つまりは「凛とした鋭さ」をなくしてしまった、イコールF田さんじゃなくなってしまったMEGADETHなんて、そりゃあぼくが許せるわけがないじゃないか。
ぼくの中のMEGADETHが初期3枚までなのは、そしてその後に急激に興味を失ってしまうのは、そんなMEGADETHがぼくが好きだったF田さんじゃなくなるからなんだ。
それがどうしてこうなった、マーティお前かお前が戦犯かー!?
…とすら若かったので思ってましたね。ま今思えばごく自然な流れだと、普通に理解出来るんデスガメ。
というわけで、今回は。
前回に継いで挙げるんだったら、そりゃやっぱりこのアルバムしかないだろう。
ムス様がイキってピストル構えたアー写取ってた、中学生くらいにインテレクチュアルな時代の名盤。
リリースは1988年。3rdだ。
「これまでは、まあ良い、でそれがどうした」
そんなニヒルなタイトルどおり、そのタイトルが皮肉なことに、ここまでは良かった。
ここまでは、まだぼくのF田さんだ。
「凛とした鋭さをまとった」、ぼくのMEGADETHだ。
さて、本作を一言で表現するならば、「とにかく、カッコイイ」、以上。
そんな、まるで中学生みたいにインテレクチュアルなスラッシュアルバムだ。
まずは見たまえ、プレ湾岸戦争ムード満々な、このメタル史上最もパンクなジャケを。これが何より中学生してる。
しかも中身は、もっともっとずっと遥かに中学生だ。
何せ、ひゅー、どかーん!の爆発で始まる中学生大喜びの出だしから、いきなりのジャジーリフ展開だ。
これぞ、インテレクチュアルスラッシュ。
おっと、インテレクチュアルっつっても、「神殺槍」と書いて「かみしにのやり」て読ませるくらいの知性だかんな。か、か、勘違いしないでよね!
ちなみにこれ豆なのだが、この”Set The World Afire”は当初、バンドネームトラック、つまり“Megadeth”だった。
「みんな死ね」から「火つけてやる」へと曲名を変更するあたり、ムス様の高いインテリジェンスが覗けよう。
それはそうと、 “Anarchy in the U.K.”の名カヴァーを経て、色彩を陰らせる“Mary Jane”の流れが、実にいい。いい感じに中学生だ。
そして後半、レコードでいうB面の1曲目、”502”でパトカーピーポーでまたもやどかーん!の、中学生大はしゃぎ展開。
いい。爆発はメタルだ。芸術じゃない。スラッシュメタルだ。
更には、クリフ・バートンに捧げたというのがエモ大佐な“In My Darkest Hour”と一旦暗黒メロウに緩急付けて、からのスピードを一気に高める“Liar”に“Hook in Mouth”の2連続へ。立て続けの極上スラッシュナンバーで中学生やべーぞレイプだのまま、俺達の戦いはこれからだと突き抜ける。
やだやっぱりこれ神盤かしら神殺槍(かみしにのやり)かしら。
とはいえ、メンバーは、クリス・ポーランドとガル・サミュエルソンが、ここで脱退。
この面子の損失は痛い。
この分だけ、前作に劣るのは、否めない、認めよう。
ジェフ・ヤングもいんだか悪いんだか、ここじゃよくわからないしな。
ただし、相棒デイヴィッド・エレフソンは、健在だ。
昨年、中学生を股間の逆刃刀で島袋ってLOSTPROPHETSされてしまったアクタージュなエロ不遜さんだが…っておいやめろ。
しかしここじゃ何よりも、ムスパイセンだ。ムス圧勝だ。
この頃の大佐殿はドラッグで相当なまでにらりらりしてたらしいけど、それも含めてニヒルでクールこの上ない。
剃刀がキリキリと切りつけるような、殺気だったシャープネス。
そんなギターリフの鋭角さもさることながら、ヴォーカルパートでは、アジりつけるかのように威嚇的な歌い方で早口に毒気を吐き散らしている。
少しばかりポップになった。そんな批判も時折受けてきたこのアルバムであったが、これに対して当時、クールにもこう答えていたムス様。
「売れた金でコカインが一杯買えるようにポップにしたんだ」(※注釈1)
とまあそんなわけで、このようにアタマからケツまで大佐の最強無敵無双モードが止まらない、そんなアルバムがこの「So Far,So Good…So What!」なのだ。
うん、最高だ。最高に中学生だ。
でも中学生は最高だぜ、はよくないでござるぞ!(だからやめろ)
※註釈1:思えば1stではスタジオ代をコカインにほとんど使ってしまったムス様御一行、やはり人間というのは学習するものだ。
- アーティスト名:MEGADETH
- 出身:US
- 作品名:「So Far,So Good…So What!」
- リリース:1988年
- ジャンル:THRASH METAL、HEAVY METAL、HR/HM
よって、そのほとんどが70~80年代の古いものばかり。
尤も音楽批評というかしこまったものよりは、大概がただの独り言程度のたわいない呟きなので、ゆるーく本気にせず(笑)読んでいただければ幸いです。