【今週のチェック】MANTAR,ITHACA,STICK TO YOUR GUNS,RICO NASTY

【今週のチェック】MANTAR,ITHACA,STICK TO YOUR GUNS,RICO NASTY 今週のチェック
【今週のチェック】MANTAR,ITHACA,STICK TO YOUR GUNS,RICO NASTY
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ここの更新だけだと、まるで古いレコードだけを引っこ抜いては後ろ向きに聴いて生きているように見えんだろうけど、でも単にレビューを書きたいと思わされることが別段ないだけで、実は普通にほとんど毎日新譜を漁っている日々。

なので、たまにはいい加減、やっておきますね今週の4枚。

MANTAR/「Pain is Forever And This is The End」:73p

MANTAR/「Pain is Forever And This is The End」

MANTAR/「Pain is Forever And This is The End」

メタブレもこういうバンドを迎えるようになったんだねえと感慨も浮かぶ、ドイツのベースレス・デュオによるレーベル移籍4thフルレンス。

でこいつら、このアルバムの前に契約消化なんだろうけど2020年にカヴァーソング・アルバムを作ってる。
しかもそこでカヴァーしているのがそれこそ、やれJESUS LIZARDだのSONIC YOUTHだの、L7だのMUDHONEYだのと、数周回って逆に何狙ってんのかと疑いぶりたくなるほど取ってつけたかのオルタナ高偏差値なグランジ意識高い系。

そんな見て見てぼくカレッジ正史の優等生なんです連中だから、そりゃもう何やるかはおよそ察しがつく。
要するにあれだ、90年代後期~ゼロ年代のENTOMBEDだ、しかもちょいくすぶってたあたりの。

凶悪粗野なヘヴィネスにはスラッジからデスロール、ブラックメタルまでを混ぜ込みながらも、ガラージィな暴力性を煙あげてみせている。
そこは、なかなか悪くない。
まがまがしく黒く煤けた、鋼色のロックンロール。そんな魅力が確かに、ある。

でもさ、そりゃ絶対に喉にひっかかるわけだよ、
その黒みにこめられた、おサブカルおグランヅなこジャレっぷりが小骨みたいに。

特にぼくらメタル村の90年代北国育ちには、そこに警戒心を刺激される。
つい穿って、斜に構えるよう身に教え鍛えこまれている。
ドントトラストグランジのオルタナPTSDにまみれたあの日を、誰よりもリアルでよく知っている。

そしてこのサウンドは、そこを最大おしゃれモードでドンピシャに狙ってくる。
その無邪気サブカルヅラに、いやそれらが格好良いのは太古からよく知っている上で、そう簡単に素直にはうなづけない。
だって、令和の今に先のカヴァー曲をドヤ顔で選ぶセンスだぞ。警戒音しか鳴らん。

と本作は、このように世の中を天邪鬼に穿って見て生きるしか出来ないほどすさんだ偏屈こじらせオヤジ以外には、ちょっとだけいいかも、と勧めておく。

ITHACA/「They Fear Us」:74p

ITHACA/「They Fear Us」

ITHACA/「They Fear Us」

いたか?
いねーか?
それとも、いさか?
幸太郎なのか?

新進気鋭のUKメタルコア…と言うと十把一絡げにすんなやと何処か知らんとこから怒られそうな、英国出身のフィメイル・ヴォーカル・ハードコア、2nd。
珍しく「Kerrang!」がこないだ満点推しをしていて、へー、と聴いてみた。

バイセクシャルの女性フロントマンに多民族的なバンド構成をはじめ、マイノリティが抱える多様性ハードコア表現ってのも今っぽいっちゃーそうなんだろうけど、だからといってそれが新しいか、これ?

ゴリゴリの重厚なメタリックリフを重ねていく漆黒djent展開、かと思えばそのエモーショナルさにゴシックぽさや、シューゲイザーな空間的耽美のきらめき…。
といちいち工夫を端正に塗り上げているのはいいのだが、しかし音楽的にはどれも想定内のレベルっつーか、これで多様性だってドヤられてもなあ。

勿論出来自体はそこそこ高いし、楽曲各々に光るところもある。
例えばTHE CRANBERRIESみたいな哀感の歌メロを備えながらも鋭角なメタリックさでダイナミックに進む#2“The Future Says Thank You”とか、かなりいい線いってる。

けど、総じてみればそこに激烈な目新しさで突き抜けるかのインパクトが宿っているか、と問われるとさほど感じなかったですね、じじいには。

STICK TO YOUR GUNS/「Spectre」:78p

STICK TO YOUR GUNS/「Spectre」

STICK TO YOUR GUNS/「Spectre」

5年ぶり、オレカン産メロディック・ハードコア、新作。

硬派で無骨、質実剛毅な、いかにも西海岸の男メロディック・ハードコア、という熱気が伝わる。
逆に言うと、それ以外が特に、ない。

でもこういうぶきっちょ「男の子」ハードコアは、滾るんだよねえ血が。

ドカドカとけたましく走るビートに、猛々しく吠えあげるヴォーカル。
そしてドライな哀愁をのせた、男くさい泣きメロ。

真っ向勝負、
ただストレートに、そこに拳をのせる。
パワーを込める。気骨をぶつける。信念をたたきつける。以上。

ああ、いいなあ、熱いなあ。熱さが走っている感、すごく伝わってくるなあ。
ったくズルぃなー、大したことしてないのに好きになっちゃうもんな、ぼかぁこーいうヤロウの魂のロックが、ハードコアが。

なのでこっそり、5点だけ点数かさ増ししたげる。
エコ贔屓は常に老人の特権じゃけな。けひひひ。

RICO NASTY/「LAS RUINAS」:73p

RICO NASTY/「LAS RUINAS」

RICO NASTY/「LAS RUINAS」

ここんところのパンクラップで頭一つトガり具合が抜けていた、メリーランドはプエルトリコ系のラッパー、RICO NASTYの新作ミックステープ。

ジャンルレスな彼女らしい自由な、でもそこはそこでしっかりと主張のある作り。
なかでも注目はMarshmelloらとのコラボ曲、“Watch Your Man”なのだろうけれど、
そういう豪華ゲストを呼んでのトラックもさることながら、個人的には程良くチルめな“Phuckin Lady”がお気に入り。

でもぼくはこういうのを言語化できないので、他にゆずります。

以上、今週の4枚。

実は他にもあれこれ色々聴いているのだけど、ちょっと耳をひいたものをピックアップしてみました。

それではまた来週。
…なのかなあ。

【今週のチェック】MANTAR,ITHACA,STICK TO YOUR GUNS,RICO NASTY

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