あの幻の、幻。~MADISON/「Diamond Mistress」(1986)

ヴァイナルカフェ
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夏休みも週末朝は、コオヒイひいてレコオド流して休日恒例ヴァイナルカフェ。
今週は、大昔に若かりしマサGODイトーに90点以上を頂戴され「さすがにそれはサービス過剰だろ」と噂になった逸話をもつ、これを。

ところで、やっぱりしょぼいくせに90点くらいのサービスもらってた「北欧の白夜にともした希望の光を絶やすことなかれ」ってなんだったっけ?
LARS ERIC MATTSSON?違う?
誰か覚えていたら教えてくだちい。

MADISON/「Diamond Mistress」(1986)

今週レビューで挙げた(↓)PROUDのマガジンマーク「!?」な新作2nd、
「36年後メロハーに転生したら時代が経ちすぎて逆に全く違和感がない上に泣きメロがチートスキルになっていたんだが」。

そのメロハーになろうに刺激されて(正確にはその後に聴いた1stに刺激されて)「あの時代の北欧メタル」がやたら聴きたくなってしまった。

言うまでもなく「あの時代の」とはミドル80’s、1984~86年位のことだ。
例えば、220VOLTとか、OVERDRIVEとか、TAROTとか、
北欧のSummerlove戦士BISCAYAとか、
あと脳がパチパチするほど元気玉なSILVER MOUNTAINのこれとか。

とにかく、そういう微妙に微妙して微妙だったアレが、無性に聴きたくなった。
だって、夏休みだもの。
ぼくらのしないしないナツだもの。

で、そうReturn To Myselfしながらレコード棚から選んだのが、これだ。
ていうかこれしかレコードで持ってないってのが正直なところなんだけど。(CDならいっぱいあるんだが)

ヨラン・エドマン在籍バンド。
歴史的意義では「え、それだけ!?」で、実績としてはろくな成果も残さず短命で消えるMADISONだが、しかし。
これぞあの頃の初期北欧メタルという昭和の味わいが、微妙に微妙なアレが、ここにはたっぷり詰まってる。

クラシカルな泣きのツインギターに、疾走するビート。
哀愁を帯びたマイナーな曲調に、ヨランらしい透明感あるクリアヴォイス。
仄暗い北欧叙情に、ギリ許容範囲のチープなプロダクション。
そして童貞好物「しかも速い曲が多い」。

さすがはデビュー当時、「第ニのEUROPE」と期待されただけはある。まあ、期待されただけだったけど。
とにかく、そんな「あの時代の空気」が味わえる名盤が、この1stだ。

Diamond Mistress」、
邦題タイトルは「神嵐の序曲」。
令和も昭和も、中二病のセンスはそんなに変わらないという好例だ。
ちなみにこの後、神嵐は来なかった。

まずなんといっても聴きどころは、M1の”Lay Down Your Arms“(↑)だ。
「鳴り響く鐘はメタル」というお約束SEからEUROPEを思わせるベタなイントロに、そしてこれなんてJUDASなリフからの、クラシカルなファストチューン展開。
パワー・メタル、というにはか細いのだけど、そこもまた魅力だ。

個人的にはM3″Sneaker“がお気に入りだ。
ほんのちょっぴりスラッシュリフなイントロに、DOKKENにも通じるエッジィさとダークトーン。
中盤にヨランが精一杯の邪悪(笑)を演じてアッハッハーするオシャレVENOM展開も、当時は割と好きだった。(しかも速いし)

つまり、「ド名曲がてんこ盛り!」というアルバムではなく、そこそこにいい曲(しかも速いし)がそこそこ多いという、あの時代らしいB級心をそそられる系。
これはそういう類のアルバムだ、くれぐれも思い出スパイス不所持の身で過剰な期待は禁物だ。
あくまで、あの時代の北欧のフレグランスだけを楽しもう。そう、大人なら判るだろ?な?

しかし、とはいえまだ粗削りではあるものの、ヨランのヴォーカルはこの頃から細くて透き通るような魅力を持っている。

このヨランの歌声に目をつけて、哀感映える北欧メタルの至高のような名盤「Eclipse」を作った貴族豚(やめろ)は、何だかんだでやっぱり見る目が違う。
さすがヨランを「いつもステージ上で後ろ向いてちじこまって歌ってた変わり者の陰キャ」と絶賛しただけはある。(やめろ)(※註1)

ちなみにポップ化した次2nd「Best In Show」も、このアルバムとは毛色が若干違うけれど北欧メタル史に伝わる名盤扱いだ。
こっちはこっちで、当代的な垢抜けと洗練感が程よく備わった、甘みのある作りになっている。

…と昔から言われてきたけれど、マニアックなB級テイストは基本変わらないので、過剰な期待はこちらも勿論、厳禁だ。
いいか、あくまでフレグランスだ。大人だろ、判るな?

なお彼らはその後、続く3rdを作りはするものの、残念ながらバンドが瓦解してしまいオクラ入りに(ネオクラだけに)。
そしてその後の北欧メタルシンガー、ヨラン・エドマンの出世と躍進は、ご存知の通りである。

ではまた来週。

 

※註1:前にネット上で見た、ヨラン・エドマンに再加入を断られて「コイツ如きの分際で」と激昂たれした御大が、友人にGUNS N’ ROSESのマネージャーを名乗らせてはヨランに電話させ、ガンズ参加を俺様サギしてはヌカ喜びさせたという凄いよく出来た話。
あれ、ホントだったらクズすぎて最高だけど、でも多分本当なんだろうな。

DATE
  • アーティスト名:MADISON
  • 出身:スウェーデン
  • 作品名:「Diamond Mistress」
  • リリース:1986年
  • ジャンル:北欧METAL、HEAVY METAL、様式美、他

 

ヴァイナルカフェとは
近年やっとアナログレコードにハマった超絶情弱時代乗り遅れ管理人、黒崎正刀が、休日の朝に趣味でコオヒイをひいて、その日の気分で持ってるレコオドを流し、まったり鑑賞している間にゆるーくSNSなどで書いているものを、こちらのブログに転用したもの。
よって、そのほとんどが70~80年代の古いものばかり。
尤も音楽批評というかしこまったものよりは、大概がただの独り言程度のたわいない呟きなので、ゆるーく本気にせず(笑)読んでいただければ幸いです。
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