今週のチェック(2025/03/23) /JINJER, SPIRITBOX, DESTRUCTION, VENAMORIS, -The Weekly Reviews

JINJER, SPIRITBOX, DESTRUCTION, VENAMORIS, 今週のチェック
JINJER, SPIRITBOX, DESTRUCTION, VENAMORIS,
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JINJER / 「Duél」 : 72p

JINJER / 「Duél」

JINJER / 「Duél」

丁度東欧でロシアがいきなりきな臭くおっぱじめてから3年もなるんだから、この戦争も結構経つんだなっていう、そういうやつは別に任せてさておき。

実はここでも当時扱ってたその3年前の前作で、ウクライナしかもロシアに面した戦地ドネツク地方出身のメタルコアってことでなんかいきなり注目が集まった彼ら。
あれ以降、モノ珍しさかちょいちょいメディアに引っ張りだこになって、
欧州のデカめなフェスにも出て、それっぽい存在になって、
ギャラも高くてお得だぞ日本にも初来果たして、
危うくやべーぞハイプになりかっている現状なこれ。

前作で「田舎モンのギラつきメタル」って評してたウチだけど、でそこから間違いなく予算もついて洗練も進んでいるんだけど、
そのくせ言うてまだ然程変わらないのが、むしろある意味微笑ましい。

いい意味で、洗練が過ぎてない。
いや確かにそれなりの洗練はなされているし、それなりに馴染みやすくなっているのだけど、でも今どきに偏らず、ウクライナご当地田舎メタルなアクやバリがちゃんと残っていて、特に女性ヴォーカルであるタチアナ・シュマイルクの歌メロが、独特というか民族みある突拍子もない変な味を出している。
例えば歌メロの効いた民族調のM4“Tumnleweed”とか、いかにもという味わいだ。

成る程、これらを活かしての妙ちくりんで希少なメロ感とキャラ性というパンチ狙いなギラッギラ先鋭メタルというのは、確かに理解出来る価値観だ。
しかもリズム隊メインに、ナヨく日和らず苛烈さ緩めすぎないのも好印象。
結果、黒光りするメタルらしいバッキバキの骨っぽい暴虐性と、悲哀あるおかメロがいい塩梅でマッチしていて、いいバランスの個性を強調してるのが、本作だ。

というのは勿論、分かった話として。
でもそりゃそれとして実質レビューだと評点的にゃこんなもんじゃね?ていうのもまた本音な別の話だけど、でもこういうメタルは作品評が魅力の本質じゃないからいいでしょ?
しかも聞く話じゃライブはかなり熱いらしいので、そっちにこそ期待を。

とりあえず体裁取り繕うのに、令和のGORKY PARK、とでも言っておくか。
ま、戦争ふっかけてんのは今やそっちなんだけど。

SPIRITBOX / 「Tsunami Sea」 :83p

SPIRITBOX / 「Tsunami Sea」

SPIRITBOX / 「Tsunami Sea」

サブカル確信犯変態かぶれおバカエレクトログラコアとしてテン年代に名を馳せたIwrestledabearonce
案の定、この令和に真面目メタルコアやって名を馳せてしまわれるなど。

とその元メン夫婦、ヴォーカリストのコートニー・ラプラネットとギタリストのマイク・ストリンガーを中心に結成されたカナダの新鋭メタルコアバンド、SPIRITBOX

何でも前作がグラミー賞にノミネートされた上、そのレッドカーペット上でニワカレポーターからPOPPYに間違えられてインタビューされるという、出来がいいにも程がある極上ネタもバックに仕込みつつ、その高まりきった注目度で期待同様、制作予算もマシマシ。
マーケティングに長けた高給スタジオ陣営も固めて、負ける戦が許されないこの2ndにして勝負作なこれ。

おかげでお権威だいじゅーぎっ!じゅ、じゅぎなのンボぉーーーっNME様で満点采配、はさておくも、英ケランゲの気持ち他でも珍しく両手あげての満点獲得。
(かたや同じ頃合いに出てたONE OK ROCKの新作の評点は)
あこれネクストSLEEP TOKEN有力候補きたか、と先物買いされてる昨今らしいけど、果たしてそんなにいいですかねえ?と訝しみながらのご対面をば。

デヴィン・タウンゼントなオープナーから次のSTATIC-Xで地獄之ディスコ、コ、コあたりのガナりイキりまでは割とありがち小ぶりめだが、名曲な予感のM3“Perfect Soul”で女流歌モノ濡れメタルになると、本領発揮で俄然高まる存在感。

とはいえそれ以降は、叫び系と歌系の双方メイントラックを程よく交えたデジデジ多めなモダンメタルコア。
近未来ディストピアなサイバータッチのなかに、メタリックな刺々しさと優美で柔和なしっとりさの剛柔硬軟を調合しては、濃すぎずやりすぎずコンパクトに、ダイナミズムもドラマティックスもアーティスティックさも程よくつまみ揃えてヨソ行きポップ包装でくるんでは、ハッピーポッピーよろピくね。

正直、滑らかで品もいんだけど引っかかりが弱いっつーか、小綺麗でマイルドでソツもないけどインパクトもアクもないのかよ!とか最初は書いてやろうかとすら思っていたんだけど(実際書いてんだけど)、これが聴きこむと染みていく所謂スルメ系でやんの。

軽はずみさのない奥行ある音楽性にしっかり手の込んだ高品質さで伝わる世界観込みのエレガントさは、どこぞのホッピーの中おかわりとは真逆とすら。

しかもダークトロニカの使い方も巧みで、それを効果的に使っての後半、暗転と不穏を経ての光明メロさす希望へと向かうクライマックスM11“Deep End”への流れもパーペキ。
いやこれ、程よく手頃によくまとめたもんだわ。

って何だおい、随分と真っ当にいいじゃねえか、話が違うぞコロヤロウ!

DESTRUCTION / 「Birth Of Malice」 :75p

DESTRUCTION / 「Birth Of Malice」

DESTRUCTION / 「Birth Of Malice」

まずは正しく中学生スラッシュなこのジャケよ。
しかもイントロのアコインストに続く様式怒涛ドスラッシュ展開では、活動40年も超えてこの令和に初のバンドネームソングM2“Destruction”を掲げて、「We’re DESTRUCTION !」とイキり叫び始める冒頭ニキ。

「俺が、俺達が、デストラクションだ」という刹那展開に、どした?え、どした?となりかける、元祖ジャーマンスラッシュ三羽烏の一角の新作、かれこれ16th。
どうやら面子は前作と同じらしい。

まそうは言っても、そこはやっぱりシュミーア先生。
相変わらずの平常運転、やってることが全くブレない殺伐必狂ジャーマンツラッスュメタルで、デストラは退かぬ媚びぬ省みぬな現役活動報告「はい元気です」。

なのでぶっちゃけ「これといって今更語ることもそうねーだろ」ってアルバムなんだけど、でもそれとて今や微笑ましいからいいじゃないか。

強いて触れるなら、クラシカルで古めかしいメタリックなメロディックさが意識的に見えるかな、という位で、それ以上の格別な変化もなし。
ただし今回ギターがやたらハッチャけギュルギュルにシュレッドバトルしてみたり、それっぽな初期風あたおかフレーズ入れてみたりと、味変の頑張りみせているのも、健気ましい。

ところが、そんな勢いも前半6曲目位まで。
残り半分の中盤以降のダレに、冒頭とは違う意味で、どした?え、どした?となったまんまラストに向かうというがっくり項垂れ鬱展開。
後半のダル展開を味わいながら終いにゃ「マッドブッチャーまだあ?」となり果てるという、どっかで見かけた海外評にも頷けるところ。
(6曲位で終わってたらプラス10pあげてた)

振り返ってみれば、何だ多田野テンションの高さとそれに合わせた貢献を曲順に並べただけかって気付くというヘボメタ商法なこれなんだが、までもそこは腐っても大ベテラン。
威風ある風格と、堅固にカッチリした重厚サウンドの揺るぎない安定芸で、最後までギリ押し通せるのだから大したものだ。

なおラストのM12“Fast As a shark”は勿論同国のACCEPTのあのド定番のカヴァーなんだけど、
それもう20年前にWITCHERYが通過したところだを超えてないので、以下余白はシュミーア先生に捧げときますね。

 

VENAMORIS / 「To Cross or to burn」 :76p

VENAMORIS / 「To Cross or to burn」

VENAMORIS / 「To Cross or to burn」

デイヴ・ロンバードSLAYER)が、シンガー&マルチプレイヤーの奥さんポーラ・ロンバードと一緒に行っているプロジェクトユニット、これで2ndらしい。

といっても別段ツラッスュメタルやるでもなく、広がっているのは奥方の歌唱を活かしたソフトでアンニュイなしっとりゆったり幽玄ゴシックワールド。
とはいえこの人、ソロでもエクスペリメンタルなことやってるし、ていうかマイク・パットンとの活動で何を況やなので、別に驚く話じゃない。
(ちなみにこのアルバムも、そのマイク・パットンのIpecacから出とる)

曲によってスパニッシュなフラメンコ調だったり、ビヨーキー(何それ)なダークアンビエントだったり鍵盤利かせてみたりと、手品を変えながら鬱々メランコリーをゴスゴス味変。
その劇的なアトモスフェリックさには、映画音楽みたいな雰囲気すらあり。

なおギターには、スッラツュメタル仲間つながりのゲイリー・ホルトやアレックスでシコるニックさん(TESTAMENT)などの盟友も参加。

とくにそのゲイリー・ホルトが客演しとるSCORPIONS“Animal Magnetism”のカヴァーが、結構原曲通りなくせにずっぱまりな、悪夢のたうち漂う暗黒泥濘キリングジョーキー・インダストリアル。
ちょっとしたCATHEDRALなイントロからして、ちょえこの曲って元々こんなどすぐろのどぐろドゥームしてたっけ、とこんな令和に新発見してみたり。
(タイトル曲とはいえ70年代後期スコピ中最地味のド凡作と伝え続けてきたアルバムで、持ってるくせにろくに覚えてないっていうね)

正直、彼にゃまだまだバチバチのシラュスッメタルやってもらわなあかん気しかないけど、でもそれはそれ。
アダルティで気だるい女性Voダークウェーブを気軽に楽しみかったら、これなんかもちょっといんじゃないかなこんなクソみたいな花粉まみれでうなだれるしかないこの頃には。

以上、今週の消化枠でした。

ところでSPIRITBOXPOPPYをdisってるように思えたかもですけど、いやいや。
ぼかあちゃんと昨年のベスト枠候補でこのホッピー中おかわり挙げてますかんね。
単なる方向性の違いってことですので、悪しからず。
勿論、どっちも好きよ。

ではまた。

JINJER, SPIRITBOX, DESTRUCTION, VENAMORIS,

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