今週のチェック/EMAROSA, COUNTERPARTS, GAUPA-The Weekly Reviews

EMAROSA, COUNTERPARTS, GAUPA-The Weekly Reviews 今週のチェック
EEMAROSA, COUNTERPARTS, GAUPA-The Weekly Reviews
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EMAROSA/”Sting”:80p

EMAROSA/"Sting"

EMAROSA/”Sting”

テン年代初頭からその名を高めていた名門HOPELESSのポスコアバンド、EMAROSA
RISE時代からエモーショナルかつメロディックなハードコアを旧来身上としていたはずが、レーベルも変えてのこの令和の新作では、アルバム冒頭からまさかの「ベストヒットUSA」が始まりそうなネオンサウンドへと激変。

しかも小林克也の渋声タイトルコールのかわりに、ハードコアにもいきなり甲高くアオゥーッ!!!☆とマイケル転生してしまわれるという、ここにきて何たるあててんのよタカヤばりの路線変更暴発事故。

しかもいつの間にやらメンバーすらも激変&激減しており、今やギタリストとジャクソン担当の二人というか最早二匹のバブルス君↓しかいないという残骸デュオ陣営でのリスタート、さながらもっかい猿から出直しますとばかりに黄金の80年代マイコーシンセポップで小刻みに今夜をビートイットするこれたるや。(文末リンク)

のっけからアオゥーッ!!!☆じゃねーよとそのスリラーだかゴリラーだかに失笑していると、続くM2“Attention”以降も、あれこれTOTOいやTEARS FOR FEARSだなだったり、はたまたドナルド・フェイゲン、いやボビーコールドウェルもいんのかだったりな80年代血迷いアダルトコンテンポラリー盛り合わせ。

そんな、まるでパツキンボインが脳天気にビキニ姿で海岸歩いてる映像の裏で流されるような昭和ジュークボックスBGMが続くという高齢者要注意のショッキングな躁展開は、とどのつまりが前2019年の「Peach Club」で見出したインディー・ポップと80年代懐メロとの邂逅を、思いっきり後者側へとゴリゴリ全ブリした血路の惨劇。

そりゃ当然ながらの賛否両論ていうか、どっちかっちゅーと「否」が多めなのも否めない様子で、特に例の今夜をドントストップさせるアオゥーッ!!!なネバーランド特注仕様については、随所でレビュアーが呆れ気味にBad出し。

…と、要するにこれイタい子AT THE DISCO枠というのがどうやら世間総評のお扱いのようで(多分)、そりゃ上で指パッチンにいそしむスタジャンバブルス君見れば一目瞭然で頷けるんだけど、でもそれを踏まえたとしても、ぼかあ割とアリすねこれ。

確かに80年代リバイバル叩き売り品とはいえ、ここまで爽やかなシンセサウンド&軽やかギターカッティングはノスタルジックな上に抜けもあって心地よし。
しかもさすがのポップな作り込みで、M4“Chinamon”の程よく軽やかに高音域を泳ぐドリーミンなバラードさといい、なだらかなM6“INLA”から情感をアップさせるソフトロックM7“Again”に向かう抑揚など、要所要所に聴き応えもある。

だから例えば夜の首都高の帰り道なんかでうっかり流してしまうと、まるであの日あの時あの場所で君にあえなかったんだっけかな昭和FM番組のように、素直になれなそうなシカゴやら聖なる剣で斬りかかるロザーナやらを走り轢き抜いた挙げ句の果てに、わたせせいぞうのハートカクテル散りばめたレトロポップ無間へと辿り着くという地獄絵図で、それらを実際に至らしめすコンポーザー、アレンジャーとしての力量はそこまで卑下されるものじゃないはずだ。

というわけで、80年代AOR地獄に浸りたいモノ好きな方は是非どうぞ。案外イケます(笑)。

COUNTERPARTS/”A Eulogy for Those Still Here”:75P

COUNTERPARTS/"A Eulogy for Those Still Here"

COUNTERPARTS/”A Eulogy for Those Still Here”

カナダのリアル・メロディックハードコア・バンドによる、7thフルレンス。

いつも通りといえば、全くいつもの通り。よって目新しさもないけれど、でもそれが彼らだといえば、確かに彼ら。
そんな真っ直ぐな不変さこそが彼らの個性とばかりに、ゼロ年代ニュースクールの流れをがっぷり受けたこれぞエモーショナル叙情派ハードコアなサウンドは、スタートからラストまで一切の流れをゼロ秒たりとも途絶えることなく情念のほとばしりと豊潤なメロとを始終走らせる。

しかも相変わらずTOO シャイシャイルーな、この瞬間にド多展開につぐド多展開。
やれこの曲がというよりは脈々としたコンストラクトとして、メロウネスと激烈なリフさばきの剛柔静動自在なコンボをたくみに織り込み織り交ぜることで、エッジィな激情と泣きわななく哀感の双方を満たし流していくかの、いやだからそれ。

如何せんシームレスな流れの妙味のせいか、油断してると割とスルスルにヌけたままで気付いたら終盤まで至りかけ、M7“Sworn to Silence”のキャッチーさでようやく「あこの曲ええかも」とハッとしてグーするんだが、でも元々これはそういう仕様で作られたもの。

寧ろ情念がどうヘヴィかつハードに弾け炸裂し、その哀情がどう雪崩れ込むのか。その水流のごとき変幻模様ドラマを追い楽しんでいくと、クライマックスのラス曲M11“A Mass Grave of Saints”の熱情の極まりとその彼岸に至るから結構泣けるよってすまんそんな野暮をイチイチ解くまでもないすね、ウチでの取り扱いも最初なんでご勘弁を。

刺々しさの一方で近年作に強く磨かれているクリーンヴォイスやなめらかメロがますます自然に取り込んでいるのも、その成長かと。

GAUPA/”Myriad”:84p

GAUPA/"Myriad"

GAUPA/”Myriad”

スウェーデンに現れた摩訶不思議な女性Voサイケストーナー、NUCLEA BLASTとこのたびディールを結んでめでたくレーベルデビューしての、これが2nd。

しかも海外評で「ビョークメタル」と呼ばれてて「何それ」と失笑したら、本当にちゃんとビョークメタルだった件。

何せストーナーあるいはオカルトドゥームなどをベースにしつつ、ハイブリッドにも90年代グランジ、フォーク、サザンロックなどを混ぜ込んだマジカルなヘヴィサイケ・サウンドを歌いあげるのが、まんまビョークなシンガーときた。

しかもこれが面白い個性的なマッチング効果を生んでおり、90年代初期におっさんどもが思い抱いていた「初期ビョークにヘヴィロック歌わせたい」願望を満たしてくれるかの満足感。

例えば個人的にはグランジうなだれチューンM2“Diametrical Enchantress”でのALICE IN CHAISばりなダウナーリフにエマ嬢(Vo)のエキセントリックな歌がビョーキー(何それ)に乗る感じに90年代リアタイ老害としてのツボをつかれるし、またシングル曲M4“RA”は何だただのNIRVANAオブストーンエイジかなんだけど、でもそのヴォーカルが当然ビョークなのでビョークッド(何それ)な独特の仕上がり。

かと思えばM3“Moloken”のブルージーなドゥーム曲すら、すでに養われた彼女のビョーカーな(何それ)貫禄で沁みさせてくれるから、たまらん。
これはなんともクセになるオススメ枠。

なお詳細は個別レビューをどうぞ。

GAUPA/”Feberdröm”:60p

GAUPA/"Feberdröm"

GAUPA/”Feberdröm”

でそのGAUPAがかなり気に入ったので、NUCLEA BLASTとの契約前にインディーズで出した2020年リリースの1stデビューフルレンスを、ここで漁ってみた。

…うん、結論。
作る環境、育つ環境って、やっぱすごく重要よね…。

一応解説しとけば、上の2ndアルバム「Myriad」ほどの洗練や完成度は勿論ながら、自身の魅力の効果的な表現にも至っていない、荒削りの原石といった感。

またエマのヴォーカルは、今よりも感情的だが、しかし荒っぽいというか情感が先走り気味なうえにそこまで表現力もたおやかに育っておらず。
加えてバック勢もまだ未熟さが見える上にちょいまだ凡庸で、グランジスパイスの旨味もこの後に削りこまれたものだったかがわかる。

とはいえ、彼らの出発点はそこまでサイケデリックさの少ないもっと母国語によるスカンジナビアン・プログレ・ドゥームしかも時にはフューネラルといった暗鬱田舎趣向で、さながら「Leviathan」の頃の初期MASTODONに通じるダークヘヴィネスに鬱蒼としたフォーキーさを重ねる北欧土着系の出自だったことが、M2“Where Emperors Grow”あるいはM4”Grycksbo gånglåt”などをはじめ各曲顕著に見えて興味深い。

他にも乾きささくれ渦巻くM6“Afahonan(Shooting Blanks)”とかはデザートロックにちょっとしたSOUNDGARDEN混ぜたみたいなグランジィさで割と格好良いか。

ま、いかに上のアルバムで一皮も二皮もむけてスケールアップとメジャー感を付けてきたのか、そういう行為確認のための一枚か。

あとジャケは毎回この流れなのかと理解するなど。
(バンド名GAUPAは元々彼らの母国スウェーデン語で「ヤマネコ」の意らしい)

以上今週の4枚でした。

今週はどれもよき収穫。
EMAROSAのアオゥッなこれも、ぼかあこれ肯定派すね。

ではまた来週。

EMAROSA, COUNTERPARTS, GAUPA-The Weekly Reviews

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