今週のチェック/ NEMOPHILA, SVALBARD, GENDO IKARI, DOKKEN -The Weekly Reviews

NEMOPHIA, SVALBARD, GENDO IKARI, DOKKEN 今週のチェック
NEMOPHIA, SVALBARD, GENDO IKARI, DOKKEN
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NEMOPHILA/ “Evolve” :86p

NEMOPHIA/ "Evolve"

NEMOPHIA/ “Evolve”

2024年1月リリース。
先週、今週と、ひたすらヘヴィロテしていた。

デビューアルバム「Revive」から、アグレッションとヘヴィネスを前面化した前2ndアルバム「Seize the Date」
そしてそこから続く本作の総体的な印象としては、新たな幅を広めつつも、より洗練を進めることに特化したブラッシュアップ・アルバム、といったところか。

つまりはこれまでの何でもありなジャパ女子ハツラツゴリメタが、その雰囲気と持ち味を維持しながらもより一層のメジャー性とキャッチーさを追求。

結果、完成度としてはカコイチ、より一級品としての高みを目指すべく良い意味でガールズバンドに求められる大衆的ポップさと重厚なエッジィさをともに維持しつつ、このバンドらしいキッチェでユーモアのある程よいアザとカワイさ、反面の威勢の良さと獰猛さ、さらには現代の若手女性らしさなどを楽曲ごとに彩りよくアピりながらと、よりレンジを活かしたメタルを標榜してる。

しかも演奏も上手いしな。これで美人揃いとかどうなってんだバグってんのか?とワールドワイドレベルで十分認めるところ。

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SVALBARD/”The Weight of The Mask” :86p

SVALBARD/"The Weight of The Mask"

SVALBARD/”The Weight of The Mask”

2023年10月リリース。

UK出身、
昨年、英ケランゲ!の気持ちで珍しく満点を獲得しとった、ブラッケンドスクリーモというブラックなのかスクリーモなのかドンドッケンなのかという「ジャンルとは一体」と考えさせられる音楽性の彼ら。
これで4thなようなのだが、本作にて大手レーベル、ニュークリア・ブラストから目出度く昨年リリースとなった。

スバルバル、とちょっとしたバオーでも来訪してきそうなバンド名の、女性ヴォーカル兼ギタリスト、セレナ・チェリーを中心とする若手4人組。(※1)
そのサウンドは言ってみればブラックゲイズを取り込んだポストハードコアに、ポストメタルと、ポストロックと、郵便に困らないくらいにポストを集めたかのもの。

ちゅうがくせいが考えたさいきょうのおしゃれジャケアートにもうかがえる耽美さとメンタリティはその世界観にも写りこんでおり、禍々しい凶暴性ながらも優雅とすらいえる美しく儚げな叙情メロが全体を包括。

その煽動的なまでのメロディックな高ぶりようは、90年代後期~ゼロ年代の英国/ユーロゴシックに見られたはかない薄暗さ、あるいは北欧デスをシンパサイズし始めたころのニュースクール、激情ハードコアにも通じるものがある。…気がする。
なので、往年の北欧メロデスとかあの頃の初期メタルコア(MAメタル)とか好きな方にもきっといけると思う。
(影響源にFUNERAL FOR A FRIENDとか挙げてるのも、なるほどって感じだ)

楽曲もどれも粒ぞろいなのだが、なかでもポストハードコアらしく勇壮に郵送するM2“Eternal Spirits”や、クリアな歌声と爆走ビートが光明帯びて織りなすM3“Defiance”のリリカルさ。
あるいは動から静を経て多幸感にすら至るM5“Light Out”などが抜きん出て秀逸で気に入った。

かたや終盤に若干ダレかかるも、それすら補い回収して余りあるラスト、昂ぶり最高潮にわななき慟哭疾駆するM9“To Will Beneath The Weight”に、すっかりこちらも泣くがいい声をあげて泣くがいいな歩兵状態に。

実はこれ、年が明けてちゃんと聞き直したんだが、あれこんな良かったっけ!?と再認識。
昨年もう少し聴き込んでいたら年間ベスト枠に入っていたかもしれないくらいってくらい、今んとこ気に入っている。

※1:そのまんま、「スヴァルバード」と日本盤では明記されてるみたいですね。

GENDO IKARI/ “Rokubingi” :84p

GENDO IKARI/ "Rokubingi"

GENDO IKARI/ “Rokubingi”

2023年9月リリース。

バンド名がこの通りに「碇ゲンドウ」、そしてアルバムタイトルはその彼の旧姓の「六分儀」と、完全に判ってやらかしてる確信犯な、スコットランドはグラスゴーのグラインドカルテット。本作にてアルバムデビューとなる。

90年代の米ニュージャージー産アニヲタギークコアDISCORDANCE AXISから始まるとされるエヴァコア(何それ)の系譜には、同じくアメリカから渚カヲルへの思いをカヲティックにスクリーモするその名もKAORU NAGISAや↓、

KAORU NAGISA

ブルータルなエンジェルのテーゼを叫んでは中国かの地から人類補完計画を進めんとする、その名もまんまHUMAN INSTRUMENTALITY PROJECTなどがいるらしいのだが、

(↑ブルータルデスな天使のこれ、かっけー。)

こちらのゲンドー怒りのRokubungiもまた同様に、そんなエヴァンゲリオンへの熱き思いでLCL圧縮濃度を限界まで上げるエヴァングラインダーズ。

しかもこれがネタに終わらない格好良さときたもんだから、構わん続けろ。

碇ゲンドウ

ノイズロックやブラック、デスメタルなど、メンバー個々の音楽的出自が様々であるためなのか、彼らのサウンドはグラインドコアといってもかなりハイブリッドなタイプ。
カオティックハードコア、マスコアからの影響を大きく受けての単調に終わらない音楽性であり、ときにクラスト、パワーバイオレント、あるいはメタリックに、アゴラフォビックなデリンジャーのエスケイププランにと多彩さを見せる。(構わん続けろ)

しかもM10“Beg-Die”じゃオジー・オズボーン“Bark At The Moon”でも始まんのかと思いきや、すぐさま重くひしゃげてブヒブヒと萌え豚デストロイヤーしてくなど随所にてサービス、サービス。(構わん続けろ)

轟音で走り終えるグラインドコアながら、緩急織り交ぜで多様巧みにしっかり考えられ作り込まれているためか全体的にスッキリ辛口と淀みなく流れが構成されており、なんと言うか、ある意味で聞きやすく、分かりやすい。
なので、普通に聴く分(歌詞は知らんが)ではネタ感や色物感もなく、やもすればシリアスさも思わせないでもない位。
今後も楽しみな存在だ。(構わん続けろ)

DOKKEN / “Heaven Comes Down” :40p

DOKKEN / "Heaven Comes Down"

DOKKEN / “Heaven Comes Down”

前作から久々の新作、2023年10月リリース。

え前作って「Back For The Attack」のこと?
という多くのキッズ達(メタル村老人会)による適正なる反応はさておき、2012年のそれから以来もはや10年以上ぶりとなる、この令和に誰が喜ぶDOKKENのニューアルバム。

ちなみに犬猿の親友なお前のいとこのギタリストさんはもう20年以上おらず、現在はジョン・レヴィンが在籍して既にかれこれ20年くらいになんだから大したもんだお前の親戚はDOKKEN屋。

ドン・ドッケンが歌えばDOKKENになる」と言われたら、そりゃーそうだろ、だったらジャイアンが歌えばリタイサルになると言いたくなるんだけど、でもま確かにそういうところもなくもない。

実際、オープナーA1“Fugitive”はじめ、全体的な作風には往年を思わせるクラシックな雰囲気もある。
…のだが、特筆すべきは「それがどうした」と、まるで「俺様は貴族なんだ」とドヤりのたまったイングヴェイ様に対して真顔でそう返したブルース・ディッキンソン並みのリアクションを取らざるをえない、圧倒的つまらなさ。

むしろ、どこまでつまらない曲をドンが歌えばDOKKENが成立出来んのか、そのJIKKENみたいなアルバムで、何せ割と出来の良い2曲目“Gypsy”以来、あとは急激にダルさがひたすら続くというリスナーの過酷さを重視した作り。
ましてや後半たるや胸に7つの傷がなくてもスローすぎてあくびが出ては、何度かTooth and寝入りそうになった。

しかも肝心のその歌も、モッサリにも程があるまで勢いも枯れ果てていて、ドン復権、ならず。(知ってた)

唯一、ラストの如何にもBON JOVIがやりそうなアーシーで物悲しいウェスタン風アコ曲は、むしろ今のドンはこういう歌のほうが合うのだろうなと納得&感心させられるのだが、他方、でもこんなのだけでアルバム全部埋められたらたまったもんじゃないと冷や汗も同時に味わわせてくれるマルチなシステムを採用。

尤も、そもそもからして今更DOKKENの新作に向かおうなんて難易度の時点で、既にそのくらいはもう覚悟してなきゃ正気の沙汰は保てやしないわけで、これらを織り込み済みで「しょうがないにゃあ」と聞抜きできるレベルの低下550円世代なら、脳内思い出スパイスまみれに楽しめる可能性ももしかしたら少し位は残っているかもしれない。

(勿論、新規課金者に対しては、金と時間を引き換えに田舎の場末のジジイしかいない昭和居酒屋に迷い込んで「ほら煮込みもあるぞ」とか全くいらん世話を焼かれるかの羽目を味わうだろうから、全くもってやめたほうが身のためだ)

俺たちはDOKKENを聴いてるんじゃない、
情報(ノスタルジー)を聴いてるんだ!
↑Attack for the Back(完全に後ろ向き)

以上、今週の4枚でした。

先週、今週はもうNEMOPHILAばっか聴いていたなー。
単独レビューでちとだけ苦言漏らしちゃったけど、いやこれだけのことやられたら、贅沢な言いがかりだったかな、とも書いたあとで思わないでもない。

え、DOKKENの新譜?
知るか、そんなん「Back For The Attack」でも聴いとけや!(つっKKENドン)

ではまた。

一応しとく注意
・レーティングはあくまで書いてる人の個人的な気分と機嫌のみに基づいたものです。
・ネタが古い、おっさん臭い、と言われても古いおっさんが書いているので、仕様です。
・ふざけたこと書きやがってと言われても、ふざけて書いているのでお許しください。
・ネット上のものがすべて本当だと捉えがちなおじいちゃんや、ネット上のものにはケチつけても許されると思いがちな思春期のおこさまのご意見は全てスルーします。
・要するに、寛大な大人のご対応をよろしくお願いします。な?
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