今週のチェック/VV, BLOODBATH, DISCHORDIA, MÅNESKIN-The Weekly Reviews

VV, BLOODBATH, DISCHORDIA, MÅNESKIN 今週のチェック
VV, BLOODBATH, DISCHORDIA, MÅNESKIN
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VV/”Neon Noir”:78p

VV/"Neon Noir"

VV/”Neon Noir”

ゼロ年代欧州ゴシックメタルの懐かしくも輝かしきフィンランドの一発屋、H.I.M.

そう、H.I.M.といえばかつては「ラブメタル」とも呼ばれたおめでたい少女漫画世界に加えて、そのイケメンぶりによってゼロ年代当時のリアタイスイーツ(笑)女性リスナー達を夢中にさせてきた、かの女子供向けロマンスゴシック・アイドルバンド。
そしてこのヴィレ・ヴァロとは、他ならぬそこのシンガーにして中心人物であり、かつてゼロ年代メタル界において「ゴシックメタル界のロバスミ」あるいは「ていうかロバスミって誰?」とも言われたラスト・ロマンチクサー(知らん)であって、勿論ジオン公国とは無関係だ。

そんなモビルアーマーヴィレ・ヴァロによってH.I.M.解散後に始動させたソロユニットが彼の名の頭文字を取ったこのVVであり、本作はそんなH.I.M.以降の彼の足取りをつずった大草原1stアルバムとなる。

いかにもラスト・ロマンチクサーな彼らしい、ベレー帽と一緒に女性用の葬式チュールをかぶるという全攻めに徹した極右の乙女ゴシック不審者ファッショナブルさでやっぱり草、しかもその音楽性たるや往年のH.I.M.の延長線上というべき麗しくも美しきロマンスゴシック不審者通報ラブソングス。

いきなりオープナーがこの令和に何インチネイるのかと呆れ驚いたが、続くM2“Run Away From The Sun”では近年のボン・ジョヴィにも通じるスイート(笑)ロックをよりソフトに歌い上げた名曲で、田原俊彦でなくとも「ロマンティストでいいじゃない」と頷けるロマンチクサーっぷり。

しかもかの甘くて優しく、まるで天使ただし女性用チュール被った髭ヅラのおっさんのようなシルクヴォイスも今なお壮んで、その道が好きならウホッうっとりさせられることうけあいだ。

加えてM7“Salute The Sanguine”の軽快さを塗りあげるかのダークでノスタルジックなメロディックさも秀逸で、さすが頭はゴスロリ見た目もゴスロリの髭ヅラ不審者の彼らしい愛に溢れ満ちたどこぞの星十字騎士団を思わす秀逸さ。

これ以外にも、古い城や吸血鬼やらがいちいち出くわしてはやれ痛いほど抱きしめ愛してやるなどと街中で頭がフットーしそうなロマンチックさがC-C-Bすら止まらせない変態ゴス髭乙女ヴィレ様オリジナルラブワールドを展開。
その徹頭徹尾なHIMロック路線の健在さは、このバンドのロゴ(下のPVの左上参照)がかつてのH.I.M.ケツハートグラム×お星さまロゴにアナルファッ重ねている乙女さからも伝わろう。

とはいえ基本的音楽性がただのド典型メロハーなのでよくわからない人だとなんだまたTENのクソ新作か(うんざり)と混合しそうだけど、大丈夫こっちはジャケみればちゃんとラブにとりつかれて完全に目がイった変態中年ロマンチクサー様のものだと一目瞭然だから。

DISCHORDIA/”Triptych Review”:70p

DISCHORDIA/"Triptych Review"

DISCHORDIA/”Triptych Review”

本3rdにて「フルートはデスメタル」というミルコ・クロコップな新境地を人知れず見出した、米オクラホマ州の三人組のこれ。

基軸になっているのはGORGUTSあたりのテック・デスで、そこにちょいメシュガなマスコア要素とフリージャズを思わすまでのプレイ、そして複雑なまでに入り組んだカオティックな構成、更には如何にもそのバンド名らしいディソナントデスの不調和な息苦しい不快さを合致。

しかもそこに不気味でアトモスフェリックなオカルト風味を取り込むために、鍵盤に加えてなんとフルートをも導入。
結果、現代エクストリームメタルの暴虐さにダークアンビエント要員としてJETHRO TULLが迎えられるという、なんたるプログレッシヴ展開。

例えばM2“Bodlies of Ash”のラスト、ピアノとフルートが導く世界は完全にホラー映画か、さもなくば志村後ろ後ろ。

とはいえ正直、一時間弱というアルバム尺の長さの割には面白みに欠けた残りにいい加減飽きもくるのでそれは評点レベルなんだが、でもアイディアとして”だけ”はちょっとだけ面白いので一応あげとくことにする。

MÅNESKIN/”Rush!”:74p

MÅNESKIN/"Rush!"

MÅNESKIN/”Rush!”

Zジェネ・オサレトロック枠の最有力候補を「イタリア産とかちょっと新鮮」とあざとく狙う、2023年一発目の洋楽注目株にして同時に世界に向けた勝負作。

全17曲と吐きたくなるような構成なのに、ちゃんと表情変えてコンパクト…とまでは言わんがしかしテンポよくカラバリよくサクサク60分内にまとめてみせるからやっぱ売れモンは違うわと唸らされる。

音楽性の細かいことはすでに書きあげた個別レビューに任せるが、グラムロックからオルタナ、ゼロ年代ガラージロックなどをほどよく混ぜ合わせ。
しかもイタリアらしい乾いた哀愁味のあるラテンテイストを残しつつも、そこはやっぱり世界戦とばかりに田舎モンのアク抜きと欧州出のファッショナブルさをコントラストにさせて、うまいこと調和&調整で仕立てているのが流石だ。

そりゃあこんだけ金かけてこしらえりゃ、ロックンロールも死なねーわな。(皮肉

尚、詳細は個別レビューにて。

BLOODBATH/”Survival of the Sickest”:59p

BLOODBATH/"Survival of the Sickest"

BLOODBATH/”Survival of the Sickest”

KATATONIAの新作をちょっと齧ったら微妙なユルさでこんなんだっけかと拍子抜けしたので、そういや去年に扱い損ねたこっちを代わりに拾っておくことにする。

でもこっちもこっちなんだよなー、というそのKATATONIAはじめ、OPETHやらPARADISE LOSTやらの中の人たちやHYPOCRISY他のピーター・テクレンやらという北欧シーンの大御所飲み仲間達が入れ替えつつ都度集まっては90年代初期デスを標榜するという、確かにスーパーグループっちゃスーパーグループなんだが名ばかりで所詮はサイドプロジェクトならではの小粒感しか否めない縮小デスユニット再生産というあんま誰にも言われてないラ・王様、今回でかれこれ6作目。

ちなみに今回の陣営は、ヨナス・レンクス(Ba)とアンダース・ナイストロム(Gt)のKATATNIA組に加えて、ここでもヴォーカルにニック・ホルムズPARADISE LOST)、そしてギターにトーマス・アクヴィクLIK)が参加。

先の通り「趣味のオールドスクールデス復刻遊び」がテーマのこのバンド、今回もやはりそれに従って規定どおりの音楽性をこと器用に披露。

今回んところはデスラッシュのごとき猛然と突進してはザクザクリフの烈火がゾンビを焼き払うM1“Zombie Inferno”から始まって、SLAYERばりのリフワークでMASSACREGRAVEを合わせてみたM2“Putrefying Corpse”、あるいはアメリカンデスメタル風味のM4“Carved”あたりがトピックチューンか。

他にも密葬時代のENTOMBEDのようなドス黒さだったり、はたまた病魔を崇めてた頃のMORBID ANGELっぽいところも見せつつ、クローザーではそれに加えてOBITUARY所縁のおどろおどろしさがプチ楽しめる“No God Before Me”で、我が前に神などなしとサタニックに歌ってみせる中学生。

とはいえ、あれやこれやで取り合いあつらえたかの作りはやっぱり小粒で、例えばM3“Malignant Maggot Therapy”CANNIBAL CORPSE完全に一致などとノスタルジックで微笑ましくはあるけれど、でも単にそれ微笑ましいだけでしかないっていうか寧ろ微笑みすらないままに「だったら普通に昔のネタ元聴くわ」って真顔になるのが本音だったり。

うーん、何すかねえ、この悪くは全くないけど全然ノリきれなさ。

以上、今週の4枚でした。

なんすかね、年始なのかまだちょぼちょぼとしか力の入ったアルバムが届いてない感。
まあ、ぼちぼちマイペースでいきまっしょい。

VV, BLOODBATH, DISCHORDIA, MÅNESKIN

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