STORY OF THE YEAR/”Tear Me To Pieces”:77p

STORY OF THE YEAR
このあいだ、海外サイトで男が落っこちてるこのジャケ画を見た瞬間、脊髄反応で「STORY OF THE YEARかよwwwww」と一人真顔のまま心に草を生やしまくったその次の瞬間に、「あっ?えっ?あ…マジでSTORY OF THE YEAR…なの?」と一人真顔のまま虚無になったのが、このアルバムだ。
尤も「燃えて落ちるかっこいいジャケはメタル」とは昔から言われてきた格言だが、それはさておき、まだしぶとく生きていたんかこのバンド。
どうやら本作が6枚目のフルレンス、ということはそれまでも細々出していたようなのだが、しかし上がらない花火は届かないただの不発弾、ってことで個人的にもかなり久々となる。
(3rdの微妙作「The Black Swan」以来か)
知らない方々のために簡単に説明すると、このSTORY OF THE YEARといえば、ゼロ年代半ば頃の一発屋スクリーモとして一目くらいは当時置かれていた(過去形)存在だ。
特に2003年のデビューフルレンス「Page Avenue」はそれなりに話題となった上、「こいつらといえばこの曲(しかない)」という代表(も何もこれしかない)曲“Until the Day I Die”を含んだプラチナ入りアルバム。
“Until the Day I Die”すなわち「ぼくが死に至る日まで」という、あっこれこのブログ主と同じ苗字の主人公の死神ポエムに書いてあったやつだ!なその曲名からわかるように、バンド名含めて思春期特有の痛ましいおしゃれメンタリティのポエミーな心境を歌にのせるナイーブ無双の繊細居士(せんさいこじ)としてシーンに登場。
当時は佃煮にしても処理しきれない程世に溢れていたスクリーモ、商業メタルコアの軍勢きっての気鋭として頭角を表し、一時期はそこそこくらいには名を馳せるも、しかしそこはやっぱり打ち上げ花火しかも小尺レベル。
その後、やはりこないだ新作を出しては同じように「まだ生きてたんか」とリスナー達を真顔のまま虚無にさせたゼロ年代組GODSMACKのメンバーと一発屋同志だけに殴り合い事件などを起こしたりしながら、何枚かアルバムを地味に重ねくすぶっては次第に活動を耳にしなくなり「そういやあったねあのポエム」という存在へと消えていった、ぼくらのSTORY OF THE ゼロ~テン年代ラウドロック史がこれだ。
さて。
そんな彼らの代表(も何もこれしかない)作、「Page Avenue」のゼロ年代に落ちる男ジャケがコレで、

STORY OF THE YEAR/”落ちる男はメタル”
んで今回の令和に落ちる男が、コレ。
この通りにもはや何を況や、
パっと光って咲いた花火の、この令和にめくるアベニュー2ページ目な狙いがここにある。
しかもご丁寧に燃え落ちていくというジャケにすら、この行く末のオチも透(煤)けて見えそうだが、それはさておき。
これでいて意外と中身は正直、そんなに悪くない。
というか寧ろ、毎度ながら聴けるくらいには出来がイイのが、この落ちる男OF THE YEARだ。
Tear Me to Peces、「泣くがいい、歩兵のぼくをバラバラに切り裂いて泣くがいい」と以下余白おじさんのイデオロギーなのかそれとも死神ポエムなのかというアルバムタイトルもエモくていい感じだけど、そのタイトルを受けたオープナーM1からしていい感じにポップにせつなく思春期してて、某Kerrangさんも「これおっさんども涙目で前髪片側に寄せて太いアイライン引き始めるやつ」といい感じに草生やしては賛辞。
その他にも、取って付けたヘヴィネスの手軽さと味付けがファミマのホットスナック感覚なM3“Afterglow”や、これなんて後期BLINK 182なノスタルジックさ(勿論意図的)のM7“2005”など、このバンドの手先の器用さが伝わる楽曲の良さで、「この“Until the Day I Die”が」というキラーチューン狙いというよりはむしろ曲粒をしっかり揃えてアルバムの総合点を狙える手堅い作りになっている。
しかも音楽性的には、あの頃のスクリーモというよりはむしろ現代ポップパンクだったり、いわゆるところのポストハードコアぽかったりな方向性と、このバンドらしくモダンに合わせて時流調整ただしおっさん感性でなうえ、しかもこんなウチみたいな長文にはとてもじゃないが我慢が耐えられないTikTok世代向けにとほとんどの楽曲を3分弱に縮小してみせるという、それはどうなんだな全方向性ジェネ設定。
とはいえ、言うたってどうせこの名を聞いてアルバムに向かおうなんてするのはやっぱりあの「ティラ、デーィアーィダーィ!」直撃世代サヴァイブ組なわけで、とどのつまりがおっさん向けゼロ年代ノスタルジー消費商品でしかない。
よってその結果、これが彼らの思惑のままに第二の、愛で思春期どもが次々落ちてくるアベニューになれるか否かはかなりな確率で微妙としか思えないけど、でもアレですね、えーと…売れるといいですねっ!☆(鼻毛抜きながら)

TORY OF THE YEAR/”Tear Me To Pieces”
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- アーティスト名:STORY OF THE YEAR
- 出身:US
- 作品名:「Tear Me To Pieces」
- リリース:2023年
- ジャンル:SCREAMO, POST HARDCORE, POP PUNK, ALTERNATIVE, METAL CORE,