†††(Crosses) / “Goodnight, God Bless, I Love U, Delete”:84p
年が明けて某所さまの年間ベストアルバム選に挙げられたの見て、昨2023年の晩秋頃にリリースされてんのを初めて知るなどなこれ。
ていうか、プロジェクト立ち上げて前デビューアルバム出たのって、10年近い前の話だろ?(2014年)
まだ生きてたんかこの企画!
とそんな己のチェックの甘さを省みながら、この令和に十数年の時空を超えて2023年の世に出てしまわれていた、チノ・モレロ(DEFTONES)とFARのショーン・ロペスによるゴシック・インダストリアルユニット、2ndアルバム。
「Goodnight, God Bless, I Love U, Delete」
と、ここの管理人と同じ苗字の主人公が死神つとめるおしゃれ漫画の思春期ポエムに出てきそうなタイトルによってドエレー“COOOOL”に出ッ発する本作。
前作同様、チノから想像するそれよりずっと予想斜め上な程度にはダークアンビエントな音楽性を指向しており、っていやごめん十年前のアルバムの作風なんてとっくに忘れてるんだけど、でも(確かなんとなく)ニューウェイヴ、ていうかNEW ORDERだったあれよりもっと黒みやら深みやらゴスみやらポエムみやらが増してぬらぬらした質感。
とはいえねっとり粘り気ある色(エロ)気の塊が真っ暗な地の底を這い回っているような、暗黒耽美シンギングは流石のほわぽにチノ・モレロならでは。
それもなんだろうね、この人の場合のその官能性には変態みなどではなく、むしろ独特の優美かつ幽玄な透明感があるというか。
それを何インチか寝入ったような美世界感の、エレクトロニカ多めなダークウェイヴ・サウンド内に解き放っては、ゆらゆらと妖しく泳がせているからKID A。
なお、相方側の出自のFARつったら往年のおっさんどもには90年代後期オルタナ・ポストハードコアなイメージなんだけど、しかしショーン・ロペスはその後はもっとエクスペリメンタル方面で音楽活動を継続してきたマルチプレイヤーらしく(どうやらプロデューサー/マルチ・インストゥルメンタリストとの肩書らしい)、ここではサイバーSF映画サントラのようなスケールのデジタルワールドを領域展開しつつも、現代EDM、R&Bを見据えた音作りをも意識。
(まあ往年のオルタナ要素も全くないわけではないのだが)
そう、確かにこれ、ぶっちゃけ全体的に地味というか、その暗黒トーンの中をスルスル抜けていくかのある種の甘美な快楽性がある反面、いまひとつファーストインプレとしちゃちょっと引っかかりに足りておらず「あれ?」となりかけるものの、しかし。
これがむしろクセ者で、いつの間にかその毒素に侵されていく中毒性があるから厄介だ。(実はぼくもそれでやられたクチだ)
なお、ゲストとしてEl-P(RUN THE JEWELS)や、ロバート・スミス御大(THE CURE)が参加。
ロバスミ先生との共演とのことでチノ様も張り切り過ぎて、思わず持ち前のニューウェイヴ趣味を全開にふたりはキュアキュアしてしまわれるクライマックス、M14“Girls Float Boys Cry”も勿論悪くはないのだけど、でもそれより個人的にはやっぱりアーバンチルなグルーヴにドラムンベースと毒々しさが流れ込むようなEl-P参加のこっち↑(M7“Big Youth”)のがお気に入り。
ってそんなんもろくそに初期DEFTONESホイホイですかね。(いんだよ)
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- アーティスト名:†††(Crosses)
- 出身:US
- 作品名:「Goodnight, God Bless, I Love U, Delete」
- リリース:2023年
- ジャンル:INDUSTRIAL, ALTERNATIVE METAL,DARK AMBIENT,
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