ぐががぐげげぼばばぎがぎがぎぎぐぎコオヒイひいてレコオド流して、日曜朝の休日恒例ヴァイナルカフェ。
ぐぐごごごごぎがぎぎぎぎぎ…
FOREIGNER/「Inside Information」(1988)
30年以上も前の話だが、このアルバムリリース当時、よくFMラジオからシングルカット曲“Say You Will”が流れていたものだ。
そりゃビルボードのチャートアクションとしてはバラード“I Don’t Want to Live Without You”のほうが上だったし、それを言うなら前作「Agent Provocateur」までの彼らのほうが売れに売れまくっていた、と言えるのだろう。
何せこのアルバムは彼らのキャリア上において、ルー・グラムというバンドの看板声の最後となるとともに、ヒット時代最後の一枚となってしまった、いわば斜陽の作品だ。
でもここは米本国じゃないし、何よりもぼくがFOREIGNERを聴いたのはこのアルバムからだったから、そんなことは全く知らなかった。
純粋に、ラジオでよく流れていたこのキャッチーでインパクトのある歌モノサウンドが、ああいい曲だなって思って気に入っていた。
そこで早速、近所のレンタル屋にかけこんではCDを借りてテープにダビングし、持っていたウォークマンでその“Say You Will”ばかりを繰り返し、聴いていた。
1988年。
ぼくが18歳になったばかりのことだった。
全くもっての私事なんだが、今日、ウチの愚息が大人になった。
いや、ひとが大人になるとはどういうことかなんて、色々な見方があるだろう。
だけど、ここ日本じゃ今年2022年の4月から成年年齢が法的に変更されて引き下げられ、その結果どうやら18歳からが成年とされることになったようで、そしてうちの息子は今日、18歳の誕生日を迎えたというわけだ。
とは言ったって、たかが18の小僧だ。
所詮は高校生だ。
大学受験だって、これからだ。
人生だって、これからだ。
色んな人に出会い、色んな感動に出会い、色んな音楽に出会う。それだって、これからだ。
高校3年生。
青春、思春期、真っ只中。
あのとき、大人になるということは正直よくわからなかったけれど、でもいずれか間もなく来るであろう自立を前に、人生の帰路を少しばかり先に眺めながら、しかししばらくの間…といっても後からすればごく短い時間だったのだけど、でもそのくらいの僅か一時を、クラスの友人達とくだらない日常を笑い戯れて過ごす。
そんな18歳という大人の手前に、そういえばぼくはこのアルバムを、FMラジオから流れる“Say You Will”を、レンタル屋で借りたこの曲を、聴いたんだっけ。
ふとそのことを思い出しながら30年以上も経った今になって聴き直す、“Say You Will“。
嗚呼、そうか。
人生はやっぱりままならなくって、この曲のきらめきを最後に、歌い手ルー・グラムを失った彼らはすっかり輝きと勢いを失ってしまって、そしてその後も結局、このバンドがこの頃のようなヒットバンドに返り咲くことなんてことは二度となくって。
そして、いつの間にやらあの日に聴いた“Say You Will”のぼくの歳に、ぼくの子供は育っていて、そしていつの間にかぼくはいっぱしの大人に、親父に、なっていた。
と、そんな思いを巡らせながら、先程ひいたコーヒーを飲み干す頃には、その“Say You Will”はおろか、軽快なリズムのラスト曲もとっくに流れ終わってしまっていた。
歳のせいだろうか、ここ数日腰痛に悩まされている重いケツを上げて、とっくに針が止まってしまっていたレコードをやっとジャケット内に仕舞いながら。
ぼくはふと、心の中でこう、つぶやいたのだ。
息子よ。
大人の入り口に、ようこそ。
きみの人生は、これからだ。
- アーティスト名:FOREIGNER
- 出身:US
- 作品名:「Inside Information」
- リリース:1988年
- ジャンル:産業ロック、AOR、HARD ROCK、
よって、そのほとんどが70~80年代の古いものばかり。
尤も音楽批評というかしこまったものよりは、大概がただの独り言程度のたわいない呟きなので、ゆるーく本気にせず(笑)読んでいただければ幸いです。