あの日のロックライダー~MEAT LOAF/「Bad Attitude」(1984)

ヴァイナルカフェ
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いつも通りの朝タスクを終えて、洗濯機を回しながら、ふうと早くも一服。
まだ子供らは起きてこない、今のうちにやっちまおうかコオヒイひいてレコオド流して休日恒例ヴァイナルカフェ。

MEAT LOAF/「Bad Attitude」(1984)

何でおっさんどもが揃って今頃FacebookにMEAT LOAFばっかりアゲてんだろ(←お前もな)と思ったら、案の定、訃報だっていうな。
そんなSNS社会なんてPOISON初めてのAhh。(おっさんジョーク)

それはさておき、MEAT LOAFに思い入れがあるかないかというと、余りいい思い入れはないんですけどね。
まあ、これかな。

高校の時だった。
北関東は、田舎地方都市の駅前。1階の喫茶店でさほど仲の良くないクラスメイトがバイトをしていた、怪しげな雑居ビルの3階。
その貸しレコード屋のワゴンにあったレンタル落ちを拾ってきたのが、このレコードだった。

MEAT LOAF
ぶっちゃけ、全く、知らなかった。
聴いたことがなかった。
仲間内すらも知らないと言われた。
第一、全然、流行りじゃなかった。

流行りじゃなかったけど、そして実際に余り面白くなかったのだけれど、でもちゃんと何度も聴いていた。
折角なけなしのおこずかいを出して買ったのだから、と自分に言い聞かせて、何度も何度も聴いていた。
ロックライダーの悲劇。
そんな謎の邦題に、何だそりゃと苦笑を浮かばせながら、それでも何度も繰り返して聴いていた。
お姉さんバイカーのジャケットアートに勝手に知らないミュージシャン像を重ねては、MEAT LOAFってこんなイメージなのかなって勝手に想像して、そして何度も繰り返して聴いていた。

それから、しばらくした後のこと。
MEAT LOAFというシンガーはそんなイメージとは全く正反対の、太ったおっさんだという驚愕の事実を、ぼくは知った。
というか、これ自体が微妙な出来のアルバムだという驚愕の事実を、ぼくは知った。
いや、でもそういや確かに微妙だな、と思っていたから、実は全然驚愕じゃない事実を、ぼくは知った。
でも、言われるほどには意外と悪くはないかな、とそう思えるようになる位には繰り返し繰り返し聴いていたから、MEAT LOAFといったらぼくの中で、いつしかこのアルバムだという印象になっていった。

さて。
あれから、どのくらい経ったのだろうか。
このレコードを持っていたこともすっかり忘れて、存在すらもすっかり忘れて、そしてぼく自身が知らない間に太ったおっさんになってしまって、で。
すっかり忘れてしまっていた昨日、ようやくぼくは思い出した。
このレコードがあったことを、ぼくは思い出した。
あの雑居ビルの貸しレコ屋からもう30年以上が経っているという、驚愕の事実を、ぼくは思い出した。
でもそういや確かにそのくらい経ってしまったなという、実は全然驚愕じゃない事実を、ぼくは思い出した。

そう、思えば。
このレコードを棚から引っ張り出すなんて、このレコードに針が乗せられるなんて、このレコードのサウンドがステレオから流されるなんて、このレコードをぼくが聴くなんて、そしてこのレコードの微妙さを再び味わうなんて。
もしかしたら、もうかれこれ30年以上ぶりなんじゃないだろうか。
これは30年以上ぶりの、そんなとうに忘れていた、忘れられていたロックライダーだ。

随分と昔に、レコード棚にしまいこんだままにしていた、忘却のロックライダー。
昭和の駅前のレコ屋で拾ってきた、雑居ビルのロックライダー。
ホント、今までウチによく残っていたな、悲劇のロックライダー。
あの頃は勝手にスリムイケメンシンガーだと思われていた、太ったおっさんロックライダー。
正直、あまり面白くなかった、微妙なロックライダー。
だけど、それでも繰り返し繰り返し聴いていた、思い出のロックライダー。
そんな、我が青春のロックライダー。

そう、
だからやっぱり、ぼくにとってMEAT LOAFといったら、このロックライダーなのだ。

 

R.I.P.。
太ったおっさんロックライダーよ、永遠に…。

DATE
  • アーティスト名:MEAT LOAF
  • 出身:US
  • 作品名:「Bad Attitude」
  • リリース:1984年
  • ジャンル:HARD ROCK、AMERICAN ROCK、HR/HM、ROCK’N ROLL

 

ヴァイナルカフェとは
近年やっとアナログレコードにハマった超絶情弱時代乗り遅れ管理人、黒崎正刀が、休日の朝に趣味でコオヒイをひいて、その日の気分で持ってるレコオドを流し、まったり鑑賞している間にゆるーくSNSなどで書いているものを、こちらのブログに転用したもの。
よって、そのほとんどが70~80年代の古いものばかり。
尤も音楽批評というかしこまったものよりは、大概がただの独り言程度のたわいない呟きなので、ゆるーく本気にせず(笑)読んでいただければ幸いです。
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