BUCKCHERRY/”Vol.10″:82p

BUCKCHERRY/”Vol.10″
ザ・ラストオブオラつきDQnROCK’n’ROLL、令和最後のマガジンハードラロックバンドも、これでアルバム10枚目とか。
とはいえ前作から約2年と、案外律儀にコンスタントにアルバムを作り続けてるオレが”BUCKCHERRY“の“ジョシュ・トッド“だよぅ…!?さん達だが、ここに至っても音楽性にブレもなし。
細かく言うなら、これなんてラグドールなオープナーM1“This And That”を筆頭にバブル期のAEROSMITHみをぐんと増しての、ドエレーーー“COOOL”じゃん!?!?なロックンロール・グルーヴが高まっているのだけど、でも言うてそんなもんじゃね?といえばそんな程度のもん。
そもそもプロデュースにマーティ・フレデリクセンを再起用、布陣も同様(JET BOYのギタリストまだいんのか!)と、前作の敷いた基軸をガッツリと踏んでおり、そのうえでグラマラスな80年代ハードロック指向を強めたような作りか。
まつっても世界観と治安レベルとしちゃ平成梅澤漫画みたいなものなんだが、でもしょうがねーだろだってこの人たちなんだから。
とはいえ賞味期限は切れども腐敗臭までは起こしてないので、そりゃ確かに時代遅れでダサいだろうけどでもギリ何とかカッコいいのだけは判る、と昭和ジジババ養老リスナー連中どもの価値観で(やかましいわ)頷けるのが、このバンドの素敵なところ。
しかもアップテンポでSKID ROWとGUNS N’ ROSESと悦子の母乳合わせたM3“Keep On Fighting”(その少年ジェットのギターがスラッシュかザックかとばかりに頑張ってる)といい、ぐんと強靭さが増したビートのノリに、ジョシュの歌もより躍動的に。
その他、デフレパヒステリア風のバラードM5“Feels Like Love”はグレン・ダンジグが一方的にボコ殴りされかねないメロディックさだし、更には初期AC/DCにお前のいとこのミンチジョージさんが加わったようなロックチューンM8“Let’s Get Wild”に、M9“With You”でのイキりきったノルウェーの若造ブラックメタラーどもに「このポーザー野郎が」とロゴバッジをデコピンされかねない蠍っぷりと、佳曲も多し。
結果、危ぶまれた一時期に比べればBUCKCHERRY安定の良作といったところに向かっていて一安心。
ただしラストのBRYAN ADAMSのカヴァーは超ごく個人的にキラッキラな思い入れと違和感がありすぎるので、“Summer of 69′”テメーはダメだ。
(あくまで個人の感想です)
AVENGED SEVENFOLD/”Life Is But a Dream…”:84p

AVENGED SEVENFOLD/”Life Is But a Dream…”
売れっ子USモダン・ヘヴィメタル、AVENGED SEVENFOLD。
「プログレになろう系」と言うのとは若干違うような気もするが、メタルコア・バンドとしてのスタートからパワメタ属性獲得でチート化…とはうまくいかず、結果あっちゃこっちゃに向かっては各回成功、失敗、微妙、そこそこ、それなり、アベ先生の次回作にご期待下さい…とそれでも試行錯誤を恐れずやってきた連中の、その実験性の良くも悪くも集大成みたいなのが、この8thだ。
製作にかけることまる4年…とまるでグレン・ダンジグがボコ殴りされるかのデフレパのヒステリアみたいな盛り込み・作り込みな大作主義の本作は、「人生夢のごとし」と壮大なテーマに基づいて、親の仇とばかりにマシマシ&パッチワーク三昧。
アコギのオープニングからSYSTEM OF A DOWNでも始まったのかと思ってたら、QUEENばりのオペラ/ミュージカル地獄へと雪崩込み、はたまた怒涛のスラッシュバトル展開あり、インダスサイバーSF展開あり、シュラプネル学園風のてっぺんヤンキーシュレッド抗争展開あり、アリチェン風の暗黒グランジ鬱展開あり、MISFITS風のグレン・ダンジグボコ殴られ展開あり、あとドリムシありカニエあり豚貴族ありシナトラあり、あこれMUSEだあり、あ違ったDUFT PUNKだあり。
そして最後はピアノで美しく儚く…とその総力物量戦なまでの「あれもこれもそれもいいからぶっこんどけ」っぷり。
そのせいで最初は気圧されまくり、何がなんだかわかんないけどとりあえず笑っとくかなやつ。
で色々あって、何だろ、しばらく向かい合ってみての現状論としちゃ。
これがちゃんとまとまっているのかと言われたらそんなことは多分なくって、その意味じゃ「変幻自在」というより「支離滅裂」な「質より量」。
しかもアバンギャルドだと言っても、それはマイク・パットン先生やデヴィン様みたいな天才変態センスでは全くない、凡人がよくがんばりました枠。
でもその足掻いてみせた努力の熱量と情報量だけがやたらバカクソ程にも高密なので、結果的に「音楽の意味はわからんがとにかくすごい自信だ」アルバムとして仕上げられているため、作品性としての良し悪しはちょいおいてもインパクトだけは確かにそりゃあんだろという、ある意味でのエクストリーム・メタルな奇作といった印象だ。
でもホント、たっまーにポコっと爆誕すっから面白いんだよなー、こういうイレギュラーな異端バカメタルの結晶が。
なので、ここではそれを重んじて評価しとく。
PUPIL SLICER/”Blossom”:77p

PUPIL SLICER/”Blossom”
英ケランゲ!の気持ち誌でこないだ珍しく満点忖度がなされていた他、あちこちの海外大手でも高評価を目下獲得。
女性ヴォーカルを擁するUKの次世代カオティックハードコア/マスコアと注目が高まっているこのバンド、本作がフルレンス2ndとなる。
ブラックメタルの刺々しいギターリフに、ギクシャクした鋭角な展開と、ヒステリックな叫び。
そのダークな世界観の中から、ケイト・デイヴィスのふわっと柔らかなインディーポップ声が浮遊する、この異物感よ。(M1“Glaring Dark of Night”~M2“Momentary Actuality”)
かと思えば、デジタルを走らせて切り裂き、あるいはチャグリフとDjentを持ち込み、あるいはM5“The Song at Creation’s End”ではポストメタル的NEUROSIS空間美に絶望と悲壮感をバラまきブラスト…と、様々な手法を使いながらメタリックな暗黒表現を試みている。
つーかぶっちゃけ、それらの手先自体はさほど目新しさもないのだが、それらで描かれる英国らしい端正で耽美的な暗みに加えて、ケイト・デイヴィスの激情吐き付け絶叫と繊細クリーンヴォイスのツートンカラーが色味を与えているので、それとなく楽しめる。
とはいえ如何せんその持ち味と破格さを手応えとして伝えきれていないというか、もう少し何か新しい域にまで伸びそうなのにそこまで今ひとつ至ってないような、そんなもどかしい気もしないでもない。
勿論、冒頭での序盤のインパクトやアトモスフェリックな長尺曲、そしてブラックゲイズなクライマックスでの透明感とメランコリアの高まり(M9“Dim Morning Light”)がメロディックに集束されていくラストシーン(M10“Blossom”)…と、しっかり抑揚と見せ場を設けているのは分かるのだが、逆に言えばそれ以外が「ふーん」といった程度にスルーしがちというか。
なので、今後の伸びしろを考えて、ここではこの程度に留めとく。
RANCID/”Tomorrow Never Comes”:88p

RANCID/”Tomorrow Never Comes”
RANCIDさんこの令和に遂に最短アルバムを作ってしまわれる、これ。
キャリア30年超えのいいおっさんパンクバンドによるスタジオアルバム10枚目が、アルバム内最短30分切り。
計16曲、全て3分足らずの、スカなし、Oiあり、勢いありなショートレンジ・ハーコーバレット尽くしときた。
しかも短いだけじゃない、しっかり脂の乗った熟みもオジみも貫禄みも備わった作りが、さすがの域。
せーの、で掻き鳴らされるビートとリフ。
しゃがれたティム・アームストロングの男っぽいロートーンに、オヤジどもが唾飛ばす掛けあい。
バーッと駆け出しては、潔く簡潔に切り終わる。
しかもキャッチーでメロディックで親しみがあって、勿論カッコイイ。
これぞRANCID、これぞハードコア。
いや枯れた燻し銀なベテランロックバンドとしての魅力もそりゃあそれでいいけれど、そろそろこういう彼らも聴きてーよな、となっていた頃合いに出された本作が、なんだかんだ言うてやっぱりここ20年の「オヤジRANCID」にとってのカコイチアルバムなのは確かなんじゃないだろうか。
なお詳細は個別レビューにて。
以上、今週の4枚でした。
今週は、RANCID最高週。
上にもありますが、詳細は個別レビューをどうぞ。
それとPUPIL SLICER、じわじわキてます。
これ、もう数回も聴き込めば、も少し評価高まるかもしれん。
かたやAVENGED SEVENFOLDも、もう少し聴きこまないとまだよく判らんレベル。
ところでさっき今月のRが2つあってよく燃え上がりそうな誌名のMR.BIG専門誌めくってみたら、今月のクロスレビュー枠にピックアップされてんの、これ。
こういうチョイスは良いですね。
ていうかBUCKCHERRYって今、 Earache Recordsからアルバム出してんのなー知らんかった。(今更)
ではまた来週。

BUCKCHERRY, AVENGED SEVENFOLD, RANCID, PUPIL SLICER,
・ネタが古い、おっさん臭い、と言われても古いおっさんが書いているので、仕様です。
・ふざけたこと書きやがってと言われても、ふざけて書いているのでお許しください。
・ネット上のものがすべて本当だと捉えがちなおじいちゃんや、ネット上のものにはケチつけても許されると思いがちな思春期のおこさまのご意見は全てスルーします。
・要するに、寛大な大人のご対応をよろしくお願いします。な?