その時に、決めたんだ。
そうだ、今日、仕事休もうってね。
月曜なのに、週頭なのに、コオヒイひいてレコオド流して休日恒例ヴァイナルカフェ。
さ、コルセット巻いて病院行ってこよっと…。←朝腰痛めた
dub war/「pain」(1995)

dub war/「pain」(1995)
カート・コバーンの首から上はもうとっくにショットガンにふっ飛ばされていて、
エディ・ヴェダー(PEARL JAM)はまだ怒りと悲しみと混乱で言葉を失ったままでいて、
その間にもグランジはどんどんオルタナティヴに飲まれていって、
それでもレイン・ステイリー(ALICE IN CHAINS)はラリったままだった、あの1995年。
ようやくKORNが時代のトラウマを唸り始め、
こいつがコートニーとかいうズベ公かとHOLEというバンドで皆が知り、
かたやちょっと前に「The Downward Spiral」でその名を決定的にしたトレント・レズナーが、マリリン・マンソンという新たな漆黒のダークヒーローを見出し、
そしてぼくらの車の中ではいつもオフスプの「Smash」が流れていた、あの1995年。
多くのメタルバンドがオルタナもどきへと染まっていくなかで、
METALLICAにはまだ「LOAD」で失望していなくって、
ドラマーが変わったSLAYERはそれでも相変わらずSLAYERをやっていて、
そしてGREENDAYをまがい物パンクだとあざける連中に、何も知らないバカどもがと怒っていた、あの1995年。
それでもGUNS N’ ROSESの活動するする詐欺が通用していて、
かたやイギリスでは4REALを腕に刻んでみせたはずのリッチー・エドワーズ(MANIC STREET PREACHERS)がいち早く時代からトンズラしてみせ、
アメリカじゃ全裸のロラパルーザで名を上げたRAGE AGANSIT THE MACHINEが、次はコイツラだとばかりに注目されていて、
全裸といえばデイヴ・ナヴァロの加わったレッチリは、周囲が言うほどに全然悪くはないけれど、
それより何よりもPANTERAの「脳殺」にぼくは夢中になっていた、あの1995年。
米国シーンでラウドロックとメロコアとミクスチャーとあとブリットポップとが、HR/HMや初期グランジの墓場の上にガシガシと立派な殿堂を建ち並べていく風景を眺めながら、でも「Demanufacture」を出したばかりのFEAR FACTORYはまだすごくイケていて、
THE WILDHEARTSはまだギリアリで、
2枚組のCDの中に終りのない悲しみを綴ったばかりのスマパンがどうにも好きになれなくって、
BEASTIE BOYSんとこのグランドロイヤルから出てきたばかりのATARI TEENAGE RIOTとかいう連中がむちゃくちゃにトンガっていて、
こいつらとWHITE ZOMBIEがいるとここそが激しいロックの最先端だと吹聴していた、あの1995年。
デビュー即爆売れしてたアラニス・モリセットは最初っからどこか地雷っぽくて、
それよりぼくらはリサ・ローブが醸しているちょっとした文系サブカルスメルに恋をして、
でもTHE CARDIGANSとかはマジどうでもいいけど一応は押さえておいて、
そんなぼくらの耳にはTHE CRANBERRIESのヒット曲が「ザーメン、ザーメン」にしか聞こえなかった、あの1995年。
黄色のポンプフューリーを履いたビヨークがロックとハウスの狭間でハイパーなバラッドを打ち放ち、
PRODIGYとケミブラがロックとテクノの垣根をガシガシと壊し始めるなか、
どこに行ってもBECKの“Looser”とレニクラとジャミロが流れていて、
「モーニンググローリー」を出したOASISとBLURとかいうバンドが英国で言い争っていることなんて全く心の底からどうでもよくって、
そんなことよりもブレイズ・ベイリーとかいうシンガーを迎えて作ったIRON MAIDENの新作が与えた深い絶望にぼくらがうなだれてた、あの1995年。
バブルなんてとっくに失われた昔話であることを、就職氷河期と阪神大震災が改めて突きつけ、
オウムがサリンを地下鉄にばらまいたことで世紀末がもうそこまで来ていることを明確に可視化させ、
失われた10年、20年はもう実は始まっていて、
何か大きな波にぼくらは乗りそこねたことにようやく気が付きはじめ、
と同時に世の中が出口の見えないトンネルのような闇に入りこんだことを、みんなそれとなく知るようになって、
それでもぼくらは呑気にロックばかりを聴いていた、あの1995年。
そんな、あの1995年に出されたのが、このアルバムだった。
イギリス出身のミクスチャーによる、メジャー・デビューアルバム。
このフロム英国、ってのがポイントだ。
このDUB、ラガ、てのがいかにもだ。
これを当時イヤーエイクが出してたってのも凄い時代だ。
黒人しか表現できないラガマフィンと、ザクザクしたメタルリフ。
そこに英国らしいスマートなフロアの感性が加わる。
やっぱりミクスチャーとしては、新しかった。新しすぎたのかもしれない。
何せ、1995年だ。そういう時代だった。
そんなぼくらの、あの1995年が、ここにある。

dub war/「pain」(1995)
- アーティスト名:dub war
- 出身:UK
- 作品名:「pain」
- リリース:1995年
- ジャンル:MIXTURE、DUB
よって、そのほとんどが70~80年代の古いものばかり。
尤も音楽批評というかしこまったものよりは、大概がただの独り言程度のたわいない呟きなので、ゆるーく本気にせず(笑)読んでいただければ幸いです。