夏休み、はっじまっるよー!
てことで今日から嬉し恥ずかし夏休み、怒涛の十連休という大威震十連制覇な黒崎さんによる8月最初の今週の取り扱い品まとめ。
詳しい解説は、各レビューページをご覧ください。
今週は、まあ普通ですね。
とりあえず、プログレ枠2枚がめっちゃええです。
他2枚は、うーん…いらねーかな。(笑)
それにもう一杯語り尽くしちゃったから、追記することもあんまりない。
とか言いながらも、何やかんやでウダウダとぶっこいてるんですけどね!
SUBTERRANEAN MASQUERADE/「Mountain Fever」:80p
【今週のオススメ】
民族音楽。
ハードロック。
プログレメタル。
デスメタル/ブラックメタル。
エクスペリメンタル。
サイケデリック。
ラテン音楽。
ゴスペル。
それらを現代欧米ロックの文脈とは違う環境下や世界観で飲み込んで、作られた独自のバンドサウンド。 それを便宜上、「プログレ」と呼んでみたに過ぎない。 そうとすら思えてくる。
初めて知ったバンドなんだけど、これがいい。
イスラエル出身。
ご当地中東テイストをふんだんに散りばめた暗黒メタリック・エスノプログレ・バンド、実は結成24年のベテランによる多分5枚目のフルレンス。
このサイケデリカを際立たす異国情緒ならではな独特のエスニックスパイスもさることながら、生々しいロックの熱気が、いい。
そんな現代欧米ロックの文脈とは違う環境下や世界観で作られた独自のバンドサウンドが、なんというか、後進国の熱気でもってゴリっと力強くラフに押し出されているのが、ぼくは好きだ。
そう思って、これを聴いてから少しばかりバックカタログを掘り漁っているんだけど、これが楽しい。実に味わいが、ある。(↓とかね)
なのでこのアルバムで興味を抱いた方には、是非ともオススメしたい。
なんて、ニワカの分際でしたり顔をするのも、まったくもって申し訳ないんだが。
ちなみにORPHANED LANDのメンバーも流動的に…なのか一時的なのかよくわからないんだけど加わっていたりもするらしいです。
情報などあったら、それもTwitterで教えて下さい。
DREAM THEATER/Lost Not Forgotten Archives : A Dramatic Tour Of Events-Select Board Mixes:73p
「A Dramatic Turn Of Events」ツアーからの音源で、そのアルバム収録曲入れてねーのかよ(いらないけど)とか、
しかも「Lost Not Forgotten Archives」ってタイトルしといて”Lost Not Forgotten“入れてねーのかよ(いらないけど)とか、
でもドラムソロは入れんのかよ(いらないけど)とか、
そういうツッコミも浮かぶところだけど、これほどの壮大なライブサウンドを出してくれたお礼を前にやめておくとしよう。(してるけど)
今週の、言うてみれば裏オススメ。
やー、まだ二回目ですけど、すごくええっすね、この企画。
しかもDREAM THEATERしか出来ない上に、最近そういうドリならではの孤高さが陰ってきたところに、いい時期のいい企画だと思う。
だってぶっちゃけこないだ新作リリースのニュース流れてたけど、前作が前作だっただけに、ふーん、って感じだったもんなあ。
だったら、ぼく的にはこっちのが全然楽しみだわ。(なんという後ろ向き発言!)
とそんな二作目、「月刊どりむし」の創刊2号目だけど、まあ創刊号のスペシャルな目玉企画に比べるのも可哀想だから置くとしても、これはこれで十分に楽しめる。
というか、こういう楽しみ自体が本来のこの企画なんだな、と思わされる。
本作を聴くと判るのだけれど、なんというか、全力のオフィシャル・ライブアルバム!っていうものとは違う、さらっと「こんなライブテイク集も実はあるんですけど…」みたいなポジショニング。
でもそれこそがブートレグな企画モノっぽくて、いい。
そんな、「こういうものもあるのか」を味わう。
それがこの企画のおそらくは本質なんだろう。
とはいえですよ、
そこはやっぱりドリムシだ。
聴き応えが違う。
まず何と言っても、幕開けが”Under A Glass Moon“ってのが、たまらない。
そりゃあもう、嫌がおうにも、高められる。アゲられる。
あの神盤「Image And Word」で与えられていた「”Metropolice“を受け継いでクライマックスにつなげる橋」とは違う、オープナーの役目を演じているのだけれど、それを立派にこなしている。
(勿論それも、ライブテイクならではの荒々しい躍動感あってのものだ)
ここら辺の楽曲味変が、ライブアルバムの面白いところだ。
尤もライブアルバムとして見ると、ここからの前半数曲が(曲はいんだけど)ちょいとダレるというかテンションが落ちるのだけど、しかし。
中盤のブレラン展開”The Great Dabate“で開かれる後半こそが、この作品の醍醐味だ。
しかもそこから怒涛の”Another Day“を経て、メトポリ2からの感動的かつ息を飲むような”Though My Words“へ。
このエモーションの高まりたるや。
(この導入の中音域ラブリエがたまらん)
そして、必聴のクライマックスにして後期ドリのド名曲”The Count of Tuscany”…。
ぐはあ。
参った。
降参だ。
なんやかんやで、ドリムシだ。
そんなわけで2時間越えのフルボリュームなのでちょっと真っ向向かうのに構えと余裕が必要だけど、でも盆休みの時間の空いた夜の晩酌の肴にはうってつけだと思います。
是非に。
PROUD/「Second Act」:78p
ぱっと聴いた感じ、なんと。 普通の真っ当な北欧メロハーをやっているではないか。
NWOBHMに触発された北欧様式美、というお決まりの初期北欧メタルのアレじゃない。
だから疾走曲もなければ、暗くてクラシカルなソレもない。 あれえ、こんなバンドだったっけ。
…ま、このアルバムのことはだな、正直、もう別にいいんだよ。
ぶっちゃけ次のMORDRED同様、この今に新作を出したこと自体が凄い、そこを味わおうよっていうだけのものだ。
いや、MORDREDとは違ってこっちに関しては別に悪いとは言わないけれどさ、でも、まあ、そこはな…。
大人だろ、判ろうぜ。察そうぜ。な?
で。
実際にちゃんと聴いたことがないPROUDを、つまりは36年前の1984年に出された「あの幻のPROUD」を、この時代にちゃんと聴いてみた。
というわけでここではその前1stアルバム、朽木…じゃねえや「情炎の白夜」こと「Fire Breaks The Dawn」の感想を。
ええと。
取り敢えず、もっかい言うけど、
やっぱり昔と全然違ぇー!
そして、結論。
最高。
たまらん。
実際にちゃんと聴いてみると、「あのPROUD」は、やっぱり「あの時代」の北欧メタルの王道を、がっつりとやっていた。
基軸はNWOBHM直系のピュア&ストレートなリアル・ヘヴィメタル。
しかしながらも(今ではないあの時代の)そこに映える北欧らしいマイナーなメロディや、ダークトーンの様式美。
そしてギターはクラシカルながらも、要所で泣きを発する。
とはいえ、マニアックなB級テイストが濃厚だ。
低予算な音像と、アクのある哀愁。
そして「だがそこがいい」という、あの時代の北欧B級メタルらしい、旨味。
このニュアンスを現代に伝えるのは、ちょっと理解が難しかろう。
時代の空気を知らないと、味わいを解説できない。そういうあの時代らしい、北欧メタルだ。
MORDRED/「The Dark Parade」:68p
躍動するビートを飾る、へろへろと妙に揺れるだけで別にフックを感じないメロ。
不安定にふらつく、奇妙なだけの酔っ払いみたいなヴォーカル。
途中途中に入る「これって必要なのか?」といった感じの、取ってつけたスクラッチ。
へんてこなのは判るけれど、それがどうしたというギターソロ。
とりとめのない曲調に、そう面白くない楽曲群…。
見よ、この「微妙さ」を。
なんという、圧倒的な「微妙さ」か。
どうだ、これがMORDREDだ。
あなたが今噛み締めている、その不思議な感覚。
そう、それだ。 あなたの胸を今支配しているであろう、その「うーん…」こそが、「MORDREDの微妙さ」なのだ。
MORDREDとは何だったのか。
そんなことをまさか2020年に、もう一度問われるとはゆめゆめ思わなんだ。
然るに、MORDREDってのは、「微妙」だ。
確かに元祖ミクスチャーではあったが、オルタナティヴに対するスラッシュメタルの答えではあったが、でも「微妙」な存在。
そんな斬新ではあったがクールだったかと言われると「うーん…」と眉をしかめて腕組みして、黙ってしまう。
「そういうんでもねーんだよなぁ」と、苦笑いすらしてしまう。
それこそが、MORDREDだ。
その何とも言えない「微妙」さが、まさか今もう一度見られるとは。
…てね。
もう、いいよ。
そういう連中なんだよ。
正直、新作アルバムは大したことないっす。
評点は、思い出スパイスを10点くらい加算してますね。
でも、それがMORDREDなんだから、しょうがない。
だって元々そういうやつらなんだから。
デフォルトなんだから。
ケチをつけるのがむしろお門違いだ。
そんな「微妙」な存在の、ミクスチャーの先駆者。それがMORDREDだ。
以上、今週の4枚でした。
うーん、やっぱ復興枠はイマイチ冴えないっすねー。
しょうがねえだろ、おっさんなんだから。
おっさんのための、おっさんの復刻なんだから。
そういうもんだろ、おっさんなんだから。
(てか今週はみんなおっさんばっかじゃねーか、と今はたと気付いたんだが、可哀想だから黙ってそっとしておいてあげようぜ…)
そんなわけで来週は、もちっと若々しいのいきます。
CHUNK!NO,CAPTAIN CHUNK!の新作(←これが結構イイ!)やHACKTIVISTの新作(←これがハチャメチャにイイ!)などを扱う予定です。
ではまた来週。