コロナだ緊急事態ウンコだ雨だと、仕方なくどこも行くにおうちでひたすら飲んでばっかりなドリンキンお盆真ん中の、今週のチェック。
今週はHACKTIVISTの圧勝なんだけど、他もなかなかの頑張り。
でもどれも聴くに値するものばかりなので、記事順にプチおすすめくらいそこそこあげてもいいくらいですね。
HACKTIVIST/「Hyperdialect」:88p
【今週のオススメ】
一皮剥けた、とはこういうことを言うのだろう。
前作から洗練とともに大きく歩を進め、もはや新たな境地にすら向かったかの確信を与えてくれる。
これはそんな、彼らがネクストレベルを踏んだことを告げる出色の傑作だ。
これ、ホントええです。
かっちょええです。
勿論ただのラップメタルじゃない、使いつくされたグライムとdjentとを武器にしながら、それでもここ20年以上一流ミクスチャーが試み歩んできたお約束、「最新鋭のクラブミュージックとメタルを掛け合わせる」をアップデートした現代感覚で正しく行っている。
なので、新しくはないけれど、これが刷新された現代のラップメタルだ、というのはいえるんじゃないかな。
ってことで、改めて興味を持って調べてみたら、活動自体は2011年と、意外と歴史がある。
前1stデビューフルレンス「Outside The Box」ではまさに「djent×ラップ」の過渡期だったけれど、ここからどうやらラッパーの一人が脱退。
更にメロディックな歌唱パートに携わっていたギタリストが抜けて、新たにラップ/ヴォーカルパートが一新されている、といった状況のようです。
うーん、国内版出てないので情報が薄い。
てかなんで出さないんだろ。
勿体ないので、今からツバつけておきましょ。
CHUNK!NO,CAPTAIN CHUNK!/「Gone Are The Good Days」:80p
にしても、やられた。
綺麗に油断し、綺麗にガードを崩して、そこに綺麗にスコンと入れられた。
これがポップパンクの恐ろしさであり、強さである。
いくらイージーコアだの何だのと呼び名を変えようと、その本質は何ら変わらない
アルバム的には、少し大人びてきたメロウネスの目立つ色合い、といったとこなのだろうか。
少し冷静になって聴いてみると、冒頭からの前説といい、トップから前半の「はい、イージーコアでござい」ってのが少々ベッタベタで取ってつけた感があって、正直一瞬、冷める。シラっとする。
でも中盤あたりから、うまいこと手順を重ねていく。
その成長と成熟の塩梅が、丁度いい色味を見せていく。
成程、そろそろバンド的にも成長と成熟を示したいわけね。
何せフルレンス4枚目だ、そういうアルバムになってきたというわけか。
そしてシメもいい。
M11″Tongue Tied“からM12”Fin.”の流れが実にキレイだ。
しかし、だ。
それにしても、何はともあれ、M8″Complete You“のまばゆさよ。
このアルバムは、この神曲を際立たせるために存在している、とぼくなら言いたい。
そのくらいに、素晴らしいし、そのくらいに、殺された。
そんな、文字通りのキラーチューンだ。
「夏はATARIS」ってのはゼロ年代メロパンク好きのど定番なんだけど、それに対してTWITTERでフォローさせていただいているとある方が先日、「思春期にそこそこイケてて、甘酸っぱい一夏の思い出を経験した事があるかの様な気分になれる」とつぶやいていて、まさに!と思った。
そうそう、それだ、それ。
おっさんからすれば、そんな甘酸っぱい夏のあの頃に、ネジまいて戻してくれるかの気分になれる。
で、その意味でもこのCHUNK! NO, CAPTAIN CHUNK!の一枚も、そんな2021年の夏の「そこそこイケてて、甘酸っぱい一夏の思い出を経験した事があるかの様な気分になれる」一枚になるんじゃないでしょうか。
みんなー。
サックスの音色一発で世界の全てが、さあーっっと色めき塗り変えられるような、そんな甘酸っぱいサマーオブ2021をちゃんと送っているかい!?
(いねーよ酔いどれて部屋で寝っ転がってるよ)
JESS AND THE ANCIENT ONES/「Vertigo」:78p
マジカルにして、サイケデリック。
彼等はそんなカビ臭い70年代ロックを身上としており、それを象徴するかのハモンドオルガンと、独特の雰囲気をまとった妖しげなフィメイルヴォカルが、何より特徴的だ。
例えるならば、URIAH HEEPが現代北欧の山中に転生したらサブカルこじらせた女シンガーが混ざってた、みたいな感じだろうか。(やめろ)
存在は知っていたけれど、初めて向かうこの「北欧の魔女ジェスと、古代の何か」。
オカルトロック、と言われているようだけど、そんな70年代テイストのハードロックを現代に蘇らせているような感じだ。
そのグルーヴもさることながら、それを色づけているオルガンの音がいい。
そしてそこに存在感をあらわにする、さして上手くはないけれどマジカルがかったキャラのあるジェスの妖しげなヴォーカル。
これが男だったら、ちょっと違う。
やっぱりフィメイルヴォーカルだから、いい。
こじらせきって大人になったような、ジェスのヴォーカルがいい。
これでラスト長尺曲がもっと良ければプラス数点でしたな。
彼らだけじゃないけれど、ぼかあ、ダメプログレメタルあるあるな、意味もなくクソ長いのにただの雰囲気作りなだけで「んで?」って曲には厳しいんで。
ひとの大事な時間を奪うなら、それ相応のものを用意しろってんだ。
CONSTANCIA/「Brave New Wold」:72p
派手さはないし、言ってしまえば地味。
「ながら」で聴いていたら、スルスルと抜けて終わってしまいそうだ。
しかし、そんな華のなさの代わりに、味がある。旨味がある。
だからビールにもよく合う。
大人の夏の夜に、よくマッチする。
寧ろぼくら大人には、こういうのがありがたい。
これはそんな、大人の夏の夜のハードロックだ。
THE 地味ハードロック。
いや、がっつりメロハーではあるんだけど、でもなんだろメロハーというよりはどちらかといえば、ハードロックをしている。それが個人的に良かった。
めたくそ地味だけどね、まあ地味に、でもこういうのっていいよねって感じだ。
レビューでしそこねたバンド情報に触れておくと、まず中心になっているのはミカエル・ローゼングレンなるキーボーディスト。
ほう、出しゃばりはしないが時折プログレがかったクラシカルな鍵盤をみせているのがこの人か。
でこのミカエル・ローゼングレンは、元SCUDIERO、TOKENなどのキャリアがあるとルビコンさんのページでは紹介されています。
さらにこのアルバムからBLOOD RED SAINTSなどの活動で知られるヴォーカリスト、ピート・ゴッドフリーをシンガーとして迎えているらしい。
でその陣営らしく、内容もド地味。
大人っつーか要するに老人向け無刺激メロハーで、とりたてて「これが!」ってバンドでもアルバムでも、全くない。
むしろ、今あらためて聴いてみるとなんでこれレビューに取り上げたんだろって気分が強くなってくる。
でも、噛みしめると味もあるし、いやなんだかんだで意外といいんだよねーっていう印象に落ち着くってさっきから同じこと言ってんなおい。
やっぱ後半の疾走曲のアクセントが効いてるんだろうな。
こういうの入れると、ピリっとスパイシーでインパクトもかわってくるものな。
とりあえず今週、さらっと試しにこの界隈で聴いた幾つかの国内盤リリースメロハー勢の中では例えばPLATENSとかTOBYなんちゃらだとかCROWNEだとかよりはまだましかなと個人的にひっかかりましたね。
以上、今週の4枚でした。
改めて、どれもいいですねー。
来週は…どうなんだろ、まだこれからって感じなんですが、NIGHT RANGERが新作出しているので、ちょっと味見したいと思います。
あとはお盆中に決めますね。
ではまた来週。