【今週のチェック】TOM MORELLO,BIFFY CLYRO,EVERY TIME I DIE,PARADOX

今週のチェック
スポンサーリンク

何処で拾ったのか、風邪ひいてもうた。
喉痛い。咳が出る。体だるい。頭痛い。眠い。やる気が出ない。働く気が起きない。仕事したくない。毎日漫画読んで音楽聴いてお酒飲みながらかわいくておっぱい大きい女子といちゃいちゃして時々えろいことしてダラダラと生きていきたい。カレーが食べたい。

さあ、そんな今週も4枚まとめて、いっくわよーっ!

TOM MORELLO/「The Atlas Underground Fire」:78p

いわずもがな、RAGE AGAINST THE MACHINEAUDIOSLAVEのギタリスト、トムそだねーモレロによるソロ・アルバム。
ぶっちゃけろくに期待していなかったけれど、これがなかなかバラエティ豊かで楽しい。

「黒い鬼からが臭いの、色は鳥ー」と謎日本語を混ぜこみながら、ジャギジャギと鋭角に躍動するインダストリアルなオープング。
お!?っと姿勢を正せば、今度はAC/DC“Highway To Hell”を、エディ・ヴェダーとボス(ブルース・スプリングスティーン)に歌わせるという豪華っぷりときた。

かと思えばインディーロック・デュオPHANTOGRAMに柔和な幻想美を歌わせてみたり(M4“Driving To Texas”)、はたまたカントリーシンガー、クリス・ステイプルトンに大陸的な叙情美を歌わせてみたり…。

このように、予算かけてなかなか豪華な面子を呼び込んで作ったトム・モレロのソロ・アルバムだが、歌い手やゲストDJに合わせて音楽性の表情をたおやかにコロコロと変えており、多彩にして多才。
成程、彼が歌ありきシンガーありきヴォーカリストありきフロントマンありきのギタリストであることをさも伝えるかのようで、弾き倒しのイメージしかあまりないギタリストのソロ・アルバムという印象を、大きく一変させている。

なかでも突出して白眉なのは、かのBRING ME THE HORIZONが客演してマッシヴかつエキセントリックな跳躍力を示したM3“Let’s Get The Party Standard”
RAGE AGAINST THE MACHINEばりの熱量ミクスチャーを見せてはいるものの、ラディカルなザック・デ・ラ・ロチャとも違った、BMTHならではのフレッシュでスマートなメタリックさを放っていて、これが滅茶苦茶カッコいいので是非チェックしてもらいたい。

それとM11“Save Our Souls”で叫んでいるのって、REFUDEDデニス・リクセンなのな。
って人選!

BIFFY CLYRO/「The Myth of The Happily Ever After」:75p

Keraang!では、滅多に出ない満点だってさ。
何せ英ダウンロードフェスじゃ三日目の大トリをつとめてる(初日がKISS、二日目がメイデンだからね)のだから、向こうではメタラーにも受けがいいんだろう。

と、そんなお人気UKオルタナの星による、4年ぶりという新作。

オルタナティヴ・ロックといっても、UKロック的なソフトな端正さ、スタイリッシュで繊細なポップネスが特徴のこのバンドらしい、ドリーミンで柔和な作り。
透明感を備えた甘い幻惑メロディと、ハードロッキンな躍動感のしなやかさ、シューゲイザーやグランジなどに通じる濁流感をうまいこと練り合わせながら、程よいボリュームでまとめている。

この、ボリュームにせよ、カラーリングにせよ、剛柔の塩梅にせよ、過剰にならない良い意味での「程良さ」というのが、このバンドのポイントなのかもしれない。
つまりは何をやらせても、程良い。
イコール、ポピュラーミュージックとしての、加減が効いている。
ポストメタル的なスペイシーさ、プログレッシヴなドラマツルギーも、風呂敷の広げどころを押さえている。
こじらせていない。うまい。
しかもオシャレでポップときた。

いっやーさすがは英国の売れっ子さんだねえ、と嫌味を言いたくなりかけるが、秀才タイプのバンドらしい器用さと素養で色々とこなしてみせているので嫌味になりきれない。
ずるいなあ。

とくにアルバムではカラーリングをさあっと変えていくかの後半、クリアな清々しい荘厳さから色味を変えていくM9“Unknown Male 01”から、最後でこれなの?なエレクトロニカチューンM11“Slurpy Slurpy Sleep Sleep”が、聞きどころ。
ていうか、このラストのM11“Slurpy Slurpy Sleep Sleep”くらいの音圧あるハードネスやビート感がもっと全体的にあるとなー。
…と思うのはメタル村だからであって、そうしないから「程良さ」を備えた売れっこなんだろうなあ。
さぴっ、さぴっ、すぴっ、すぴっ。

EVERY TIME I DIE/「Radical」:80p

多展開カオティック・メタルコアバンドによる、9th。

ブルージーなコク。
そしてキッチェでヘンなメロディ。
ヘンな楽曲展開。
おどけてるんだかバカなんだか小頭いんだかよくわからない、ヘンな表情のヴォーカル。
そしてそれらを取り込んで、やたらチャキチャキした疾走感。
ETIDの醍醐味たるそれが、今回もやっぱり味わえる。

複雑に楽曲を入り組ませつつも、しかし根っこのロックンロールを駆動させることで勢いを緩ませない。
サザン・ロックに彼ららしいヘンちくりんメロをぽろぽろ各所に盛り込みながら、しかし全体としてはそこまでアクを強めることなく、小気味よくエネルギッシュさを損なわないハードコア。
しかもその腕前が、これまで以上にキレがいい。

なにせ、合間にM8“Thing With Feathers”みたいな、情感あるニューウェイヴィーなポストメタル曲まで挟む余力もチラ見せ。

以前は「変態」気取りたい系メタルコアと思っていたけれど、それもそろそろ堂に入ってきた。

PARADOX/「Heresy Ⅱ.(End Of A Legend)」:75p

「ヘラシー2」って!

と存在を知って思わず声を上げた、このアルバム。
ジャーマンスラッシュ三羽烏ならぬ、PROTECTORPYRACANDAと並ぶジャーマンスラッシュ3Pの一角、とは誰が呼んだか(俺だ)、あのPARADOX
その最高傑作と言ったら誰が何と言っても(俺だ)、かの名盤「Heresy」(1989年)しかないわけだが、なんとここにきてまさかの30年以上ぶりの続編とは驚いた。

とはいえ、「続編に傑作なし」が世の常たるもの。
そんな「期待しても何一ついいことがない」という定説に半ば恐恐と怯えながら向かったものの、そりゃオリジナルを超えることはないまでも、しかしこれもこれで決して悪い出来じゃない。

なんといっても、変わってない。
世界観も、サウンドも、方向性も、色調も、ごくごく自然なまんまに、変わってなくてあの「ヘラシー」だ。

濃厚にダークな色彩。
独特だが、美しいメロディ。
そして、あくまでこだわるオールドスタイル。
しかし、でいてそれはメロディックな、スラッシュメタルというよりはかつてスピードメタルと呼んでいたような、そんなパワーメタル寄りのスラッシュメタル(HEATHENとかMETAL CHURCHみたいなね)。
そう、これこれ。
その本軸が、今も変わっていない。

どうやらギタリストに若手の凄腕が入っているようで(さっき知った)、リフの切れ味がサビつかず殺傷力を高めているのもそのせいか。
しかもリフやソロで、いちいち引っ掛けてくるフックといい、こりゃなかなかの逸材だ。

とはいえ正直、楽曲のインパクトは「ヘラシー異端」程じゃない。
だからあのオリジナル並みのオープナーのインパクトを期待すると、スカッと肩透かしするので、そこは注意が必要だ。
それもあって評点はそんな高くはしなかったけれど、まあでも、よくてこんなもんでしょ実際んとこ。
だって、言うたってPARADOXだよ?B級スラッシュだよ?
あの「ヘラシー異端」だって、今からすりゃ結構に思い出補正されてっからな。

よって往年を知らない若いリスナーには全くもってお勧めしないが、でも冒頭に対して「ジャーマンスラッシュ3Pってなんだよwwww」「ピラカンダはさすがに最弱の面汚しすぎるだろwwww」などとツッコめるような昭和スラッシュキッズ(おっさん)達には、このアルバムの存在をちょっと小声でお伝えしときたい。

以上、今週の4枚でした。

思い入れのあるPARADOXは別にレビューする予定。
他は…もう書きたいこと書いたからいっか。

ではまた来週。

タイトルとURLをコピーしました