Re:NO/「DREAMER」:80p

Re:NO/「DREAMER」
しばらく音沙汰のなかったALDIOUSの元フロント(ウー)マン、Re:NOが今年になって復帰、本作にてこのたびソロ・アルバムデビューした。
なお演奏陣は地獄カルテットの中の凄メン達。
いきなりの幕開けからの力強いパワメタ展開にその路線への置きっぷりをアピールするが、しかし全体的には古巣時代よりもバラエティ豊かでカラフル。
アニソンガールズロック曲調な一方で、かたやJPOPラブバラードをしっとり歌い上げたり、果ては夢見る少女じゃいられなかったり、ニッケルがバックしてみたり、ドブネズミみたいなポップパンクがリンダリンダしたり、ラストはあなたが私にくれたものだったりと、色々な意味でチャレンジング。
バンドの制約から解かれて、これからはも少しずつ色々果敢にやっていきたいとそんな気迫が伝わってくる。
よって必ずしもメタルシンギング一色ではないこともあって作りの散漫さが一瞬だけチラつくのだが、しかし何ならもっと別色別注入れても良かったくらいな調整幅でしかない上、これは今後の彼女の活動を探り見つけるには必要不可欠作業にして、魅力を広げるためにもおそらく現状最適解。
何より持ち前のコンポーザーとしての秀逸さ、器用さも健在で、このご時世に15曲も大丈夫かとの懸念にも、概ね以上に応えているから大したもの。
なかでも個人的にはハツラツ明朗トーンに「ぜ」語尾のツンめクールネスがパッショネイトに跳ねてKOTOKOする(違)M5“AWL”と、MOTORHEADばりの勢いの中から「逃げるばかりで、情けないクソみたい救いようがない」と、まるで平均的なネット民の実状讃歌のようなM13“Get Over It”あたりが特にお気に入り、この曲らだけでプラス数点したくなる。(てかした)
L.S.DUNES/「Past Lives」:79p

L.S.DUNES/「Past Lives」
メンバーは、CIRCA SURVIVEのヴォーカリスト(アンソニー・グリーン)に、あとマイケミのギタリスト(フランク・アイイアロ)と、あとCOHEED AND CAMBRIAのギターにTHURSDAYのリズム隊二人。
そんな驚異のウルトラビッグネームバンド、そうだねプロテインだねと地味さしか正直全く覚えないメンツで結成されたプロジェクトユニットの1stデビューアルバムが、までも普通にいいよね、という話。
おともたちプロジェクトらしい一貫性のなさで、あれもやろうかそうだねプロテインだね、これもやろうかそうだね以下略の繰り返しで、各々の経歴からそれぞれが持ち寄りでツギハギごっこ。
結果、サースデイに働きたくない若者の泣き言を悲痛な苦しみとして大げさにアピールしてみせる繊細居士ハードコアでもやんのかとと思ったら、コヒカンみたいな手業でマイケミの捨て曲みたいのやったりと一見の取止めのなさながら、でもそれらを経てきたゼロテン年代なぼくらからするとそのスクリーモ~ポストハードコア、ゴシック・ロックに香る元ネタカラーに割とほっこりさせられる。
クリアさに濁りが交じるチャイルディッシュというよりは「ゴレ欲じい゛ーっ!」とだだっこ並みにエモーショナルなヴォーカルは、個人的に苦手な部類なんだが、それはそれ。
「Past Lives」のタイトルまんま寄り集まって昔と同じことしかやってねーじゃねーか、という一部海外評の手痛い停滞には確かに同感しなくもないけれど、でもやっぱり木曜日はぼくも働きたくないので初期THURSDAYを彷彿させるナヨりニューウェイヴなM2“Antibodies”とか思わずくすぐられてしまう。
DISTURBED/「Divisive」:40p

DISTURBED/「Divisive」
「メタルの巨人による、新たなる駄作」と評された上に、大概のしょうもない作品でも「所詮こんなもんだろ?」と3点は維持してくれるKerrangの親切レーティング設定で5点満点中2点というハイスコアをめでたく獲得してて笑った、このDISTURBED 2/5。
振り返れば前作「Evolution」はジャケからも従来のメタル巨人マスコット(通称The Guy)を引っ込ませてソフトデジタルポップ路線なオサレ新機軸を狙った意欲作だったが、「ヘヴィメタル語で言う”進化”(Evolution)にいい話は一つもない」という我らがメタル村いにしえからの厳格なる言い伝えに正しく則った上、更にメンバー自ら「これはDISTURBEDにおける、METALLICAでのブラックアルバムだ」と、見えてる大地雷を踏みにいく超上級者展開の当然な帰結で、見事に評判爆殺コース入り確定。
結果、確かにブラックな歴史のアルバムになったとばかりの不評ぶりがsad but true(Google訳:悲しいけれど事実です)、挙げ句「Evolutionてゆーか大いなる行き詰まり」とBLABBERMOUTHでも身も蓋もなくブった斬られたせいもあってか、慌てて連中も「やっぱりこっちだわ」と今回また巨人を再進撃させてRELOADしてみせた、これが続く8thとなる。
べべべべんべんめん、あ゛ぁ゛!?あ゛あ゛ぁ゛ーーーっ!?!?!?(ビギィ
という、マガジンマーク多発にイキりながら人口インダストリアルでハードロックと踊(ダンス)する例のニューメタル流れな音楽性は以前そのものなのだが、前作の結末にビビりきったせいか、「あのDISTURBED」として想像するクラシックな往年路線を、再び踏襲。
命が刈り取られそうなシャレオツチェーン中学生ジャケからもガッツリと伝わるその「やっぱりこっちだわ」感だが、内容もその通り、というかその以下でも以上でも以外でも当然ない「それ以内」を全く越えない、完全なる期待値ギリに抑えた保身の塊がここにある。
しかも、HEARTの実力シンガーアン・ウィルソンが参加した曲は、ただのゲストの無駄遣いでした。
とはいえ出来自体はそう決して悪くないので、そのソツとブレのなさを安全安心安定安牌安直安価、果てどう捉えるかはこれを見る角度次第かと。
個人的には、この「求められていることだけこなしました感」以外が全くないものをどう評価すりゃいんだという意見も頷くところ大きく、しかもそこまで突出した面白みも薄いので、やっぱり5点満点中2点でいんじゃないかなってこれ。
DREAM UNENDING/「Song Of Salvation」:72p

DREAM UNENDING/「Song Of Salvation」
ただのメタルには興味ありません、で知られるPitchforkでこないだ名誉高き輝ける今週のベストスノッブに選ばれてたことに心ザワつきつつ、怖々と手伸ばしてみたが案外いいぞってなやつを4枚目に選んでみる。
カナダの老舗バンドロゴ読めない系デスTOMB MOLDのデリック・ヴェラ(Gt,Ba)と、INNUMERABLE FORMS他、ボストン地下メタルシーンで様々に活動してきた(過去にはこないだ新作をレビューしたばかりのSUMERLANDSにもいたことがある)ジャスティン・デトーレ(Dr,Vo)によるデス/ドゥームメタル・ユニット、昨年のデビューアルバムからわずか1年スパンで続いた、本2ndフルレンス。
ゆったりちゃんと激遅な荒廃絶滅ドゥームをやりながらポストロックあるいはエクスペリメンタルな色味が強く、しかも陰鬱でメランコリックでありつつもジャジーでアトモスフィアでアンビエントでドリーミン…
と、 ちょっと何言ってるかわかんなくて円4m侍にデコ貫かれかねない世界観かもしれないが、とにかく悲哀を帯びた淡い幻想的な色彩のなかでひたすら地獄をのたうつような絶望美ドゥームゲイズ・サイケデリアが展開されている。
何せ、のっけのM1タイトルトラック“Song of Salvation”から広がる、耐えかねない重みと痛みで地に這いつくばるかの暗黒うなだれ展開、故に侘助。
さらに続くトランペット(レイラ・アブドゥル・ラウフ)を起用することでその寂寥感をより引き立てているのが見事なM2“Secret Grief”も秀逸で、思春期なら「孔(あな)に響くよ」とつぶやくシャレ鬱さ。
そしてやはり一番の聞き所は16分近くにわたっての長尺クライマックスM5“Ecstatic Reign”、ここではフューネラルムードから次第に光明差すエモーショナルな高まりへと発展し、ラストに向けてドラマティックに情感を高めながら疾駆することでより一層の荘厳さを増していっている。
以上、今週の4枚でした。
DISTURBED2/5、面白半分でその40pにしちゃったけど、可哀想だから実際んとこ70pくらいはあげていい。
尤もとりたててこれ聴く価値があるかと言われればそこまでじゃないけれど、ホント、普通の出来。
それではまた来週。

Re:NO, L.S.DUNES, DISTURBED, DREAM UNENDING,
・ネタが古い、おっさん臭い、と言われても古いおっさんが書いているので、仕様です。
・ふざけたこと書きやがってと言われても、ふざけて書いているのでお許しください。
・ネット上のものがすべて本当だと捉えがちなおじいちゃんや、ネット上のものにはケチつけても許されると思いがちな思春期のおこさまのご意見は全てスルーします。
・要するに、寛大な大人のご対応をよろしくお願いします。な?