雲一つない、澄み切ったかのようによく晴れた春の日曜朝。
最高だ。
最高に鼻づまりだ。
最高に目が痒くて最高にくしゃみが出てざいごうにばなみずがどまらばいがら先週やり損ねたチェック4枚だ。
Ho99o9/「SKIN」:78p
これで「ホラー」と無理やり読ませるらしい、米ラップコア、ヒップホップ・デュオ。
…と言うと想像するであろうな既成概念を破壊するかの、型破りモダン・ミクスチュア・ハードコアユニット。
作品としてはこれがデビュー・アルバムに続くフルレンス2枚目らしく、またデュオとは言ったものの、前作からマンソンや再結成BLACK FLAGにも関わったことのあるドラマーがどうやら正式に加入してトリオ陣営になったらしい。
さて、「モダン・ミクスチュア・ハードコアコア」なんてさっき勝手に付けただけで、そんなものがあるでもなし。
そもそもこのサウンドを言語形容するのが難しく、敢えてするならばグライムとATARI TEENAGE RIOTとTHE DILLINGER ESCAPE PLAN(どうやら実際に元ドラマーがメンツにも関わっているらしい)とTHE PRODIGYを混ぜ合わせたような…とでも言おうか。
あっちゃこっちゃに荒々しく激しく弾けては、ひしゃげヒビ割れ潰れ崩れては跳ね返るというハードコアの原理的美学のもとで、低音エクストリームブースドな現代ヒップホップやデジタル音楽を我流にこね回した、という様相。
そんな彼らの奔放さが吸引したのか、プロデュースはトラヴィス・バーカー(BLINK 182…ってドラマーばっかだな関わってんの!)がつとめており、ゲストもまたSLIPKNOTのコリィ・テイラーはじめ、バン・B、ソウル・ウィリアムズと多彩にして豪華。
如何せん刺激全振りで、アグレッションとインパクトでの勢い勝負といった感が強いせいか、よくよく聴くとアラや取りこぼしも多いのだけど、でもこういうものはこれでいんだよ!というわけで、この(↓)コリィの使い方とかにピンときた方はどうぞお試しあれ。
VEIN.FM/「This World Is Going To Ruin You」:72p
いつの間にかFMが付いたせいで78と言いたくなった、血気盛んなボストンハードコアの伝統を受け継ぐ優等生。
話題にふさわしかった前デビュー作「Errorzone」に続いての2ndだが、これもまたヒリつくような胸アツ展開。
不穏と剣呑に満ちた、ささくれだった激音カオティックハードコアを吐きつけるかのようにアルバムに込めている。
このおどろおどろしいダークさで塗りたくられた、煙あげるほど火照るような熱気がたまらない。
正直、音楽性においては、やれハイブリットだと言われる割には、あちらこちらにありそうな手業をかじって散りばめたような程度にしか思えず、そこについては別段新味も刺激もないのだけど、でもこのイキの良さだけは十分買える。
往年のCONVERGEを地味&小粒にして若返らせ今様に仕立て直した感じ…なんつったらあちこちから怒られそうだからやめとくか…。
GHOST/「Impera」:40p
何だかうまいようにコトが転んで話題になり、終いにはグラミー賞2部門にノミネートまで至った前作から続く、5th。
やたらめったら明度の高いトップ曲のポップさとグラマラスさにTHE DARKNESSあたりのイヤなイメージが重なったが、それも当たらずも遠からず。
全体的には、スケールアップをはかりつつ前作の延長線をよりライトかつメロディックに導いたような印象で、あれあれこんなヤツらだったっけと訝しがるも、まあでもそういうバンドだったかもなと思い返しての、今ココ状態。
それはそうとしてコレ、何でこんなに薄っぺらで引っかからないのだろう。
予算もかけてそれなりに作られているから、出来自体は悪いわけではない。
にも関わらずキャッチーで親しみやすいくせにフックが足りない楽曲は、肌馴染みもいいはずなのに、どこかスルスル抜けてしまい、何も残らない。
割とリピったはずなのに、ああ、そうなんねーで毎度アルバムが終わってしまう。
つい、ゴシックでヘヴィ&ダークだった方向性のほうがやっぱりこいつら合ってんじゃないの?と余計なことを言いたくなるのだが、そもそも個人的感性からは全くカッコイイと元々思えない音楽性なので、ぼくごときが何かを語るバンドでもないのだろう。
DREAM THEATER/「Lost Not Forgotten Archives: Awake Demos (1994)」:65p
最初に断っておくが、この評点はあくまでこの企画アルバムに対してのものであって、元々の「Awake」についての私的レートについちゃゆうに90p以上であることは予めお伝えしておきたい。
と、そんな先月号の「月刊どりむし」は、1994年というかつて遠い昔の絶賛グランジ無間地獄時代に落とされた結果、あのエポックメイカー「Images & Words」に続くのがこれなのかよ!とそのオルタナヘヴィめなサウンド指向に当時多くの年寄りどもの眉をしかめさせ腕組みさせたことで知られる3rdフル「Awake」のデモ音源だという。
あ、ちなぼかあ大好きっすよ、このアルバム。
さてこのデモ音源、アルバムとは曲順が全く違う。
“6:00”におっきしない。
てゆーかオープナーがアルバムきってのド地味捨て曲“Scarred”とか、何なんこれ。
こんな、アルバムで唯一抜いても誰も気づかないような、終盤でこそ存在が許されたような曲をド頭に持ってこようとしてたのかよ!と、そのグランジ直下時代の危なっかしさに改めてこの令和に冷や汗をかくというのがこのデモ音源最大の発見という、なんというコレジャナサ。
他にも“The Mirror”から“Lie”に雪崩込まねーのかよ、とか微妙な違和感しかないのだけど、でもずっと太鼓がチャカポコしてた“Caught In A Web”だけは、アルバムテイクよりもビート感が強くてカッコよく、いにしえに禁じられしメタル形容言語「スポンテニアス」を唱えたい出来。
とはいえ所詮はデモ音源、別にアルバムとそこまで違いがあるわけではない上、この曲順なので、聴くんだったら普通にアルバムに手が伸びるところ。
尤も、そういうのをいちいち判った上でのサービス企画盤なのだから、そこに外野がケチつけるのも筋違いな気も。
なので、評点はこの程度だけど、そういうものと大人として楽しめるファン向け。
判ってると思うけど、ぼくも上のようなケチを付けて十分楽しんだクチだ。
以上、今週の4枚でした。
Ho99o9、えっすね。これ、今週のお勧めかな。
ではまた。