CRUELTY/「There Is No God Where I Am」:68p

目下、日本大陸を台風が絶賛横断中だ。
突風到来、豪雨来襲。
ちょうど今、これを書いているぼくの部屋の外では、猛烈な勢いで横殴りの雨が降りしきっている。
まったく三連休だというのに、初日がこの荒れ模様ときた。
尤も、そんな台風も明日には太平洋の向こうに行ってしまうようなのだが、そうはいえども今日はもう、とてもじゃないけれど外に出るような気分でも天気でも、ない。
さ、どうすんべ。
もうアレだわ、こういう日は部屋におとなしく閉じこもって、ジャンプマンガでも引っ張り出して読み直すか、あとは精々新しく出た新譜のレビューにでも向かうに限るってもんだ。
そう思って、幾つかのアルバムを漁り直してみていたなか、ふとそのタイトルとジャケアートにひかれたのが、見知らぬこのバンドの新作であった。
いや、新作というか、これがどうやらデビューフルレンスであるという。
すでに今年の春にはリリースされていたようなのだが、すまん。チェックが遅れに遅れ、その存在を知ったのはつい先日のことだ。
このところ勢いを見せている英国シーンから出てきた、5人組のニューカマー。
その初のお披露目となる1stアルバムが、この「There Is No God Where I Am」だ。
「我が世界に、神などいない。」
おおっ、「BLEACH」だ。
実に「BLEACH」している。
それ、「BLEACH」のオシャレ巻頭ポエムで見た。そう言いたくなるくらい、美味しく「BLEACH」しているじゃないか。
というか、原題自体からしてすでに「BLEACH」のタイトルになり得るものだ。
そんなタイトルからも、このバンドのステキで知的な世界観が伝わってくるようだ。
しかも、曲名もまた実にいい感じの醸しようときた。
M12″我が世界に、神などいない”、
M6″神がもしそこにいるのならば、しかし我など信じはしないだろう”、
M2″生を耐えるものにするための、嘘”、
M4″クリムゾン・アイ”。
いいねえ。いいよ、美味しいよ。
いやはや、ハードコア思春期、真っ只中。
そしてそんな曲名のもとで鳴らされる轟音の、その刺々しさとエモエモしさよ。
厨二病エモーショナル・メタルコア。
そう名付けたいくらいに思春期特有のあの、「黒く染まりたい攻撃的なぼく」のその自意識と妄想でしかない万能感だけで練り上げられた、そんなサウンドスケープがたんまりと詰め込められている。
大体、CRUELTYなんていうバンド名も、ぼかあシンプルで好きだぞ。
だってぽえみーな長めバンド名よりも、この世界観で敢えてそれっていうのが、逆に味わいあるじゃないか。
「我が名は、無慈悲(CRUELTY)。漆黒の混沌より生まれたり。」
あー、そうそう、それそれ。いかにもそんな感じ。
その香ばしさが、いい。
そして、そのサウンドたるや、まんまCONVERGEときた。
いや、そう言いきってしまうと語弊もあるかもしれないが…いや、ねーかな、やっぱ。とにかくその直系を継ぐかのダークカオティック・ハードコアだ。
そう、まさに「漆黒(ダーク)の混沌(カオティック)より生まれた」無慈悲なりってな感じなのが、微笑ましい。
さながら思春期にかかえている、とめどのない苛立ち。イカ臭い童貞をこじらせた俺様万能感。怯えをくるみ隠そうとするがゆえの、刺々しさ。
そういう一切を爆音に込めて、ドロドロの激情でブチ放つかのメタリック・ハードコア。
しかもそれがただの激烈性だけに向かわず、ポストハードコア的ともいえるアトモスフィアな空間アプローチを示しているのが現代的感性というか、ま要するに今風にエモ思春期っぽさをまぶしているのが特徴的だ。
結果、むき出しのアグレッションを前面にしていながらも、どこかそこに含んだ陰鬱と、煤けて黒みを帯びた悲哀の色味。
イントロから怒涛に雪崩込むM2″A Lie That Makes Life Bearable“などはまさにその好例であろう。
…うーん、ちとばかりアゲすぎたか。
正直に言えば、まだこのバンドならではの個性の確立には、全くもって至っていない。
まだまだ、良く言えば荒削り。悪く…というか普通に言って、未熟でお粗末。
付けた評点が、そう褒められたものではないものとなっているのもそのせいだ。
なので、くれぐれも期待を持って接することはやめたほうがいい、とは一応断っておく。
でもさあ、いいんだよ、もうこんな日は。
だって台風直撃で外に出れないような、出たくないような、閉じこもるしかもうないような休日なんて、あとは「BLEACH」の単行本でも読みかえす以外、他にないじゃないか。
まるで台風のように吹きすさび荒れ狂っている、そんな外界へのコネクトをこの日くらいは全部バチンとはずしきって、一人部屋の自意識の中に逃げ込み閉じこもりながら。
やれ、「我が世界に、神などいない」なーんて巻頭ポエムに半ば脳内でクスリとしつつ、でも心の片隅でちょっとオシャレかっこいいかも、なんて思春期自意識をくすぐられながら、未だ一向に治る兆しすらない不治の現代病、厨二病のそのグズグズとした微熱におかされるくらいしか、他にないじゃないか。
そんな永遠の厨二病を生きるぼくたちにふと共振しかかるような、リアル暗黒思春期ハードコアを、こんな日くらいはどうだろう。

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