KRISIUN/「Mortem Solis」:76p
街中を行き交う幸せそうなカップルらを横目にクリスマスもお一人様仕様でWORKにCARNAGEされてる平均的なエリート社畜の皆様いかがお過ごしの事と存じますが、そんなリア充どもにはKRISIUNでもくらわせてやればいんじゃないかな。
90年代からデスメタル道一徹三十余年、
今やSEPULTURAという名を持たないブラジルの最重要エクストリームメタル・バンドといったら、彼ら南米の狂犬三兄弟によるこの陣営揺るがぬベテラン・デストリオのこと。
なにせ本作で既にフルレンス12枚目を数えるという。
海外メタルメディアで狂犬次男モイセス・コレスネ(Gt)がインタビューアに「偽物ばかりしかない今のシーンにこのリアル・デスメタルを食らわせてやる」とイキり応えたら、そのおしゃべりMANOWARで80年代に聞いたやつ大草原と書かれてて笑った本作。
おどろおどろしさより直情おこぷんたれな作風を重視し、音像も重厚かつクリアにしつつも昨今以上のストレートな火力重視志向にそれを求めてる。
なにせ冒頭から怒れるM1“Sworn Enemies”に、SLAYERリフとモビエンメソなブルタリティでそれを迎えるM2“Serpent Messiah”と、いきなりなキレッキレで物騒な暴虐チューン連続。
さらにはブラスト着火の高殺傷曲M5“Tomb of the Nameless”などなど、今回も獣声轟かす怒涛の剛腕直球ブラジリアン・オールドスクールスは健在。どころか、このところの数枚を越えて勢い増さんアグレッションで、ギュルギュルギターリフを灼熱に尖らせ疾走しては、それでいてスピード一辺倒にならないグルーヴィさを随所に仕掛けて巻き込んでいくのがこの三匹のワンちゃん流。
そうそう、このファストな凶暴性に合わさる、いかついグルーヴとその実のキャッチーさこそがKRISIUNの醍醐味なんだワン。
とはいえ「またこれ」既視感ばかりなのも事実で、しかもその手法も初期から「The Great Execution」(2012年)までにとっくに完成されたものの再ウン回目利用であり、以降細部の差異はあれど大枠はほぼ変わらず。
なのでこれも「んじゃ前と何がどう違うんだ」と問われても、そりゃ全然曲名が違うだろと答えるしかないんだけど(あとはアレだよ途中にブラジル民族音楽っぽいのあるし)、あでもどっかで目にした海外評がそういやいいこと言ってた。
「最早デスメタルのAC/DCだ、だがAC/DCを嫌いなメタラーは世にいない」
じゃ、それでいいよもう。(適当
DESTRÖYER 666/「Never Surrender」:86p
この師走になんちゅう胸アツメタル、あげとく。
ブラッケンドスラッシュ、という、ブラックなのかスラッシュなのかドッケンなのかという「ジャンルとは一体」と考えさせるこの界隈でも、90年代から続いとる古豪。
何でもCORPSE MOLESTATION、BESTIAL WARLUSTなどで活動していたK.K.ウォースラット(Gt/Vo)を中心に、オーストラリアかの地にて結成。
しかしその後拠点をオランダに移して現在は欧州中心に活動しているらしい、その名もデストロイヤー666とまるで梅澤春人DQN漫画のこれが「ファックボール」だ~!!並みに知的なネーミングの彼らによる、これはスタジオフルレンス6枚目、とのこと。
ブラッケンドスラッシュといってもそこまでブラックメタル色が強いわけではなく、確かにブラストビートやトレモロリフは見られどもずっとスラッシュメタル、も少し言えば正統派ヘヴィメタルをベースにした昔でいうスピードメタルそうそう1st期ANTHRAXみたいという印象で、そっかNWOBHMつまりはVENOMやBATHORY系譜なのかと思えば割と納得出来る。(多分)
リフを筆頭にそのギターサウンドにはJUDAS PRIESTあるいはMEGADETHからの影響を強くうかがえるし、一方でそこまでダーティでもない男っぽい咆哮ヴォーカルに悲哀感を帯びたメロディックさは、何だただの中期KREATORか。
しかも中盤からはバカみたいな勢いで80年代ジャアマンメタル熱高まっていき、何が嫌いかより何が好きかで自分を語れとばかりに海賊王がランニングでワイルドするM4“Pitch Black Night”から始まって、ACCEPTしくよろな男気哀愁にすら通じてしまって最早おーおーするしかないM5“Mirror’s Edge”、そして勇猛に疾駆しながらペインキるM6“Grave Raiders”へと縦続くという、何なんこのいいぞもっとやれ。
反面終盤はちとばかりテンション落ちがちだけど、でもその慟哭がヴァイキングメタルというより、でいつウド・ダークシュナイダー歌い出すの?というラストもそんな悪くない。
なので、この年末に熱いヘヴィメタルが聴きたいという向きにはこれ、推しておく。
BRUTUS/「Unison Life」:77p
ベルギー発の女性Voポストハードコア・トリオによる2ndだか3rdだか。
個人的には本作からのお付き合い。
ポストハードコアというよりは、ポストロックはたまたポストメタル的という、アトモスフィア感覚強めな彼ら。
て要するにぶっちゃけそれ、オルタナにブラックゲイズと90年代~ゼロ年代初期ニュースクール・ハードコアとデザートロックのスパイス少々を混ぜこんだようなトーンだろって話で、REFUSEDなんかが引き合いに出されているのもなんとなく頷ける。
アンビエントな冒頭からして、あ初期Bjorkやんの?とハイパーなバラード展開に油断していたらいきなりハードコアパンク所縁のドス黒みがあっつー間に広がっていく情念どしゃぶり暴風模様。
しかも端正なUKロックの繊細さと美麗さをメランコリックにまとうM2“Victoria”を経てみれば、FORDIRELIFESAKEがドゥーミーかつウェスタンにジェーンドゥするM5“Dust”よ(何が何やら)。
なかでも儚げな幽美さの他方で呪われて内蔵吐き出すような叫びの両刀遣いに魂ごっそりもってかれそうな女性ヴォーカルのステファニー・マンネーツさん(であってる?)がなかなかに逸材なんだけど、しかもそこそこに美人さんで、えっちょっと待ってこのひとドラマー兼任なの?ブラストビート炸裂させながら歌ってんの?
と最初はインパクトもそこそこなのだが、次第にそのカードに見慣れてくる後半は少々見え据えてくるんだけど、でもちょっとばかり面白い存在っぽいので、チェックしておくとしよう。
CAPSULE/「メトロパルス」:72p
え、まだやってたんすか?といきなりこの年末に出されてこんなクソスラッシャーも軽めに驚いた、もはや活動の有無そのものが中田ヤスタカの気分次第な気しかしないというまるで冨樫先生の掲載形態みたいなCAPSULE、7年ぶりのニューアルバム。
「原点回帰の、ニュー・レトロなシンセ・ウェーブ×シティ・ポップ」というテーマらしく、こしじまとしこの歌モノも多めな構成。
つってもぼかあ正直あんまこっちゃ明るくないクソスラュツャーなので余り深くは追わないけれど、でもドラムビートとともにミラーボールの人工的な照明差仕込むM1“ひかりのディスコ”や、あるいはM5“バーチャル・フリーダム”のようなシティポップを綺羅びやかに塗り直したライティングまばゆいゴージャス仕立ての250万円以上は請求されそうな高ヒットポテンシャル曲もあれど、しかしどちらかといえばPERFUMEの今年のアルバム「PLASMA」で派手にフューチュアしてたゴリポンウェーイ“Polygon Wave”なアレよりぐっと柔和かつ控えめな大人仕様なのが寧ろ特徴で、そこら辺はかなり意識的に調整してるのだろう。
かたやM2“ギヴ・ミー・ア・ライド”などの明朗80年代アイドルテクノポップチューンや、バブル湘南色がわざとらしいM7“シーサイド・ドリームス”みたいな、ドノスタルジックなレトロムーディも彩りよく並んでいて、ぼくのようなクソシラッスャーでも十分楽しめる。
(あえてのカタカナによるトラック名記載も、その昭和テイストの一環か)
一方、M6“ワンダーランド”などでは寧ろモダンテイストに戻ってサックスをアレンジに効かせてジャジーさを強めることで作品タイトル「メトロパルス」(都会の脈動、的な意?)に共振するかのアダルティなアーバンさを醸しており、ぼくらみたいな頭がメタルバルスされてしまったクソスシッラャーにもそのシャレオツさが伝われるようつとめてくれている。
しかも全10曲に40分強と程よいコンパクトさなので、サクッと聴いてからおばあちゃんを教会に迎えにいくゆとりもある作りになっています、ただし教会が焼かれていなければ。(ブラックメタルの海外レビュー風)
しかし(今更ながらだけど)如何せんそれを受け止めるべきヴォーカルが一辺倒でキャラ不足なのか才力不足なのか、中田センセの手腕を持ってしてもそうヤスヤスとは効用を果たしきれていないご様子。
それもあってか、ちょっとあれこれイジってるギミックもどこか手応えが低い気もするんだけど、いやだからこんなお前みたいな門外漢のクシソラッヤューは黙ってヘビメタでも聴いてろってことですよねハイそうします(AUTOPSYのこないだの新作再生ポチりつつ)。
以上、クリスマスイブに送る今週の4枚でした。
今週はどれも良盤なアタリ週。
でも来週、年度内に出来るのかやれるのか聴けるのか、俺よ俺よ俺様よ。
ではまた来週。
・ネタが古い、おっさん臭い、と言われても古いおっさんが書いているので、仕様です。
・ふざけたこと書きやがってと言われても、ふざけて書いているのでお許しください。
・ネット上のものがすべて本当だと捉えがちなおじいちゃんや、ネット上のものにはケチつけても許されると思いがちな思春期のおこさまのご意見は全てスルーします。
・要するに、寛大な大人のご対応をよろしくお願いします。な?