【今週のチェック】AUTOPSY, INTECHNICOLOUR, THE WONDER YEARS, ANTHRAX,

AUTOPSY, INTECHNICOLOUR, THE WONDER YEARS, ANTHRAX, 今週のチェック
AUTOPSY, INTECHNICOLOUR, THE WONDER YEARS, ANTHRAX,
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AUTOPSY/「Morbidity Triumphant」:80p

AUTOPSY/「Morbidity Triumphant」

AUTOPSY/「Morbidity Triumphant」

街中を行き交う幸せそうなカップルらを横目にクリスマスがすっかりお一人様仕様でMentalがFuneralしがちな皆様いかがお過ごしの事と存じますが、そんなときにはAUTOPSYでも聴いてればいんじゃないかな。

曰く、デスメタルの先駆者。
曰く、ゴアメタルの始祖。
曰く、エクストリームメタルの生ける伝説。
曰く、バンドの形をしたクズ。

一応説明しとくと、AUTOPSYとは1980年代後期、初期DEATHでドラマーをやってたクリス・リーフェルトが「こんな汚く叫んでるだけでヴォーカルがつとまるなら俺にも楽勝に出来るわ大草原」と結成された、レジェンド・レベルの元祖デスメタルバンドだ。

なにせその影響たるや、ENTOMBEDからDISMEMBERCANNIBAL CORPSEIMMOLATION、キリストと同じ33歳になったら自殺してやるDEICIDE現56歳などなど、米国内は勿論、後の北欧デスメタルシーンにまで多大に広がっている。

ただしそれ故にか如何せんAUTOPSYを高品位高潔なバンドと勝手に勘違いされてる向きもある気がすんだけど、いやゴメンちょっとそれ違うから。

そりゃ確かに凄いバンドなのは十分に認めるところだけれど、しかし一般的な人間の趣味の品位で言うところだと、控えめに言って最低以下。
どのくらいの品位かといえば、90年代のラストアルバムがこれなくらいだ。

これ↓

そこそこな歳の大人達の作品が「排泄物大好物」という、メンバーの親が知ったら膝をついて悲しむに違いないこのアルバム、何周かしてメタルの反逆性って何だったっけウンコ食うやつだったっけと考えさせるものを最後に、案の定というかバンド、流散(ウンコだけに)。

そりゃそうだろだっって食糞だもの、寧ろよくここまで持ったもんだ食糞なのにと軽く褒めてすらあげたい位だが、しかしその後2009年に再結成。
しかも意外にもそこそこコンスタントにアルバムを重ねながら、8作目たる本フルレンスをリリースした。

尤も流石に嘗てのように「排泄しながら乱交」みたいな知性あふれる曲もやらなくなったが、とはいえこの高度情報社会な令和にもやっぱり性懲りもない「ぼくのかんがえたさいていのですめたる」と言わんばかりなアングラオカルトホラーグログロナンセンスなスラッジ盛り込みクソ汚い系デスメタルをやっていて、このMentalがFuneralしがちな年末にぼくらの中学生メンタルをホッコリさせてくれよう。

ま、とどのつまりがドロドロでズルズルなスロードゥーミーもりもり入った古臭い古典デスメタルをおっさんどもが楽しくやっているだけの話なんだけど、でも反面、その抱かれがちなとっつきづらいイメージや敷居の高さの割に随分グルーヴィかつキャッチーでちゃんと激しくてかっこいいメタルしてるから、一度試してみるといんじゃないかな。

INTECHNICOLOUR/「Midnight Heavyweight」:82p

INTECHNICOLOUR/「Midnight Heavyweight」

INTECHNICOLOUR/「Midnight Heavyweight」

イギリスはブライトン発、ちょっと面白い今週の注目株だ。

頑張ればストーナー或いはデザートロックという枠に一応括られるのだろうが、それだけならここに彼らを挙げていない。

加えてポストロックをも見据えたBARONESS的ゼロ年代ドゥーム・グルーヴと、色濃い90年代グランジ色、とりわけPEARL JAMのゆったり大陸色とALICE IN CHAINS的ゴッソリ暗黒色を混ぜ込んで、更にところどころにはシューゲイザーの幻想美やインディーロック的ドリーミーさ、あるいは80年代ゴシックの妖艶さやパワポギターロックの軽やかな躍動感をあちこちに、程よく調子よく体裁よく落とし込んでみた…といえば少しは伝わるだろうか。

楽曲毎にもその表情を変えていて、例えばぼく的にはミドル90年代なオルタナ濁り気味にカラートーンを变化させるオープナーM1“BloodMoonShine”が気に入っているのだが、しかし。
何と言ってもこのジャケ、この音楽模様、そしてあの時代のスマパン的サブカル臭つまりはメロンコリーな終わりなき日常を悲しんでりゃ騙されんだろ的如何にもそれっぽい雰囲気を醸す、“Tokyo Dream”の存在感よ。

前作での初来日ツアーで身にしたセンチメンタリズムを持ち込んで、さながら世が昭和邦題時代なら曲名を「東京妄夢~思い想い重い真夜中」とでも付けたくなるファジーなベッドルーム・エモ要素もありありに、ジャケ通りの串カツ田中と風俗案内が相席居酒屋で清濁合わさったかの情感を紡いでいく。

しかもこの他にもスタイリッシュなUKロック感性が活きるM6”Turn It Loose”や、ザラついた重みに色味ある情念が混ざりこんで残響するM7タイトルトラックなど、聴きどころも多し。
正直、まだこの後どっちに向かっていくかもわからない浮つき感も否めないけれど、それも逆に楽しみで今のうちから目ェ付けとく。

THE WONDER YEARS/「The Hum Goes Forever」:62p

THE WONDER YEARS/「The Hum Goes Forever」

THE WONDER YEARS/「The Hum Goes Forever」

ハッチャケファストメロパンクの初期をスタートにしながらも、次第に大人としての成長とパンクバンドとしての成熟、ロックバンドとしての覚醒、メジャーシーンへの洗練と実力の研鑽を進めてきた彼ら。

そろそろベテラン中堅域というポジションを固めてきてのこれで数えて7枚目というフルレンスだが、なんというか、そんな出自に対して「こんなバンドだったっけか?」と思わされていたこのところの数枚から双方程よい落としドコロへと着地しての、シャレオツジャケ通りのある意味「無難」な、しかしさして面白みのない出来の一枚になっている。

なのでこれどう評価すっかなー、という気にもなるんだが、でも相変わらずアルバム内に数曲のキラーチューンしかも歌心あるヴォーカル付きをしっかり仕掛けられる力量は健在で、M2“Wyatt’s Song”やM9“Low Tide”などの外さなさを置いていけるこの安定の心強さはやはりこのバンドならでは。

とはいえこっから厳しい本音吐くけど、なんていうか紆余曲折の結果えらく普通のロックになっちゃった挙げ句に、インパクトも随分と落ちたなとしか思えなくて、そのせいかアップテンポ曲以外(アコやらドゥーム曲やら)のどうでも良さを前に「はいはい」と飛ばしたくなる魅力の欠如さって、ぶっちゃけどうなん?と。

端正さが増してつまんなくなる、とそれを正解というのか何というのか果ていかに、少しばかり結論は保留としようか。

ANTHRAX/「XL」:77p

ANTHRAX/「XL」

ANTHRAX/「XL」

最後は、買い逃してたノスタルジック・アイテム片付けとく。

スラッシュ四天王の一角、だがヤツは最弱の面汚しとか言ってんじゃねーぞ56すぞANTHRAX、結成40周年記念のストリーミングライブ盤。

ということはリアルライブではないので、そこら辺の熱気の無さは若干の減点対象に含まれかねないが、とはいえCD二枚組+映像もの。
収録にして計2時間以上、25曲と聴いただけで吐き気しか覚えないマシマシのクソボリュームだ。

しかもそこにジョーイ・ベラドナ時代(ほとんど初期)だけの名曲郡をセットリストに山ほど盛り込んでは彼自身に歌わせるという、何ともメモリアルなオールドファン泣かせの企画ライブ音源ときた。
いやARMORED SAINTのヴォーカリストは全く関係ありません。

そんな贅沢ライブ・アルバムなので、やれスタートからこんなどうでもいい曲で幕開けすんのかよとか、やれ初期曲以外がクソ過ぎて心底どうでもいいなとか、やれ随分とモッサリしたなとか、やれベラドナこれで歌えてるって言うの逆に凄くねーかとか、あとは“Bring The Noise”に劣化チャックDいる?とか、DISCHARGEのカヴァーってこれ必要あった?とか、カヴァーで人の曲幾つもも盛り込んでんのにジョン・ブッシュ時代からは意地でもやんねーのかよとか、そういう大概のこともペイ出来る(多分)充実ぶりで、ホワイトノイズのサウンドはやっぱり1曲もありませんでした。

実際、還暦間近とはいえ元祖ストリートのスラッシュメタルにして今なお現役一線、だ。
円熟の技量で“A.I.R.”“Among The Living”(個人的にはこれ冒頭に欲しかった)だN.F.L.だ、果ては“Medusa”“Metal Thrashing Mad”と「みんな好きなはずだけどでも流石にこれやれと言いづらい初期レア曲」をやられれば、そりゃあ胸アツにならないわけがない。
いや“Only”なんて曲はありませんでした。

と、そんなただのオルタナには興味ありませんこの中にスラッシュ感染、アマングゆーふぉりゃな人がいたら来なさい以上な内容ながら、でもちょろっとだけ齧り見してみた映像がまたオヤジどもみんなクソほど格好良くて絵になりまくるんだから(悲報:ベラドナさん除く)、ったく、そこがアンスラよねえー…と改めて惚れ惚れしきり。

というわけで、この年末年始休みはこのBlu-rayの映像でゆっーくり酒飲みながら楽しむとしますね。

以上、今週の4枚でした。

いつもながら他にも幾つか聴いたけれど、なんだかんだで引っかかったのはここら辺かなって。
年末の駆け込みが多いのはご愛嬌ってことで。

さあて、ドタバタだけど今年も残り2週間、こなしていきますか。
ではまた来週。

AUTOPSY, INTECHNICOLOUR, THE WONDER YEARS, ANTHRAX,

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