最強タッグ、爆誕。~CANNIBAL CORPSE/「Violence Unimagined」(89p/100)

アルバムレビュー
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CANNIBAL CORPSE/「Violence Unimagined」(89p/100)

夢のタッグ、というのがある。
この二人に腕を組まれたら、こりゃあもう誰も叶わない、というものがある。
例えば、悟空とベジータ。
例えば、キン肉マンとテリーマン。
例えば、黒崎一護と藍染惣右介。
そして例えば、CANNIBAL CORPSEと、MORBID ANGEL

そう、Erik Rutanまさかの蟹入り、と来たもんだ。
それまでプロデューサーやサポートとしての絡みという伏線は貼られていたものの、しかし長年メタルを聴いていた身であれば、その事実に血昂らない道理がないだろう。

やれ屍鬼だ斬鬼だ殺鬼だと、漫画みたいなスプラッター趣味を前面にしてニューヨーク地下にコープスが生誕したのが90年代初頭のこと。かたやフロリダにはモビエンらが気を吐いており、それらオリジン達によりシーンが作られていったというのが、ロックの教科書に書かれたデスメタルの正史だ。

そしてそれ以降、本家デスメタルの血塗れた看板のもと、血腥いブルタリティと刺々しい激烈性とを伝えること30年。
この令和においても未だコンスタントにアルバムを出し続けているコープスであるが、しかしここに来て例の逮捕騒動に関するPat O’Brienの活動停止。
かくしてかねてよりサポートにあたっていたErik Rutanが、正式に加入し、本作の製作陣営へと加わり至ったという。
そう、あのMORBID ANGELHATE ETERNALのルーたんが、だ。

そして、その上でサウンドが刺々しくも強烈だ。
尤も彼等の場合、いつも変わらないと言えばぶっちゃけそう大きくは変わらないのだが、しかし細かく言うなら、よりスラッシィなオールド路線に回帰しながら、緻密さとスピード感を増している。
近年のシンプル路線やミドルヘヴィ、或いは前作でのSODOMMOTORHEADのような毛色を示した路線もぼくは決して嫌いではなかったが、しかしカニコーはやっぱりカニコー、オールドスクールのデスメタルを殺ってなんぼ。
しかもEric Rutanが加わったおかげで、HATE ETERNAL的な厳しきブルデス色素か滲んでいるのも興味深いところ。
その轟轟たるリフとビートの中に放ち穿たれるキュルキュルネオクラギターも、彼ならではの持ちネタだ。

デスメタ重鎮に相応しいオールドデス然たる、カニ子後期の名作。恐らく本作は、後にそう誉れを受けることになるだろう。
と同時にバンドとしても、今後色増すであろうルータンカラーが屍肉にどう化学変化を与えていくのかも楽しみじゃないか。
屍せるリビングレジェンド、未だ健在なり。

 

★追記(2021年06月19日)
「今週のチェック」から引用。

 

いやはや、強力なり。
いつも同じだろって言われると、まあいつも同じカニコ。
だから何が変わったのかって言うとそれほどに変わってはいないんだけど、でもちょっとだけ激甚さの質が違っている。
それがエリック・ルータン効果。

例えば、随所で見せるキュルキュルネオクラギター。
それらを含めた、荘厳さや格式さといった、気品というのかな。
なんだろ、えーと、例えば。
バトル漫画で、主人公より明らかに格上の敵が出たときのアレ。
あ、こりゃ絶対勝てねーわ、終わったわ、詰んだわ、てなるやつ。

 

これ。

HATE ETERNALや、古くはモビエンに強くあったそれが、ここに香ってる。
これまでの脳筋デスメタル、暴走で殺しまくってきた殺人鬼に、それが漂った。
そんな、半段上がった、パワーアップ作。

DATE
  • アーティスト名:CANNIBAL CORPSE
  • 出身:US
  • 作品名:「Violence Unimagined」
  • リリース:2021年
  • DEATH METAL他
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