「明日って今さーーーッ!」
(意:歯医者行ってくる)
おっと、その前にコオヒイひいてレコオド流して、休日恒例ヴァイナルカフェ。
SLAYER/Reign In Blood(1986)
こないだ、祝・暇だからちょっと集金しにいってくるわ限定復活してLIVE UNDEADされてしまわれることが報じられた、やつは四天王の中でも最強SLAYERさん。
その彼らによる、メタル史、いやロック史に残る金字塔といえば言わずもがな、このアルバムだ。
とにもかくにもSLAYERといえば、まあ、これだ。
いや確かにその代表作にして燦然たる最高傑作はと問われれば、そりゃ名実ともに、これ一択。
そんなことはコーラを飲めばゲップが出る位の常識だ。
ちな、名曲が一番多いのは、当時クソミソに叩かれた次の4th「South Of Heaven」。
あとメタルとしてちゃんと優れているのが、2nd「Hell Awaits」、
中学生的邪悪さで微笑ましいのが1st「Show No Mercy」、これ過去問な。
(ヘビメタ工業高校入試)
…という雑な初期紹介もさてを置いての、この神盤。
この時代における最速、最騒、最激、最凶、最強、最恐、最狂と全メーターを振り切った最中学生アルバムだった。
何せ最大火力、A1“Angel of Death”からひたすらノンストップで血の雨やむまで止まらない怒涛の力量戦もさることながら、そこにおけるこの頃ならではの殺伐さと暴力性と無慈悲さたるや。
そう、
我、
SLAYERといふは「狂気(ヤバさ)」とみつけたり。
おっとこのヤバさとは、昔ロブ・フリンがフェスステージで叫んでた「YOKOHAMA、マジヤバーイ」な類のヤバさではない。
恐ろしさや関わってはいけなさ、得体のしれなさ、そういた混沌に覚える、本当にヤバいヤバさのやつだ。
やがてこれらは手法や様式となり、デスメタル、デスラッシュ、メタルコア/デスコア云々へと手垢という手垢にまみれて洗浄されていくのだが、しかし。
それらには伝わりきらなかった、いやその血脈として薄まっていく遺伝子的本質、それがこの時代の孕んでいた「SLAYERというヤバさ」の美学だった。
尤もあの時代には、そんな「ヤバい幻想」がメタル全域に共有されていたし、そもそもそういう時代だった。
だからその「メタルはヤバい」というファンタジーの中で、オジーはコウモリを丸かじりし、ジューダスは自殺を煽ったとのケチがつけられ、セクスとドラッグが勲章になって、敗北を知りたそうなシュラプネラーどもが血で血を洗うネオクラギターバトルにふけ、でSLAYERは、ヤバかった。
さて。
思えばあれから30年余年。げにさるものなれは、時代の移ろいよ。
ウォーアンサブルのリフの声、諸行無常の響きあり。
昭和が終わって、平成が終わって、令和になって、その間に「ぼくらのSLAYER」はいつのまにか「みんなのSLAYER」にもなっていて、終いにはユナイテッドアローズでバンド公式のロゴTが売られるSLAYERにすらなってしまった。(※1)
結果、その本質だったはずの「ヤバさ」「狂気」は音楽要素として物質転換され、ツールとなってさんざんながらにあちこちで擦りまわされて、形骸化の果てにやがては先の通り。
「金字塔」(=ピラミッド)という世界遺産登録された、ただの朽ちたかつての王様の墓碑ただし今は観光地だがなとなっていく。
なんて事はない。何千、何百と繰り返されてきた、ロックの歴史あるあるだ。
「Reign in Blood」。
とどのつまりがこのレコードは、その名の通りに、かつて「ヤバ」かった血の王の墓石であるとともに。
ぼくらスラッシュ中学校の卒業生にとっては、あの日あの頃にはありえた「SLAYERというファンタジー」の、その結晶でもあったりもするのである。
RIP、ハンネマン。
※1:勿論ワイもちゃんと持ってるで、MONKEY TIMEのSLAYERコラボロンT。

SLAYER/「Reign In Blood」(1986)
- アーティスト名:SLAYER
- 出身:US
- 作品名:「Reign In Blood」
- リリース:1986年
- THRASH METAL
よって、そのほとんどが70~80年代の古いものばかり。
尤も音楽批評というかしこまったものよりは、大概がただの独り言程度のたわいない呟きなので、ゆるーく本気にせず(笑)読んでいただければ幸いです。