DIETH/ “To Hell And Back” :83p

DIETH/ “To Hell And Back”
2021年にご自慢の股間の逆刃刀で山口メンバったことでMEGADETHからアクタージュされてしまぶ諸事情で解雇されたデイヴィッド・エレフソンさん(Ba)。
その後、幾つかのユニットに関わりながら結成&リリースに至ったのが、このDIETH(ダイエス)の1stだ。
なお彼以外のメンツは、元ENTOMBED A.D.のギルエルメ・ミランダ(Gt/Vo)、元DECAPITATEDのミカル・リセイコ(Dr)。
音楽性としてはスラッシュ、デスメタルをメインとしたモダンめただしおっさん目線だがなのエクストリーム・メタルという、エレフソンにしちゃ割と攻め攻めのスタイル(ただしおっさん目線だがな)。
ギターとヴォーカルのせいか、ENTOMBED A.D.っぽい突進感や焼け煤けたドゥーミーなダークトーンもあるが、しかしそれでもその片鱗にはMEGADETHの色味が散りばめられているのも、特徴的か。
エレフソン自身、そこらへんはかなり意識してのものだろう。
前情報なくそのプレイを聞いても彼の名やMEGADETHが出てはこないだろうけど、でも「これエレフソンの新バンド」と知って聞くと、なるほど、言われりゃ確かに彼のものだ彼らしいわと納得が出来る。
加えて、(個人的には)ゼロ年代以降本家ではあまり効果的に発揮されていたとは思えない彼のメロディックなセンスが、ここにきて出色。
冒頭とシメを美アコで飾る80年代NEW ORDER方式(それも同メロ)はどうでもいいとして、後期SEPULTURA×デスメタ展開の冒頭タイトルトラックM1“To Hell and Back”からなだれ込む、初期TESTAMENTばりのキャッチーなクランチチューンM2“Don’t Get Mad…Get Even!”、
さらに重圧スラッシュにCOCかDOWNみたいなサバスドゥームサイケを踊らせるM4“Heavy is the Crown”あたりに秀逸さが光っている。
何気にENTOMBED A.D.を支えていたギルエルメ・ミランダ(Gt/Vo)がきっと高いんであろうギャラぶんの仕事をしっかり器用にこなしていて、かつてのインテレクチュアルスラッシュ時代のMEGADETHを(自覚的に)彷彿させることもしばしばあり。
ちなみに、ACCEPTのバラードみたいなM6“Walk with Me Forever”では、エレフソン自身が珍しくヴォーカルを取って、渋めの歌を聴かせている。(まこんなもんか程度)
EVILE/ “The Unknows” :70p

EVILE/ “The Unknows”
悲報:イギリスのニューエイジ・レトロスラッシャーさん、ちょっと目を離したすきにブラックアルバムの劣化版に変わられてしまう。
英ヨークシャー出身、ゼロ年代から「ニュー・ウェイヴ・オブ・スラッシュ・メタル」の騎手を担ってきた立役者EVILE、メンバーチェンジを経てオル・ドレイクがヴォーカル兼ギタリストを努めて2作目となる6thで、「スピードよりもヘヴィネス」と30年くらい前にクソ腐るほど聞いてきた斬新な手法に目覚めてしまうSAD BUT TRUE。
いや悪くはないんだけど、でもその「いや悪くはないけど」ってまんまな感想のアルバムで、そりゃ元々METALLICAからの影響は強かっただろと言われれば「そうですね」なんだけどだからってこれか、といった印象というか。
しかもそれが突出のものかといえば「まそんなものじゃない?」程度な下位互換で、寧ろ逆に、如何にMETALLICAがあんなクソタルさをずっと続けてこれたか、その優れたコンポーズ力を改めて考えさせられるという何この逆転換発想。
とはいえ、ヘヴィネス貯めて貯めて貯め込んでからの、ようやくスラッシィなファスト炸裂M5“Sleepless Eyes”~M6“Out of Sight”では、80年代のOUTRAGEあたりを思わせる胸アツバトル展開もあり。(お約束)
結果、差し引きあれこれしながら後半で「そろそろもういいだろ」となりかけるあたりに、それでも本家みたいな80分超えのこじらせ真似るわけでもなく、50分切りでサクっと終わってくれるのだけは買っておくけど、でもだったらこれ2回リピって聞く暇あったら「72 Seasons」頑張って聞くわ。
BLACKBRAID/ “Blackblaid Ⅱ” :75p

BLACKBRAID/ “Blackblaid Ⅱ”
ウチとほぼ同期のお仲間だった90年代~ゼロ年代のパワーメタル系某レビューサイトを彷彿させるユニット名のこれは、ネイティブアメリカンSgah’gahsowah(読み方わからん。スガー・ガーソワー?)による、意識高い系知性派ブラックメタル・バンド。
前デビュー作「Blackblaid」が話題になり、それ以降米国シーンのネイティヴアメリカン・ブラックメタルの先導役となっていたが、その続編とも言えるのがこの本作だ。
去年出たIN FLAMES同窓会ハロプロみたいなジャケはさておきその音楽性といえば、上の通り米国産でありながら、事前の情報がなければ北欧産かと誰もが思ってしまいそうな、メロディックで抒情みのあるフォークメタル/ブラックメタルを中軸にしつつ、そこにネイティヴアメリカンならではの楽器や奏法を導入。
歌詞に現れる宗教や歴史的な世界観は勿論のこと、フルートやらアコースティックな手法の取り入れなども、それらを象徴しつつネイティヴアメリカンとしてのアイデンティティを示したアプローチときっとなっているのだろう、狼も何やら楽しげにあおーんあおーん叫んでるし(楽しくはねーだろ)。
加えてトレモロリフで鋭く責め立てながらもその悲しみを帯びたメロウな哀情が全体を覆っており、全体的にアーシーな荒涼美が広がっている。
その欧州メタルとさながらラストオブモヒカンな民族性の邂逅の与えるインパクトがそれRIOTが1995年にやったやつ新鮮だ。
なかでもその史情とトマホークのごときリフとブラストビートとが一斉に馬かけるM6“A Song of Death on Winds of Dawn”が圧巻。
(M8“Twilight Hymn of Ancient Blood”の途中からの初期METALLICA展開もかっけー!)
ただし、その統一感の一方でやってることがずっと同じなのでドゥーミーな長尺曲によってはタルさのあまりにこれもう早送りしてもいんじゃねーかとなるしかもその際にふと冷めて「だからってコレ別段新しくもなくね?」と気付いてしまうのが難だが、でも総じてエクストリームメタルとしてもよく出来ているかと。
なお、その冗長さの先のラストに、BATHORYのカヴァー(M10“A Fine Day to Die”)があったんだが、さっき海外評眺めるまで全く気が付きませんでした生きててすみません。
大山まき/ “Valkrie” :82P

大山まき/ “Valkrie”
YouTubeでのアコメタル、ALDIOUSのツアーゲストシンガーなどの活動で知られる、歌の爆撃機こと大山まきさん、4年ぶりの2ndフルレンス。
このソロワークでは、突貫パワーメタルをはじめとしたハードロック色の強いアッパーな勢いのある音楽性を披露しており、かれんなその美麗さとはうらはらの脳筋ダイナミックな歌唱によくマッチしている。
なにせANGRAみたいなイントロに続く力こそパワーな疾走剛力チューンM1“Valkyrie”で、いきなりのトップギア。
続くタイトな躍動感のなかにJポップ調のキャッチーさがアニソンノリでいい(そうか?)M2“Trigger”でも、早速の全開パワー炸裂わぃやあああっ!
その伸びやかな力強さを継いだまま、アルバムはサクサクとテンポよく、メタリックに、ポップに、時折たおやかに女性らしくと、程よいカラバリを楽曲毎に見せながら、進んでいく。
必ずしもキラーチューンに溢れているといったわけではないが、ラストまで疾走感が衰えず息切れもみせないのも見事だ。
なかでも溌剌とした晴れやかなポップさにボクっ子リリックがポジティヴに歌い放たれるM4“My Only Hero”なんて、なかなかいいじゃないか。
(M10“浮世ドライブ”も異色っぽく見えてサビのらしいポップさでいいアクセントだ)
なお、ALDIOUSのトキ(Gt)やジョージ紫(Key)がゲスト参加。
以上、1週空いてしまった、今週の4枚でした。
しかし暑いな!(知ってる)
え、花冷え。のメジャーデビューアルバム、もう出たんだっけ?
やべっ知らんかった、これから聞くわ。
ではまた。

DIETH, EVILE, 大山まき, BLACKBRAID,
・ネタが古い、おっさん臭い、と言われても古いおっさんが書いているので、仕様です。
・ふざけたこと書きやがってと言われても、ふざけて書いているのでお許しください。
・ネット上のものがすべて本当だと捉えがちなおじいちゃんや、ネット上のものにはケチつけても許されると思いがちな思春期のおこさまのご意見は全てスルーします。
・要するに、寛大な大人のご対応をよろしくお願いします。な?