お盆連休での暴飲暴食を反省してオートファジーダイエットを始めるという8月後半の週末休み朝に、コオヒイひいてレコオド流してヴァイナルカフェ。
うーん、腹ぺこ。
果たして慣れるんだろか、この生活って…。
本日は、みんな大好き、いんちゅーいーしょん。
キラキラしていて儚くて、まるで夏の恋のようだねTonight,I‘m Fallin You。
いやーん、えっちー☆
TNT/Intuition(1989)
80年代メロハーの最高峰といったら、何を置いたってTNTの名盤「Intuition」だ。
そういうと異論も色々湧き上がるだろうが、それでもやっぱりこの金字塔を崩すことは誰にも出来ないだろう。
みんな大好き、いんちゅーいーしょん。
へんてこなギターラインに余りセンスが見えなかったけれど、ライブはさらにテクも見えなかったけれど、それでもみんな大好き、いんちゅーいーしょん。
実際には前作「Tell No Tails」のが楽曲いんじゃね?とみんな知っているけれど、それでもみんな大好き、いんちゅーいーしょん。
「みんなdisるけど本質を知れる俺Sugee」なメタル老人会の自意識マウントアイテム「Realized Fantasies」を褒めているけど、ほんとはみんな大好き、いんちゅーいーしょん。
と、そんなみんな大好きTNTのスタートは、80年代初期。
最初はダサダサチープな田舎北欧ヘボぃメタルから始まった。
実のところ、デビュー時のオリジナルシンガーは、割と野太い声の持ち主。
NWOBHM流れのハードロックンロールで、やれ「USA」だのハーレーダビッドソンがどうちゃらだのと、恥ずかしい位にアメリカへの憧れをあらわにしながら、ノルウェーの母国語でもっさり歌っていたことは余り知られていない。
しかし初期陣営にハイトーンヴォイスの都会派ニューヨーカー、トニー・ハーネルが加わることで、バンドは転換を大きく迎えていく。
なかでも“Seven Seas”は、そんな彼等の2ndアルバム「Knights Of The New Thunder」のオープニングを飾る初期の名曲だ。
…というのが、説教臭さと面倒臭さでボケかかったメロハー村養護施設老人達の口癖なのだが、しかし今聴くとかなりショボくて、とてもこの2020年代に聴く価値があるとは思えない。
とはいえ、この「Knights Of The New Thunder」アルバムにはそれ以外にも後に開花する北欧メロハーらしいクリアな透明感と絢爛なポップセンスが既に片鱗として描かれており、彼等のその後の原点がここにあることを教えてくれる。
アルバムとしても、北欧らしい美しいメロウネスを含む何気に隠れた(?)良作だ。地雷のクソ曲も少なくないが。
さて、それまでの北欧田舎ヘボぃメタバンドが洗練と飛躍を大きく見せるのが、続く1987年の「Tell No Tails」である。
ここで彼等はバンドのサウンドを確立させるとともに北欧メタルからの脱却へと向かうのだが、折角アナログを持っているので、詳しい話はまたそちらで別にやることにしよう。
そして、1989年。
かような歩みを経ることでようやく至った頂きがこの、みんな大好き「Intuition」なのだ。
アメリカ産業ロック的なポップさと、北欧らしい透明感と、抒情美。
それらを併せ持ちながら、煌めくように華やかなキーボードサウンドとテクニカルなギターと、そして伸びやかなシンギングをトレードマークに、この傑作はこと日本において一躍注目を浴びるようになる。
実際、名曲が目白押しだ。
#3”Tonight,I’m Falling”。
#5”Intuition”。
#7”Learn To Love“
#9”Take Me Down(Fallen Angel)”…。
ここら辺はメロハー史の教科書にも太字で書かれている、期末試験必出レベルの神曲といえるだろう。
とにかく耳当たりが、甘い。北欧スイートな、そんな甘口にコーティングされた名曲たちだ。
のみならず、トータルとしてもよく出来たアルバムである。
大仰でオペラティック、スケールの備わった荘厳さを持ちながらも、キャッチーでコンパクト。
少なくとも完成度としては、彼等の作品中でも群を抜いてダントツだ。
尤もこれに対して「Tell No Tails」のほうが名曲ばかりだしメタリックで優れているじゃねーか、という意見も昔から根強いのだが、おじいちゃんご飯はもうさっき食べたでしょ。
まさに、TNTというバンドが残した、80年代メロハーのマスターピース。
そんな名盤「Intuition」を生み出した彼等であったが、しかし、人間万事塞翁が馬。
90年代に入って間もなく米ロック界を襲った大津波、グランジオルタナショックの中で、彼等もまた姿を変えていくことになるのであった。
そして、結局のところ。
やれ「USA」だのハーレーダビッドソンがどうちゃらだのと、恥ずかしい位にアメリカへの憧れをあらわにしていた彼等は、しかしながら最後までそのアメリカでその憧れを手にすることは叶わなかった。
アメリカ市場に投げられたノルウェー製のTNT爆弾は、しかし結局のところ不発弾で終わってしまうのだった。
そんなアメリカ市場受けを狙ってグランジーな90年代サウンドを標榜してみた、その後のアルバムも決して悪いわけでは、勿論ない。
ないのだけれど、それはそうとしてもやはり、である。
みんな大好き、みんな愛した「Intuition」はやはりあの時代、あの頃の彼等だからこそつくり得たものだった。
このアルバムの輝くようなメディは、透き通るようなその歌と音像は、鮮やかながらも儚げなポップネスは、そのことを克明に伝えてくれる。
当時の空気を含んだ強烈なノスタルジーとして、甘酸っぱい記憶として、今もなお、伝えてくれる。
ああ、そうだった。
思い出した。
気恥ずかしくはあるけれど、やはり素直に認めよう。
みんな大好き、みんな愛した、いんちゅーいーしょん。
そしてぼくも大好き、ぼくも愛した、いんちゅーいーしょん。
- アーティスト名:TNT
- 出身:ノルウェー
- 作品名:「Intuition」
- リリース:1989年
- ジャンル:MELODIUS HARD ROCK、HARD ROCK、北欧METAL、HEAVY METAL、様式美、他
よって、そのほとんどが70~80年代の古いものばかり。
尤も音楽批評というかしこまったものよりは、大概がただの独り言程度のたわいない呟きなので、ゆるーく本気にせず(笑)読んでいただければ幸いです。