ウソみたいだろ、5月なんだぜこれで。
と梅雨のようにくすんだ空を見上げながら、まずは一服コオヒイひいてレコオド流して休日恒例ヴァイナルカフェ。
さあて、今週こそジム行けるかしら。持ってくれよ俺のやる気!
FIFTH ANGEL/「Time Will TEll」(1989)
年に数回くらい、だろうか。
いやそれ以上は全くいらないのだけど、それでも時々無性に聴きたくなってレコード棚から定期的に出してくるのが、このバンドの、このアルバムだ。
リリースは、1989年。
シアトル出身、FIFTH ANGELによる、2ndアルバムだ。
1stもいいんだけど、やっぱりこの2ndが最高傑作だ。つっても2枚しかねーから最高傑作もヘチマもねーんだけど。
1989年といったら、もうかのSub PopからNIRVANAが「Bleach」でアルバムデビューした年だ。
その同じシアトルから、このバンドもこのアルバムを出しているってのが、ちょっとだけ興味深い。
そんなシアトルグランジ四天王最弱の面汚し、FIFTH ANGEL。
ちなみに残り三組はというと、METAL CHURCHとSANCTUARY、HAIR APPARENTだ。(←もっと最弱がいる)(※註1)
少しばかり解説しておくとこのバンド、なんと発掘人はかのマイク・ヴァーニー。
この「かの」というのが「どの」か判らない貴方、判らなくて大丈夫。今後の人生に何ら関わることなく、普通に幸せに生きていけます。
さて、ということは当然ながら当初はネオクラギターバトル最強レジェンドものの方向性だったのだけど、なんやかんやのメンバーチェンジですったもんだした結果、速弾きモノでもギターオリエンテッドというわけでもなく、ただの微妙な歌もの80年代正統派ハードロックに着地した。
以上、基礎解説おしまい。
さて、この第五天使が司るのは、「地味」だ。
特殊能力、「地味」。
別名、大地味天使とも言われる彼らだけに(嘘)、これ一枚でエピックからディールぶった斬られるくらいの恐るべき地味の使い手であり、ここでもそのスキルを絶賛大発動させている。
その挙句、A面のトリを飾っているかの神シェンカーのUFOの有名曲カヴァー”Light Out“までド地味にさせてしまうという無双ぶり。
しかもこのカバーテイクが、カッコいい。
地味に、無駄に、無性に、カッコいい。
つってもほぼ原曲のまんまなのだが、なのにカッコいい。
それって単に原曲が良いだけだろって話なんだが、でもここにあると何故だろう。よくわからないのだが、とにもかくにもしっくりと、収まりがやたらいい。
しかも人の曲なのにその特殊能力「地味」スキルのせいで、「コイツら地味なくせに、なかなかいい曲書くなぁ」と、地味に感心しかけてしまう。
ってそれちげーよ、シェンカー先生のだよ神様のだよ!
しかし他の曲も見劣りはさほどにせず…でこのあくまで「さほど」という「さほど」加減がこれまた連中らしくて絶妙なところなのだが、それはさておいても、だ。
例えば”Midnight Love“や”Seven Hours“、そしてエッジさが効いた”We Rule“…と、このように地味に、普通に、程良く、いい塩梅に、そしてやっぱり地味に、イイ曲ばかりが並んでいる。
どれも皆ミドルテンポで、派手なファストさにはそうたやすく向かわない恐るべき地味さで、欧州的な叙情性を地味に活かした歌とリフメロとで聴かせる。そんな地味ながらも80点代前半クラスの、それでも頭一つ超えらんないくらいの地味良曲を、うまい具合にポコポコと揃えている。
だからなのだ、地味なのにスルスルと浸透するから、時々無性に聴きたくなる。
で、その都度引っ張り出しては、嗚呼やっぱ地味だなあ、でも地味にイイなあ、とその地味さを再確認する。
それこそが、このFIFTH ANGELの大人の楽しみ方なのではないだろうか。
ごめん、やっぱり地味に好きだよTime Will Tell。
ところで近年復活して出した新譜が何やらおかしなパワメタ方向にこじらせていて「はぁ、そっすか」となった記憶があるんだが、どうだろう、当たってるだろうか。
尤も、どうせ地味なんでみんな忘れてんだろうけど。
※註釈1:メタル村老人会ジョークなので、本気にしないように。
テストにも出ませんし、貴方が生きる上で全く不必要な情報です。
- アーティスト名:FIFTH ANGEL
- 出身:アメリカ
- 作品名:「Time Will Tell」
- リリース:1989年
- HARD ROCK, HEAVY METAL
よって、そのほとんどが70~80年代の古いものばかり。
尤も音楽批評というかしこまったものよりは、大概がただの独り言程度のたわいない呟きなので、ゆるーく本気にせず(笑)読んでいただければ幸いです。