【今週のチェック】結束バンド, WET LEG, RINA SAWAYAMA, WHITE LUNG

結束バンド, WET LEG, RINA SAWAYAMA, WHITE LUNG 今週のチェック
結束バンド, WET LEG, RINA SAWAYAMA, WHITE LUNG
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パンイズザマスタード!(2023年流新年の挨拶もういい)

新春いきなり物騒なのぶっこんだ先週に打って変わって、今週は最近「ええな」と引っかかったりリピってたり気になったりな女性シンガーものを4枚お取り上げ。
各々、みんな違ってみんないい(クソベタ)。

なお、WHITE LUNGについての詳細は個別レビューをどうぞ。

結束バンド/「結束バンド」:62p

結束バンド/「結束バンド」

結束バンド/「結束バンド」

2022年の秋枠で放映されていた、重度のコミュ障だがその分だけギターだけは上手いというぼっちギタリスト女子高生を主人公としたバンドものアニメ、「ぼっち・ざ・ろっく!」

その設定だけを聞いて、何なんそのUFO時代マイケル・シェンカー物語!?と浮足立つも、第1話の冒頭10分ほど見て「クソかよ!」と心のリモコンを液晶にブチ叩きつけ。

それからしばらく忘れていたのが、やがてあちこちでそのサントラである本作の評判を目にするようになり、ふと気になって向かってみれば、何と音楽は全く悪くはないではないか。

あれこりゃ評価見誤ったかな、ともう一度アニメに向かったのだが、やっぱり3話ほど見て「ドクソかよ!」とまた心のリモコンを液晶に叩きつけてしまうという、PUTRID PILEばりの一人憤怒ブルデス展開。

ほのぼのおにゃのこ学園バンド日常系「けいおん!」令和版でもやってくれんのかと思っていたんだが、何だただのこじらせ自意識承認問題かでいやそれは全然いいのだけど、だったらそこにちゃんと真正面から向かえばいいのに、ひたすら笑えもしないギャグノリと自虐テンションでえへへとはぐらかす、見るに耐えない陰惨事故物件。

所詮はZジェネコンテンツかとため息&完全クソ認定をしかけたその矢先に、ふと見たYoutubeがこのライブシーン、「じゃギターと孤独と青い惑星って曲やりまーす」(↓)。

この「この4人DE!!!」からの足ZA!!!の一連があまりに激エモ過ぎて、見事がっつりとおっさんの胸にぶっ刺さってしまわれるなど。

そうそう、これだよ、これ。これなんだよ!
馬鹿なわたしは歌うだけなんだよ。
うるさいんだって心臓だよ。
つまりどういいうことだってばよ。

ヒリつく葛藤と焦燥、そして真っ直ぐな情動で鳴らされるギチャー、歌。
これぞ青春ガールバンドものの醍醐味ジャナイデスカーッ、ドンデンドンデン!と膝を叩きまくってこの右上のやつみたいな絶賛してたら「それって、あと数話だけ我慢したら絶対ハマってるやつっすよ?」と周囲に吹き込まれたのだけど、いやこのノリ…果たして我慢出来るもんなのか?純粋にキツいんですけど…と悩む現状なうなんだが、それはさておき普通にそのサントラはやっぱり普通に素晴らしい。

主人公らによる劇中バンド、その名も「結束バンド」によるデビューアルバム、という設定らしく、アニソンロックらしい疾走感あるハードロック、あるいはポップパンキッシュなサウンドにV系由来のギターが入る音楽性を序盤から前半の中心に置きつつ、しかしそこまで過剰にメタリックに傾くことなく、中盤以降はバラエティを広げるかの作りに。

しかも演奏も無茶苦茶タイトでキレがある極ウマさで、コレ絶対女子高生のもんじゃねーわってのはそりゃ勿論さておくとして、作り的には主人公枠のギタープレイをもっと前面に押し出してんのかと思いきや案外そうでもなく、寧ろアンサンブルの至極取れた上質歌ものロックとして成立。
(それでも割と弾きまくってはいるけれど)

そのヴォーカル役の声優、長谷川育美は、本来ならM3“Distortion”やM4“ひみつ基地”などの明朗パステルポップな可憐アニソンに相性が良さげだけど、しかし一方でM2“ひとりぼっち東京”やM5“ギターと孤独と青い惑星”ただし「惑星」と書いてオサレに「ほし」と読む、といった「ギターと少女と街」というそれ全男子が胸掻き立てられるやつな思春期盛り合わせのエモみあふれる歌詞を凛として、しかし等身大で歌いあげてみせているのもまた格好良くてたまらない。
(M7“あのバンド”で「たやすく心触るな」と歌い放つシーンも、印象的だ)

しかもラストにはM14“転がる岩、君に朝が降る”ASIAN KUNG-FU GENERATIONをカヴァーしているのだが、それを主人公ぼっちの声優、青山吉能が唯一歌っており、その拙げ且つ儚げな歌声も含めて世界観にこの上なくマッチしていて、俄然存在感を光らせている。

と、このようにアルバムとしては普通に優れた作品なのは普通に判るのだけど、でもやっぱりサウンドトラックというのはそのコンテンツを文脈の背後に存在するものであって、つまりはその作品世界あってこそのサントラだしというわけで、評点はアニメ3話まで見た現在地点から20点のマイナスを差っ引いておく。
(実質82pってことで)

おそらくアニメもも少し見進めれば評点も変わる…のかな本当にコレ。
しばらく後にしれっとこの評点増していたら、そういう意味だと思ってくださいまし。

(これ↓もめっちゃいんだよなー、困ったことに)

WET LEG/「Wet Leg」:70p

WET LEG/「Wet Leg」

WET LEG/「Wet Leg」

興奮したおっさんがいっぱい書いちゃったから、後はサクッと進む。

リアン・ティーズデイルヘスター・チャンバースという、微妙なかわいさの二人のシンガー&ギタリストによる英産フィメール・インディーロック・デュオ。
去年2022年の春頃に出ていたこのデビューアルバムがNMEでべた褒め&ポスト・パンデミック・ギタポの救世主扱いされてた…ってそれがどうしたとしか全く思えないロッキンのオンだけど、実際はただ単にお姉ちゃん二人組が気怠げにあの時代の90年代オルタナをやってるっていう、あ要するにPUFFYすね。

いや別に音楽性自体がPUFFYに近い云々とかそういうわけでもないのだが、でも要するに存在がPUFFYすね。

とはいえ楽曲によってはBLURいやどっちかっつったらPULPかなみたいな90年代ブリットさを魅せたり、はたまたまんまデヴィッド・ボウイだったりしつつ、しかし基本は初期のBECKみたいなだるだる無気力酩酊ローファイギターロックをSTROKESあたりのビート感で駆動させていていやだからPUFFYすね。

あー、なんでしょか、この甘い毒味をまとったユルい脱力グルーヴは、キッチュこそサブカルなれな90年代スノッブを生きたおっさんどもにはひどく懐かしく思われだからPUFFYすね。

RINA SAWAYAMA/「Hold The Girl」:76p

RINA SAWAYAMA/「Hold The Girl」

RINA SAWAYAMA/「Hold The Girl」

どうしてもリナサワ・ヤマと間違ってしまう、売れっ子日系英国人シンガー、リナ沢、ヤマ。

力強くも深みあるくっそ上手い歌で、日本出身ならではの90年代J-POPテイストを最新EDMに溶け込ませたようなポップチューンを歌う、あ要するに宇多田ヒカルすねと定評の彼女のニューアルバムがこれ。

エレクトロニカ、R&B、フォークロア、ポップパンク、ニューウェイヴ、ケイティ・ペリー…とカラーリングをレディにガガっと染め変えながら、様々なノスタルジアを浮かべつつ極上の歌を聞かせる宇多田ヒカルすね。

かと思えばM4“Catch Me In The Air”あるいはM10“Huricanes”(↓)みたいな開放感を満たしたオーセンティックな極上アリーナロックを魅せてみたり、はたまた東洋サウンドで何インチかネイりそうなM7“Your Age”をやってみせだから宇多田ヒカルすね。

このようにダンス・ポップ作品とはいえど、現代ハイパーポップらしいハイブリットさで、インダストリアルやラウドロックあたりにも通じるメタリックさ、更にはギターが時々愛のままに我儘に僕は君だけを傷つけなかったりもするので、割とぼくら畑でも結構楽しめる宇多田ヒカルすね。

WHITE LUNG/「Premonition」:75p

WHITE LUNG/「Premonition」

カナダはヴァンクーバーの疾走ガールパンクバンドえ、ガール?5作目にして最終作。

初期はもっと、観客に血まみれのタンポン投げつけてた頃のL7を高速ビキニキらせたようなドヤンチャ・ライオットガールパンクが、2016年の前4th「Paradise」後に、活動停滞。

しかも嘗てはレイプへの怒りを歌っていたミッシュ・バーバーウェイ(Vo)が、「ファックは文化だ」と発して自ら世界的エロ本の編集長に見事ご就任してみせるなど、これまでの信頼と評判を放棄し、結果バンドも解散に。

そんな状況の中から出した本ラスト・アルバムだが、しかし音楽性としては寧ろ今までで一番仕上がりがよい出来に。

「燃え盛るクソの街L.A.をドライブデートしてる神様は、酔いどれのチェーンスモーカーで虚無的な不良」とちょっと軽く清原キメてんのかなといったPV曲“Date Night”(↓)はじめ、相変わらずBAD RELIGIONみたいな苦味哀メロを疾駆させながら、しかし一方でメタリックな鋭さを増強して入り組み、同時にニューウェイヴ、ゴシックのような黒ずんだ美感をも纏うようになっているのも印象的だ。

しかもヴォーカルのミッシュ・バーバーウェイが母親としての妊娠と出産の経験を経たこともあって、歌詞テーマが従来までの社会への怒りやジェンダー絡みではなく、もっと母親としてのパーソナルなものとなっているのも大きな変化要因。
某海外のピッチなフォークサイトによれば、「これまで激烈な怒りに満ちたアルバムを4枚出してきたパンクス達の今回のアルバムテーマは、30代のインスタグラムによく見られるように、赤ちゃんだ」

とはいえ元ガールえ、ガール?パンクな彼ららしさを失ったわけでもないし、これはこれで嘘偽りのない、ある意味如何にも彼ららしいラストアルバムではないか、とも。

なお詳細は個別のレビューにて。

以上、今週の4枚でした。
それぞれの女声ロックを楽しんでいただけたら幸いです。

…って楽しく酒飲んでこれ書きながらMステ横で流していたら、手首キルラキルさんのニューアルバムが出たのをCMで知るという、マジすか展開。
ちょいちょい活動再開してんのは知っていたけど、アルバムもう出てんのかよ!
是非ともこの流れで入れたかった、っていうかめちゃ聴くの楽しみなんですけど。

ではまた来週!

結束バンド, WET LEG, RINA SAWAYAMA, WHITE LUNG

結束バンド, WET LEG, RINA SAWAYAMA, WHITE LUNG

一応しとく注意
・レーティングはあくまで書いてる人の個人的な気分と機嫌のみに基づいたものです。
・ネタが古い、おっさん臭い、と言われても古いおっさんが書いているので、仕様です。
・ふざけたこと書きやがってと言われても、ふざけて書いているのでお許しください。
・ネット上のものがすべて本当だと捉えがちなおじいちゃんや、ネット上のものにはケチつけても許されると思いがちな思春期のおこさまのご意見は全てスルーします。
・要するに、寛大な大人のご対応をよろしくお願いします。な?
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