そんじゃ北欧古巣組、新作4枚まとめていっくわよー!
THE HALO EFFECT/「Days Of The Lost」:70p

THE HALO EFFECT/「Days Of The Lost」
IN FLAMESの同窓会にミカエル・スタンネ(DARK TRANQUILLITY)がお呼ばれしたような、後ろ向きプロジェクト・ユニット。
なので最初からどうせイエテボリホイホイなんだろと大概の予想と覚悟はしていたが、軽めにひく位まんまだった、このハロプロデビュー作。
何せ、90年代インフレにダートラフレイバーをところどころまぶし加えただけ。
よって確かにノスタルジーへの需要をきっちりと満たしはするのだけど、でもだからといってそれ以上のものでは全くない。
しかもヒネリも欠片もないからなのか、或いは手法とネタが古すぎるせいなのか、インパクトは弱め。
あまりに素朴な味わいに、初周段階ではこれだったら昔のホラクルやコロニーでも聴いてりゃよくね?と冷めモードになっていたのだが、しかし。
そんないかにもホラ来るきっと来る、これねー、っぷりを晩酌の肴で流しているとなんだかんだでじんわり効いてきて、やっぱりあの頃のメロデスっていいなあと思えてくるから不思議なもんだ。
つーか、要するにこりゃ普通に元メンバーが集まって同窓会をしているだけのアルバムで、あとは単純に聴き手の気分や捉え方次第で是非のどちらにも傾くという、「これはそもそも、こういうもの」。
ARCH ENEMY/「Deceivers」:86p

ARCH ENEMY/「Deceivers」
上の同窓会連中と違って、こっちゃ現役で未だにこれが出来っから、いやはや大したものだ。
近年最高値をマークしたド傑作の前アルバムを勝るとまでは思わないが、とはいえあれはちょっとした特例、これだって結構な線にまで十分敢闘してる。
というか、この頑張りを評価してやんなかったらメタラーとしてダメだろと、そう言えるレベルな文字通りの「力作」だ。
アリッサ・ホワイト=グルーズ(Vo)もすっかり3枚目で堂に入っており、クリーンヴォイスも何とも熱情的で素晴らしい。
それが活かされたリードトラックM1“Handshake With Hell”(↓)に、縦続くM2“Deceiver,Deciever”と出色の展開となっていて、序盤からいきなり入るトップギア。
加えてM4“The Watcher”からのM5“Poisoned Arrow”の流れもメロディックで、いかにもライブ映えしそうじゃないか。
ホントのこと言うと、これら前半部で怒涛にアゲられまくってすっかり高まった興奮が若干ながら終盤ヘタって目減りする感もあるけれど、でもこの程度なら全然許容範囲っていうかいつも通り。
彼ららしい激烈さとメロディックさ、モダン味と独自のオーセンティクスをブレることなく進めた、バンドの現状最適解がこれだと思う。
やあ、まだまだやるもんだねえ、頼もしいわアモット兄さん。
ちなみに、ボートラにはFIGHTの“Into The Pit”というナイスチョイスなカヴァーが収録。
彼らならではの味付けを彼女らしい咆哮が乗っていてこれはコレな反面、やっぱりこの曲はロブの高音ヴォイスで聴きたいわなという正直な気持ちもあったりして。
ま、でもそういうもんだよねカヴァーって。うん、アリだよ、アリっさホワイト。
SOILWORK/「Övergivenheten」:78p

SOILWORK/「Övergivenheten」
こっちもまた、今の彼ららしい脂の乗ったいいアルバムを作ってきた。
寒風吹きすさぶアーシーな1曲目“Overgivenheten”で、今度はこっちサイド攻めて来たかと早合点しそうになるも、全体としては激烈さとモダンさをバランスよく整えながら、スケール感豊かに前作の延長線へとしっかりと着地している印象。
結果、デスメタリックな攻撃性やブルタリティといった鋼質の強度をしっかり維持しながらも、より振り幅広く、より多芸で叙情的な深みのある路線を斬り進めている。
如何せん初期のデスラッシュからゼロ年代にスタイリッシュなサイバーメロデスやってた彼らに思い入れが強い身だけど、しかし作品を重ねながら成熟とミュージシャンシップを土台にして、北欧風土を交えた独自のメランコリックメタルを作り込んでは歩みを進めているこの今の彼らとて、ここまでやられたら認めないわけにはいかない。
そう思わずにいられないくらい、多彩ながらもウェルメイドな出来栄えだ。
しかも相変わらずビヨーンの歌には色艶と力強さがあるし、勿論、野太い咆哮も魅力的。
そしてこのバンドらしいキャッチーなメロディックさも、健在どころか説得力が増したかのよう。
でもやっぱり個人的には、特に中盤と後半の要所で、激性を増してあぎと鋭くなるあたりが好きだな。
DARKANE/「Inhuman Spirits」:72p

DARKANE/「Inhuman Spirits」
しばらく名前聞かねーな、と思っていたら、まだ生きてたのかよ!?
90年代から初期ARCH ENEMYのピーター・ウィルドアがドラムやっていた(しかも初代ヴォーカルはビヨーンだ)ラップメタルの、なんと9年ぶりという新作。
あ、大丈夫。
ラップメタルつってもHIP HOPじゃなくてサランラップの方だから。
昔からフューチャリスティックなメロデスラッシュをやってきた彼らだけど、何つったってその未来感覚というのが全身ぐるぐるラップ巻きつけてメンバー写真撮るというハイセンスぶり。
それもあってかなくってか、毎回、微妙な塩梅の、微妙なメロセンスで微妙な作品を出してくるという、微妙なイメージしかないのだけど、今回もまた同様か。
まあ良くも悪くも、そこがあの時代の愛すべきB級メロデスといったところなんだが、とはいえそんな微妙サランラップに油断してると「あれこの曲よくない?サランラップのくせに」と思い返されるくらいにはそこそこ出来ている。
なかでも時折耳を捉えるギターと、けたましい突進ドラムが健闘。
いつの間にかモダン(ってわけでもないけど)な重厚グルーヴィさを身に着けており、特に後半それが世界観にちょっとばかりの色増しをするのだけど、でも言うても所詮はサランラップ。
それよりやっぱりこいつらはガツガツとした突貫力でせめぎあう猛攻デスラッシュ・チューンのほうが、ぼくにはずっと魅力的に映るんですけど。
以上、北欧デスの古巣おっさんメタル新作4枚でした。
そうこうしているうちに、山口エレフソン(やめろ)抜きMEGADETHも新作出してきたな。
ま、余り期待しちゃいないけど。
え、レコーディングではベースにスティーヴ・ディジョルジオ?
そりゃまた随分とバカテクの無駄d
ではまた来週。

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