うーん、
今週は今ひとつ響くものが少なかったなあ…。
CHEAP TRICK/In Another Wolrd:78点
(今週のオヌヌメ)
好好老爺、老いて尚…と言いかけるところだが、思えばこれが元来の彼等であったか。
なんて事のない、安っぽくてベタな手口。そう思わせておきながら、いやそう予め知っていながら、しかし何故か気が付いたら胸元をガツリ捕まえられている。
名が語るが如し、CHEAPなTRICKかくもありなんだ。
実際、ここでも彼等は決して派手な仕掛けをしてはこない。
だからこれが今更シーンを激しく揺さぶるものかと問えば、そりゃあそんなことはないだろう。どころかこの口当たりの柔らかさは、やもすればこの時代には物足りないとすら捉えられかねまい。
ただ地味に爺さま達がやっている、無刺激で甘口なロックンロール。多くの聴き手はそれだけに過ぎないと、さぞかし思われるのではないか。
しかしその、たかがそれだけに過ぎなさこそが確実にCHEAPなTRICKとして働くのだから、いやはや職人、見事なもの。
例えばここで彼等は#8のような↓曲を、後半にさりげなく仕込んでみせている。
サラリと、何食わぬ顔で、人知れずに、だ。
所詮はロートル、昔ながらの原初的で素朴なパワポの焼き直し、とそう本作を侮ったとき。既に貴方の足元は彼等の間合いを、間違いなく踏んでいることだろう。
GRETA VAN FLEET/The Battle At Garden’s Gate:73点
多様性と古典性。革新性と懐古性。モダンとレトロ。
これらをどう設定させるかで、如何様にでも価値基軸が規定されるアルバムだ。
これがロックの姿だとも言えるし、これもロックの姿だとも言えるし、これはロックの姿じゃないとも言える。
よって前作に対するPitchforkの批評は全く間違ってはいないだろうし、一方でしかし余りにそれは一面的だとも言えなくもない。
そんな彼らを一言で乱暴に紹介しようとするなら、初期LED ZEEPELINを主とした70年代ハードロックのリバイバリストだ、となるだろう。
しかしそれが彼等の全てかと言えば、決してそんな訳でもない。
手垢どころか埃とカビにすらまみれたオールドロックの王道を踏みつつも、しかし現代を生きる若者のまなざしと揺るがない自己のリアリティをそこに置く。
それがロックだ、とするのであれば、これもまたロックの姿の一つなのだろう。少なくともぼくはそう本作と彼等を評価する。
WHILE SHE SLEEPS/Sleeps Society:69点
英産メタルコアによる3年ぶりのスタジオフルレンス、5thとのこと。
デジタルな味付けと多彩に展開するヘヴィネスをたっぷりまぶし付けて、キャッチーな楽曲を”盛り”で彩り映えらすという如何にも手先の器用なバンドらしい、色味多めな新作だ。
…というのは判るのだが、如何せんその小手先な器用貧乏さ故になのか、カラフルさを超えたギドめの添加物依存症がどうにも抜けきらない。
結果、もう一歩踏み込んでの突き抜けのインパクトが弱いまま、ズドンと鳩尾に響かず終わってしまう。
その素材たるパンチ力の軽さが悲しく、またイイ線いってるだけに勿体ない。
FROSEN CROWN/Winterbane:40点
BE THE WOLFを率いるフェデリコ・モンデッリ御大による別働ユニット、メンバーを一新しての3rdフルを前に、余りに何も思い湧くものが無さすぎて絶句している。
豊かな欧州的メロディに、アップテンポの曲調に堅調な演奏。
質は備わっているし躍動もしているはずなのだが、しかし中途半端な作風とエッジ不足、しかも取ってつけたの安っぽい歌メロをのっぺり歌うせいか、魅力が全く伝わらない。
それでもトップチューン↓とメロデス風味の曲はギリいけるものの、それ以外はパワーやダイナミクスが実感出来ず、ロックとして不燃焼この上ない。
それじゃダメだろメタルとして。
なおJUDAS PRIESTのあの曲のカヴァーも含まれているものの、これもまた可も不可も何もなく、それで?といった代物。
今週のまとめとつぶやき
今週は80点超えナッシング。
CHEAP TRICKもね、正直、お勧めもしません。ておい!
まあでも悪くないアルバムだし、上でも書いたように流石だとは思いますがね。ってことで、この評点止まり。
実はこのCHEAP TRICKの新譜、正直、最初は全く刺さらなかったんですわ。
でも繰り返しきいているうちにジワジワと染みてきました。まさにCHEAPなTRICKにやられてもうた。
大体この時代にまで来て、昔の焼き直しをしただけな「らしい」以上のアルバムを作ってみせるのも凄いわな。
GRETA VAN FLEET、これも何やらいー感じなこと書いてますけど、でも評点としちゃやっぱこんなもん。
これだったらKINGDOME COMEの1stのほうが全然上。←
WHILE SHE SLEEPS、カッコいいことやってんのに、スコンと抜けない。
もう少し頑張ってください。
FROSEN CROWN、これなー。
マジで、全ー然っ、心動かない。胸が沸かない踊らない響かない。
本当ならレビューは、
「で?」
以上。
以下余白はBE THE WOLFの中の人に捧げる系。
でもその理由が、ちょっと自分でもよく判らない。
大体、中途半端じゃないすか?
壮麗さもエッジも何もかも。
白けちゃうんだよなー。はあ、そうっすかー、って。
ドラフォみたいな曲もただ速いだけで、サビで「で?」てなる。
ごめんなさい、ちと理由がようわからんとです。
とはいえ質が悪いわけではないので、聞く人が聞けばそれなりに良いと思うのでしょう。でもぼくにとってはこのくらいだ、というだけの話です。
さて自粛GWの来週にはGOJIRAだったり良さげなものが待っていますので、これまた楽しみ。
それでは皆様、よき連休を。