SERENITY IN MURDER/「Reborn」(83p/100)
女性フロントマンという、言うなれば金色看板をやむなく変えたというのに、にも関わらず揺るがない。どころか、パワーアップすらしている。
そう断言できる力作だ。
かくもVoをAyumuに交代させ、ラインナップを新調しての、国産メロデスバンドによる4thフルレンス。
そのまず何が凄いって、「激しくも悲しく美しい」という音楽世界の作り込みの、えげつなさ。
そして、それによる扇情力のエグさ、とこの二つに尽きるだろう。
いやはや、世界観ハンパねえ!
いわゆるシンフォデスのフォーマットのもと壮大に組み上げられた音像は、絢爛にして美麗。
しかし他方でその煌めきに飲み込まれることのない激烈なブルタリティとヘヴィネスも担保されているため、メタルとしての強度を損ねていないのが白眉だ。
これは重厚なリフワークや高火力ブラストもさることながら、新たなVoによるあぎと鋭く噛み千切らん咆哮が負けていない故と評価したい。元レースクイーンという麗しきルックスからは想像出来ない、好戦的な攻撃性を前面にしたスクリームは本作きっての敢闘賞に値しよう。
加えて耳を奪うのは、何と言ってもメロディの豊潤さだ。
各所で琴線に触れるようなメロラインが濃密に、色鮮やかに仕込まれ、そしてそれがドラマティックに高揚感を押し上げていく。
個人的には猛々しく疾走しながら泣きまくりの叙情美を放つキラーチューン#8 “Beast In Human Shape”(↑)などに喝采したいところだが、これのみならず総じて楽曲レベルは高く、申し分ない。
華麗さ。苛烈さ。
崩れがちなそれら双方を上手く調和させ、また美味く調合させて示した本作が、国内外の類を一切問うことなく一級品質どころかトップクラスのデスメタルであることに、よもや誰も疑いはないだろう。
★追記(2021年06月12日)
「今週のチェック」から引用。
イントロから畳みかける#2 “Anthem“から、怒涛に押し寄せるテンションとアグレッションと美メロの洪水。
そして、そこから泣きの抒情美と獰猛性を引き継ぐ名曲、#3 “Plead For Your Life“へ。
(ここでのブラストパートとAyumuの咆哮のコンボが強烈!)
この冒頭の連撃の強烈さもさることながら、しかもそれが尽きることなく、ラストまで高まり進む、この爽快さ。流石に壮観なり!
山じいなら、そう言っちゃうね絶対に。…ってBLEACHのネタ出ししてふと思ったんだけど、和のテイスト然り、ちょいアニソンみあるところしかり、メロデス(というかメタル)が本来的に孕んでいる「中二病」感がいい意味で炸裂している。
大体、「速く、激しく、悲しく、美しい」なんて、まさに中二病パワーワードの連呼だよ!…ってBLEACHのネタ出ししてふと思ったんだけど、和のテイスト然り、ちょいアニソンみあるところしかり、メロデス(というかメタル)が本来的に孕んでいる「中二病」感がいい意味で炸裂している。
そんな、「速く、激しく、悲しく、美しい」を極めたこれは「中二メロデス」の最高峰、最終形態ではないでしょーか。
- アーティスト名:SERENITY IN MURDER
- 出身:JAPAN
- 作品名:「Reborn」
- リリース:2021年
- DEATH METAL、MELODIC DEATH METAL他