SEVENDUST / “Truth Killer” :85p
セブダスの新作が、何だかんだでやっぱり安全・安心・安定の良作を維持していて、今回も秀逸な件。
尤も基軸としては、これまで通りの路線にそう大きな変わりもなし。
例の90年代オルタナベースドなゼロ年代ラウドロックをちょいちょいモダナイズで仕立て直しつつ、とはいえ揺らがないその絶対的魅力の根源は、やはり剛直なヘヴィネスと柔和なメロディックさの双方絶妙バランス芸。
そしてその弾力確かな剛柔のしなやかさを先導する、ロン毛ドレッドおじさんラジョン・ウィザースプーン(Vo)のエモーショナルな歌唱という、いかにも彼ららしい情熱大陸メタルのド鉄板だ。
しかもそんなSEVENDUST印の看板商品が、今回既に14作目にもなるというここにきてもそこまで遜色を欠かすことなく、かつ令和仕様版にうまいことリメイク調理されて出されている。
なので「あー、これこれ。」と毎回同様頷きながらも、「あれ、これよくない?」と毎回同様唸らせながら、「あら、こうきたか!」と毎回同様浮足立つという算用だ。
まずのメロウEDMじみてて何インチか寝入りそうなオープナーM1は、あくまでイントロがわりのほんのご挨拶。
ちょいプログレッシヴにチャグチャグ混ざる今様メタル仕様ただしおっさん目線だがなが露骨なタイトルトラックM2“Truth Killer”からが、その本領幕開けだ。
おっと、このデジみチャグみが今回は新味的にちょい強めなんだが、でもそれは本質ではなく単なる味変要員なので軽めにさておこう。
続いて、重厚ビートをパッショネイトなサビの歌で受けるのがいかにもなM3“Won’t Stop the Bleeding”から、米産らしいおおらかな雄々しさをメロディックに高めるM4“Everything”へ。
これら前半でのキャッチーな流れもさることながら、しっとり哀メロにエレクトリックタッチが彩られたM7“Holy Water”あたりに彼ららしい旨味と歴戦ならではの脂が乗っていて、いつもならではなんだけど「だがそれがいい」。
いやはや、今更ながらもこういう黒みある熱情を帯びた情感豊かな歌モノ・オルタナメタルをやらせたら、このバンドは本当に強いもんだわ。
(反面、後半数曲のメロウ展開でダレみが顔をもたげるけど、でもそれはギリで許してあげる)
かたやアグレッシヴなメタルサイドとしては、重々しいリフが印象的なM5“No Revolution”(このギターソロの熱さよ!)に加えて、ここぞとばかりにラストを飾って走るファストチューンM12“Fence”で、ぐっと高ぶって終われる作りがニクいじゃないか。
よって全体の作風としては、制作側が腕奮ってのモダンテイストを絡めつつも、でも実のところはかなり手堅めで冒険ほどほどに彼ららしさを重視、どちらかといえば激性よりはメロディックに置きにいった作品、といったところ。
ここらへんのさじ加減は、今週取り扱いのMAMMOTH WVHでも仕事してて最近忙しめなプロデューサー、マイケル・“エルヴィス”・バスケットの手腕もありか。
で、結論を総じれば。
ぶっちゃけこの程度のスパイスで別段新鮮味がそこまであるでもないし、やってることにさほど変わりばえせず。
(無論そこは彼らも織り込み済み&それで正解だが)
順当っちゃ順当、堅調っちゃ堅調な作りのぶんだけ初期作陣含めた彼らの傑作屈指入りかと問われるとそんなこともなくって、まあ戦歴30年を前にした現役ベテランとしてはそこそこ頑張ってる感ある力作系でもあるのだけど、でもそんなあれこれ実情含んだって十分今でも格好いいUSメタルの良心だなってぼかあ思うがねコレ。

SEVENDUST / “Truth Killer”
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- アーティスト名:SEVENDUST
- 出身:US
- 作品名:「Truth Killer」
- リリース:2023年
- ジャンル:NU METAL, HEAVY METAL, LOUD ROCK, INDUSTRIAL, ALTERNATIVE METAL,US HARD ROCK,ALTERNATIVE ROCK,
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