仲良く喧嘩しろ~THE BLACK CROWES / “Happiness Bastards” (2024) :86p

THE BLACK CROWES / "Happiness Bastards" (2024) アルバムレビュー
THE BLACK CROWES / "Happiness Bastards" (2024)
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THE BLACK CROWES / “Happiness Bastards” (2024) :86p

昔からニュースが届いたと思えば毎度懲りずにののしり合い、というロック界ではOASISのギャラガー兄弟に次ぐ仲の良さで有名なクリス・ロビンソン(Vo)とリッチ・ロビンソン(Gt)らロビンソン喧嘩兄弟。
しばらくは別々にソロ活動をしてきたものの、それも如何せんパっとせず、やむなくなのかお互いの確執を超えて再タッグを果たしたのが2019年のこと。

本作はそんな解散から仲直りと再結成を経てようやくとなる、15年ぶりというスタジオ・アルバム10thなのだが、勿論この良好な関係が長らく続くとは誰も思ってないから大丈夫だ。(何が)

さて、BLACK CROWESというと、80年代からのHR/HM流れのロックンロールと「アメリカ人しか判りきれなそうな濃厚渋口アメリカン・ルーツミュージック」という双方の側面を持ち寄りながら、そのカラーリングをアルバムの都度特徴にしてきたバンドだ。

「Shake Your Money Maker」(1990年)、「The Southern Harmony And Musical Companion」(1992年)とその名を高めるに至った初期2枚のサザンっぽくレイドバックしたヴィンテージ・ロックンロールが好きなクチには、次のアメリカーナ色がコッテり気味の「Amorica」(1994年)あたりは苦手に思えたかもしれないし(個人的には割と好きなんだが)、実はそんなぼくは70年代ハードロックとサイケが混ざり込んだ「Lion」(2001年)が大好きだったりする。
(尤も、ここら辺から何やらバンド内がきな臭くなってくるんだけど)

とそんな黒鴉の新作、今回はブルージーであるのは勿論ながらも、キャッチーでわかりやすい明快アメリカンハードロックをメインに据えた、王道狙いといった印象。
そのメロディックな溌剌さに、再起に至ったポジティヴなパワーを感じさせられる。

何と言っても、ブリブリのギターリフと鍵盤とビートでリードしてはのっけから直球ぶつけるM1“Bedside Manners”から、まるで黒塗りしたAC/DCみたいな縦ノリロックンロールM2“Ratd and Clowns”と、駆け出しからみなぎる躍動力。

リユニオンへの期待に答えるべくUSハードロックバンドらしい冒頭での復活の意義を「ワイらとて、やらないかんこと位ちゃんとわかってます」とばかりにアップテンポでアピりつつ、勿論それのみならず往来の彼ららしい濃い口ファンクナンバーからカントリー、ブギー、サザンロックまで引き出し豊富に揃えており、やはりなんだかんだでこの兄弟が揃うと違うものだな、と改めて思わされる充実ぶり。

目玉扱いな女性カントリー歌手レイニー・ウィルソンを呼んでのゆったりとしたアコースティックバラード、M5“Wiled Rose”も貫禄タップリに歌い上げていて悪くはないが、むしろそれよりライブで聴いたら爽快そうな粘っこいどぶろろくスウィングのM6“Dirty Cold Sun”、スライドギターとホンキートンクピアノとハーモニカの彩りで黒光りしまくりな名ブルーズ、M7“Bleed It Dry”あたりにこそその真骨頂を見るかのよう。
(ノスタルジックにラストを飾る牧歌的な60~70年代風味のフォークバラード、M10“Kindred Friend”も、ここにあると収まりよく締めてくれていい)

ここらにはプロデューサーの起用もあるんだろう、今回仕事しているのはジェイ・ジョイス
って誰やねん!と思ったが、どうやら元グラミー受賞経験もあるカントリー畑の大御所のようだ。(知らん)

 

とまれ、このような黒ツヤ乗った深みとコクのある旨味は、昔から他にありそうで実はないこの喧嘩兄弟でしか出せぬ独特の味わい。
久々のアルバムながら、このカラスどもならではのサウンドの心地よさを、今一度改めて噛み締めた次第だ。

…なのでホントこいつらもいい加減イイ親父なんだから、いがみ合い・突っつき合いも大概に、もう少しばかり活動を続けてくれることを願うばかりだわ…。

THE BLACK CROWES / "Happiness Bastards" (2024)

THE BLACK CROWES / “Happiness Bastards” (2024)

DATE
    • アーティスト名:THE BLACK CROWES
    • 出身:US
    • 作品名:「Happiness Bastards」
    • リリース:2024年
    • ジャンル:HARD ROCK, BRUCE ROCK, SOUTHERN ROCK, 

 

一応しとく注意
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・ネタが古い、おっさん臭い、と言われても古いおっさんが書いているので、仕様です。
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